第2章です。さっそく内容を紹介しましょう!
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2章 シャドーイング
シャドーイングは受験に役立つのか?リスニングの試験を課されている大学を受けるならまだしも、それもない大学を受ける人はシャドーイングなんかする必要はあるのか、単に多聴だけでよいのではないか、と思っている人も多いハズ。このギモンには最後に答えるとして、初めにぼくが分析したシャドーイングの方法を書いていく。
いきなり口を挟みます。衝撃が大きかったということです。
そふぃさんの言うように、わたしもシャドーイングが受験に役立つとは思いも寄りませんでした。
けれども、最近もう一人別の人からそふぃさんとおなじ感想を聞いて、
いまはなるほどと思っています。
おそらくだれもこういう風に関係してくるとは予想しなかったでしょうね。
まずは聞き読みから
いきなりシャドーイングをやれ、と言われても、そんなのできない、という人もいるだろう。できる人は次の項目へ。できない人にオススメなのが聞き読み。これである程度英語のリズムに慣れたら、今度は 聞き読みシャドーイング に挑戦してみよう。このステップアップは早ければ早いほどよい。
以前はシャドーイングはシャドーイングとして出発しました。
そのために「むずかしい、ついていけない!」という悲鳴が上がったものです。
けれども、聞き読みシャドーイングはシャドーイングの敷居をぐんと下げてくれました。
またまた「そのうち」ですが、そのうち聞き読みモゴモゴシャドーイングから
次第に英語らしい音が表れてくる様子をわたしが演じて、それをwikiに
保存します。(「われもこ」さんのメールがヒントになりました。ありがとう!)
慣れてきたら絵だけを見る
シャドーイングがどんなものだか分かったら、できるだけ早く文字から離れたい。文字を見ていると、どうしても今までの自分流の読み方になってしまう。ぼくがこのことに気づいたのは、電通大に通いシャドーイングを始めてから1ヶ月後。聞き読みシャドーイングの場合は
聞こえてくる音声→文字→自分流の音
のようにあいだに文字が入るので、聞こえてきた音をそのまま繰り返すという作業が上手くいかないみたいだ。
文字から離れると内容の理解度がガクッと下がるが、気にすることはない。内容が理解出来ないからといって聞き読みシャドーイングから離れられない方がよくない。聞き読みシャドーイングは、あくまでもシャドーイングのコツを掴むための補助輪に過ぎない。
賛成です。
聞き読みシャドーイングの欠点は聞こえた音をカタカナ英語で置き換えやすいこと。
敷居は下げてくれるけれど、できるだけ早く文字から離れたいですね。
ただし、もともとカタカナ英語さえ頭に入っていない(音読なんてしたことない!という)人は、ずっと聞き読みシャドーイングでもよさそうです。
最初は内容が伴わなくても音声を忠実に繰り返すことが大切である。次第にスピードや口の動かし方に慣れるので、余裕が生まれ、内容にも注目できるようになる。そうなれば、もっと楽しみながらシャドーイングできるだろう。少し辛抱がいるかもしれない。けれども長くはかからないので、心配することはない。
英語を自分が全く知らない言語だと思ってシャドーイングするのがいい。ぼくの場合は
英語は日本語ではない
と常に意識していた。
さて、見出しにあるように次は絵だけを見よう。ぼくは Black Cat Publishing をシャドーイングの素材として用いていた。電通大にあるものはほとんどシャドーイングした。カラーの大きな絵は物語を理解する上で大きな助けとなる。ここでも1章の概念が重要であるのは変わりない。
最後は何も見ずに
シャドーイングの最終目標は何も見ないこと。慣れてくると
聞こえてくる音声→音声の意味を理解→発音
となってしまうので、自分流の音が出てしまいがち。流れてきた音声をできるだけ忠実に繰り返せているか、という点は常に意識しよう。
ただし、自分の発音を聞いて正しいかチェックしてはならない。一番重要なのはココ。聞こえた音声にできるだけ近くなるように発音することのみに意識を集中して、実際に出した自分の音が耳から入った音声とどれだけ差があるのかという分析はしてはならない。これを守るかどうかでシャドーイングの上達速度は格段に変わってくる。このことに気づくのにも時間がかかった。
