「雫」さんに関する美しい誤解を解く!

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「続続報」で紹介した雫さんのメールは「児童書より読みやすい(かもしれない)
ペーパーバック」をたくさん並べてくださいました。

で、掲示板をあまりご存じない方はきっと雫さんのことを
とんでもなく英語のできる人と誤解するだろうと思い至りました。

美しいとはいえ、誤解は誤解です、正さねば!

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雫さんのメールを紹介した「続続報」の次に書いた「続続続報」の最後に、
わたしはこう書きました。

で、雫さん、前回のメールを読んだ人は、きっと雫さんてものすごく英語のできる
人なんだって、美しい誤解をすると思うのです。

それはこれから多読に入ろうとする人にとって多読の敷居を高くしてしまうと
思われるので、ぜひ「英語出来なかった自慢」をメール・フォームでお知らせください。

すると雫さんはすぐにまたメールをくださいました。 

美しき誤解を解きましょう(笑)
ちなみにPBは絶対に自分の趣味が大きく影響します。
だから人がやさしいと思っても興味がなかったり、趣味ではないと難しい。
私がやさしいと思ったのはあくまでも「雫が」ということです。
ただ、どうも漠然と「PBは絶対に難しい。」という思い込みがあるのでは、と
思います。中身を見て買えない人にYLはやっぱり参考になるし、中身を読
んでみてもわからないこともあります。自分の経験と勘による読書という意味
では和書を読むのと一緒です(笑)
やさしい洋書がない図書館もなぜかPBなどは置いていることが多いと思います。
ときどき、試し読みしてみても良いのではないでしょうか。
そのうちに「あ、読めるかも。」と思う時がやってくると思います。

さ、ダメダメぶりです。

1.chameleonを「ライオンがやってくる」と思った。
2.interestingは8回ぐらい見ないと書けなかった。
3.日本語訳を添削されても何が間違いかわからなかった。
4.文型ってなに?VSOPなら知っている。
5.関係代名詞とか○○詞ってわかんない。(今でも)
6.以上のようなことを先生に相談して「だめだ。」と駄目押された。
7.signatureがわからず、聞きとれず、海外のホテルで店員に追っかけられた。
8.構文ってどんなの?(今でもわからない)

どうです、この「ダメダメぶり」! 堂々たるもんでしょ?
多読仲間をよく知らない人のために申し上げますが、雫さんは決して
ダメダメの横綱でもなんでもないですよ。そうだな、おそらく小結か、前頭筆頭か?

力を込めて、胸を張って、大きな声で言いたいのは・・・

・・・こんなに英語できなかった人たちがこんなに晴れ晴れと英語を手玉に取って
いるのは、このサイトくらいのものじゃないかな。

語彙力ということに限って言えば…
YLにこだわらず、絵本からPBまであれこれ手を出していると、何かしら言葉は
吸収しているもんです。
人の例をそっくりそのまま自分にあてはめて「200万語を読了したけど語彙力が
ついたとは思えない。」というのはどうかなぁ。

ほかの人と比べないようにしましょう! というのもtadoku.orgの大事な
スローガンですね。 「くらべるのは昨日の自分」!

例えば200万語までYL3あたりで過ごせば、「語彙力」という意味においては
物足りなさを覚えるでしょう。そんなことはわかりきってることです。
ネイティブの子供たちが読み始めている本ですよ。そりゃ、今の自分が和書を
読むような語彙力がつくわけがない。
では、どうするのか。すっ飛ばしてでも気になる本はレベルに関係なく読めば良いというのが私の結論です。
やさしい本も一方でゴンゴン読めば良い。わかったと思っている言葉ほど奥深
いことに気づけます。で、それがwritingにすっごく影響する(笑)
そしてwritingが読書にまた影響する!

最近、夫が高校の同級生たちと飲み会で集まっていたときに英語教師をしているシカゴからやってきたJohn(仮称)とつたない英会話をしていたときに「遺跡」「遺産」という単語が出なくて、困ったそうです。
私は「an inheritanceって言ってみなかったの?」と言うと、夫は「あ!Johnがその単語言ってた!でも知らなかったから、結局何を言ったのかわからなかった。」と言いました。
ちなみにa tomb of the Nara eraでもold buildingsでも何でもええやん、と心の中で思ったけど。
どうもこのようなことも多読をしているから考えれるようです。
我が夫と彼の友達たちは「遺産・遺跡」という言葉にそれぞれにぴったりの単語があるから知らないというだけですべてを諦めてしまうよう。
多読をしてたら、いさぎよくないですね(笑)なんとかしようとする(笑)
それこそ英語を使う力のような気がします。
inheritanceはPBで知った言葉です。最初は?だったけど読んでいたらわかりましたよ。

ま、このあたり多読してきた人の面目躍如ですね。
特に

「遺産・遺跡」という言葉にそれぞれにぴったりの単語があるから知らない
というだけですべてを諦めてしまう」

ここは深々と「なるほど!」と思いました。

「ぴったりの単語がある」はずという思い込みがあるので、
その単語が思いつかないと「意思疎通」そのものをあきらめてしまうのですね。

「正しいか、間違ってるか」 に基準がある「学習人」と

「通じるか、通じないか」 が基準の「多読仲間」との基本的な違いでしょうね。

夫は幼稚園から国立大付属に通い、中学校から地元私立進学校に通い、受験勉強で学生生活を送ってきています。
もちろん英語は「後ろから日本語に訳さないと、意味がわからない。」と豪語しています。
ということで、一語でもわからない単語があると、日本語訳が頓挫してしまうそうです。
彼はある意味、「正しく英語を理解する」という名の学校英語にどっぷり浸かった人です。
どれだけの単語を覚えれば後ろから訳せるねん。きりがないことほど気持ちが折れることはありません。

ということは、多読は語彙力が伸ばせないというけれど、やさしい英語と自分が面白いと思う趣味の英語が両立しやすいから、語彙力(好きじゃないな。この言葉。)の範囲は広がるはずです。

   (((((ボクも好きじゃないです・・・ そんなもん、幻じゃないかなあ・・・)))))

Johnがan inheritanceを使って何を言ったかは不明です。
中途半端な会話を聞かされた私は気持悪くて仕方がない!

さてさて、雫さんは最初からおそろしく英語ができたにちがいない、という
美しい誤解はこれで解けたでしょうか?

・・・ まてよ、違う意味で(学校英語とは全然違う意味で)雫さんは「英語のできる人」
になっているのではないか・・・?

学校でどんなに英語ができなくても、本当の(?)意味で英語ができるように
なることは可能です。雫さんのほかにも何人でもわたしは名前を挙げることが
できます。

さ、雫さんの「続続報」にめげることなく、むしろ勇気を得て、多読をはじめてください!