↑ この最後の部分も、わたしははじめて聞きました。
「自分の発音が正しいかチェック」--これは例の「正しいか正しくないか」という基準ですべてを見る癖が出るのですね。
シャドーイングは受験にどのように役立つのか
上の3項目を飛ばしてこの項目を先に読んでる人!気が早い。でもまあ、シャドーイングのことはもう分かってる、という人も多いと思うので、それはそれでいいだろう。
多聴とシャドーイングの違う点は2つある。1つは文章を理解するか否か。しかし、ある程度シャドーイングに慣れてくれば文章の理解が可能になるので、大きな違いとは言えない。もう1つは自分で声に出すかどうか。当たり前だ、という人がほとんどであろう。だが、ある物事を自分で明確に意識している人としていない人では、考え方に差が出るのだ。
シャドーイングとは聞こえてくる音声をそのまま自分で繰り返すことである。意識的に注意するのは音が出ていること。無意識的に注意するのは音が出ていないこと。前者では音の質はもちろんのこと、音のつながりも分かるようになる。つまり、語と語のつながりが見え、文章がカタマリとして分かるようになるのだ。
ここです、第2章のいちばんの勘所!
とくにシャドーイングが受験に直接関わってくる部分です。
後者とはすなわち息継ぎのポイントである。聞こえてくる音を繰り返すだけで、本人の自覚なしに文章の切れ目を見極められるようになるのだ。そして、これらが多読でも生きるのは分かるだろう。この点だけを見てもシャドーイングが受験に生きることは間違いない。
電気通信大学でも、Hくんという学生がある年の10月から授業中に聞き読みシャドーイングをし続けました。わたしが脇で聞いていると、はじめはモゴモゴで何語かもわからなかったのに、半年後にははっきり物語が理解できるようになったのです。
(この間訳20時間。本の内容はわかっていないと言っていました。)
そこでわたしはOxford Bookworms LibraryのStage 2だったと思いますが、
Hくんには初見の本を渡して音読してもらいました。
すると、実に見事に音読したのです。内容に合わせた抑揚とリズムでした。
そしてわたしよりももっと驚いたのはHくん自身で、「こんなに読めるとは!」
とびっくりしていました。
いま上のそふぃさんの感想の通り、「本人の自覚なしに文章の切れ目を見極められるようになった」としか考えられません。予想もしないことが多読ではよく起こります。
話がやや抽象的になったので、ここで具体例を挙げてみよう。例えば、熟語集や単語集に載っているものとして
go to~,instead of~,take care of~,consist in~,catch up with~
などが挙げられる。これだけを見ていると ~ の前でいったん文章が切れているようであるが、実際は違う。この例からも音読がむしろ害になり得ることが分かる(若干話が飛躍的だが、このぐらいはついてきて欲しい)。自分だけで読んでいては音の切れ目など全く分からないからだ。
これもおもしろい感想ですね。
たしかに上のように「熟語」や「文法事項」を提示するとリズムやかたまりを
見失いますね。だらだらと、英語の授業独特の音読をしていたら、害がありそうです。
以上簡単にではあるが、シャドーイングが受験にも有用だということを書いてみた。これでリスニングを課す大学を受けるか否かに関わらず、シャドーイングは効果があることだということを分かってもらえたと思う。
文の切れ目が意識せずにわかる--これは長文をさらさらと読むのに、必須の条件でしょうね。
もし、イマイチ言っていることが分からないという人は、上記の方法で3ヶ月程度シャドーイングを実践して欲しい。その間は音読を決してしてはならない。3ヶ月後、適当な本を選んで音読してみよう。自分の大きな変化にビックリするはずである。
多聴とシャドーイング
ちなみにぼくは純粋に音だけを聴くことは一度もしなかった。音を聴くときは常にシャドーイングのみである。英語の本をじっくり楽しみたい、シャドーイングは苦手だからやりたくない、というのは本来なら許されるし、さかい先生も自分の好きなように読んだり聴いたりするのをすすめるだろう。
しかし、受験ではそうはいかない。少なくともぼくはそう思っている。上記の通り、シャドーイングはとても有効であり大きな効果が期待できることが分かった。よって、ぼくは受験のためにはシャドーイングが必須であり、多聴は必要ではないのではないかと考える。これまでのギロンで分かる通り、シャドーイングの効果は多聴の効果を全ての面で超えると考えられるからだ。
つまり、ぼくは受験のために短期間で必要十分なチカラを身に付けるためには多聴よりシャドーイングの方が優れていると考えるのだ。
驚きましたね。
実はわたしはそふぃさんを支援している途中でそふぃさんのシャドーイングを聞いたことは一度もありません。シャドーイングをしていることさえ知りませんでした。
これからは受験準備にもシャドーイングが効く(?)可能性をしっかり追求しようと思います。
シャドーイングとリスニングテスト
ぼくが受けた京都大学総合人間学部にはリスニングテストが課されていた。しかし、リスニングの対策をしたのは、1回目の模試の前日、模試、本番の前日だけである。京大型の模試が夏と秋にあり、駿台と河合のみ受けた。つまり、リスニングは計6回分しか解いていないことになる。あとは全てシャドーイング。毎週1~1.5時間ぐらい。2月以降はリスニングテストを意識して、毎日30分ぐらい。
ここまでシャドーイングを徹底的にやっておけば英語の聞き取りは全く問題なくなる。しかし、これでは満点を取れない。出題形式を分析し、解法を確立する必要があるからだ。
リスニングテストでは大抵音声は2回流れる。
1回目はメモを取るのか、取らないのか。また取るとしたらどのような語句に注意すればよいのか。
日本語で書くか、英語で書くか。
2回目は解答に集中するのか、1回目の見直しをするのか。
このように様々な作戦が考えられる。実はどんな作戦を選択するかが一番重要である。作戦の良し悪しで点数は大きく変わってくる。志望校の出題形式を分析し、最良の作戦を考えるのがリスニングテストのもう一つの対策である。
リスニングテスト本番
リスニングテストは本番で何が起こるか分からない。一番不確定要素が多いテストと言えるだろう。京都のリスニングテストはどうであったか書いておく。
天井にスピーカーがなく教室の前に大きめのスピーカーが置かれ、そこから音声が流れた。この場合、前の席の人より後ろの席の人の方が不利になりやすい。音が聞こえにくいからだ。ぼくは前から3番目だった。
とはいっても、始まってみないと分からないことは多くある。今年の京都は大変だった。話者が緊張していたのか、声が小さく、モゴモゴ話していて非常に聞き取りにくかった。前の方でよかった、後ろの方だったらどうしようもなかったなと思った。さらに、ジーっという雑音がずっとしていた。途中では飲み物を注いだようなトクトクトクという音がして、最後の最後には話者が咳き込んだ。こんな状況ではみんな得点できてないのは明らかだった。つまり、リスニングテストでは差がつかない。
また、この逆のパターンもあり得る。いずれにしろ、リスニングテストは環境にとても影響を受けやすい。その中で平常心を保ち、いかに点を取るかが勝負となる。志望校にリスニングテストが課されているなら、その大学の先輩に話を聞いたり、塾や予備校で十分な情報を集めたりしておくとよいだろう。
こういう「本番対策」もwikiに集めたいと思います。
どっといっぺんにアップロードしてほしいという声もあるかもしれません。
ところがそふぃさんの報告はさまざまな文飾が入っていて、
なかなか一筋縄ではいかないのです。ずいぶん勉強しながら整形しています。
それはそれで楽しい!
(まだわたしの地の文のフォントが小さいのを直せない!
地の文で段落が作れない。べたに一つの段落になってしまう)
ただし、時間がかかります。よろしくご寛恕のほど、お願い申します。
(※管理人注:文字サイズを修正しました。 – 2010/04/01)
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