「hinata」さんから質問をいただきました!

Pocket

5月13日にいただいていた質問です・・・

ブログでお答えしますと返事しながら、すっかり忘れていました。

では、引っ張りに引っ張ったお答えを・・・

*******************************

ご質問は以下の八点です。

1.「多聴」について
先日、先生のサイトを拝見し、「多聴」という概念があるのを知りました。
先生の仰っている「多聴」は、肩の力を抜いて、よく意味が分からなくても、絵
本の絵を眺めながら、そのまま「聴こえた音のまま」に口に出す、という意味の
ように読めました。
もしそれで合っているようでしたら、早速、新しい方法で実践してみたいと考え

ていますが、いかがでしょうか。

それは「多聴」ではなくて、「シャドーイング」のようですね。
シャドーイングのことであれば、その通り、hinataさんの書いている通りです。

世の中にはきっと提唱する人のかずだけの「シャドーイング」があるのでしょうが、
わたしが提案する「多読的シャドーイング」の一番大事なことは、おっしゃるとおり

聞こえた音のまま口に出す

ことです。で、それがなかなかむずかしいので、まずはまったく知らない言葉で
シャドーイングしてみよう、というのが「劇薬シャドーイング」ですね。

(もっとも 甲の薬は乙の毒 で、英語の速い素材が劇薬にあたる場合も
よくあります!)

ちなみに「多聴」は多読の考え方を文字から音に移したものと考えてください。

辞書は引かない → 一つ一つの音は気にしない
分からないところは飛ばす → これはそのままですね
自分に合わないと思ったら投げる → これもそのまま・・・!

要するに、全体として楽しめたらいいとしよう、といういい加減精神ですね。

2.「多聴」の期間
多聴は、学習が進んで、長文の本などに取り組めるようになった際にも、続けて
いくことに効果はありますか?

「シャドーイング」のことだとすると、長文の本を楽しめるようになったとしても、
続けた方がいい場合があります。

続けた方がいいのは、目的の外国語の特徴を備えた音が口から出ていない場合です。
出るまで続けますが、出るようになるとちょっとやそっとでは元に戻らないと思われるので、
それ以降は時々シャドーイングをしてみればいいようです。そうするとシャドーイングは
卒業ということになりますね。

まだ、はっきりとは分かっていませんが・・・

3.多聴を始める時期
多聴はもっと上のレベルに行ってからの方が良いのでしょうか? それとも、初
心者のうちから始めて良いのでしょうか?

シャドーイングはいつはじめてもいいと思っています。
初心者のうちでも、長い本が読めるようになってからでも・・・

4.多読と多聴の兼ね合い
多読と多聴は、平行してそれぞれ時間を取って行った方が良いのでしょうか。最
初は多聴に時間を使ったた方が良い、などありますか。

多読・tadokuについてはどんな「作業」をするにしても、
いついつ、なになにをやりなさい! というきっちりした指針はありません。

せいぜい「辞書は大量に読むまで待ちましょう」とか、
「日本語に訳すのは減らして行きましょう」といった「方向付け」だけです。

多読とシャドーイングについても、その時その時にいちばん合ったバランスでどうぞ。

5.読む本の分野について
私はLRの物語が、読んでいてとても楽しいです。
でも、目標にしたい関心分野は、学術分野のため、異なるジャンルばかり読んで
いて大丈夫なのかな、と心配に感じています。
読む本のジャンルに関しては、基礎ではあまり気にしなくて良いのですか?
YLのもっと高いほうまでいったら、関心分野の原書を簡単なものから読んでいく
感じで良いのでしょうか。

LRがどんなものなのか、わたしはよくわかっていませんが、母語話者向けの
絵本だとすると、それで結構です。そのまま楽しい本だけ読んでください。

それで学術分野の専門書が読めるようになるのだろうか? という疑問はきわめて
もっともですが、大丈夫です。

その理由をここで書く時間も余裕もありませんが、簡単に説明すると、

*専門書でも、いちばん大事なのは日常的に使われる言葉
*日常的に使われない専門用語については、日本語の専門知識があれば推測可能

ということにつきます。

(でも、この点についてはいつかちゃんと本を書きますから、お楽しみに!)

6.多読の「分からない単語」について
分からない単語があると、調べたくて、もやもやっとしてしまいます。
でも、もやもやとしたままでも、なんとなく絵や他の文章で話の流れが分かり、
それなりに楽しく感じていれば、その本はそれで終了し、別の本に進んで良いの
ですよね?
完全に分からないと、次に進んではいけない気がしてしまい、なかなか次へ行く
のにためらってしまいます。

日常生活でだらしない暮らしをしている人でも、英語のこととなると突然完璧主義に
変身する例は山のようにあります。ほとんどの人がそうだと言っていいでしょう。

(失礼hinataさんがだらしない暮らしをしているかどうか、それはわかりませんが・・・!)

完璧主義でいいことはきわめて少ないと思いますが、外国語獲得にはほとんど
致命的な影響があると思われます。

幸い、hinataさんは分からない語があっても「それなりに楽しく感じて」いて、
ただ少々後ろ髪を引かれる思いがあるだけのようなので、そのまま「楽しく」
読み続けてください。大丈夫です。

分からないところがあっても、今は飛ばして、いつかまた同じところを読んでみて
ください。きっと「何がわからなかったんだろう?」と自分で不思議に思うことでしょう。

7.多読多聴と「疲れ」について
読んでいて、頭が疲れる感じが強い本は、「まだ早い」と思って読まないように
していて良いのでしょうか?
多聴シャドウイングも、20分くらい続けていると疲れるため、「こんなに短くて
良いのかなぁ」と不安に感じています。
頑張らず、疲れない範囲の本を、疲れない時間だけ読んだり聴いたりしていけば、
気がつけば読めるようになる、くらいに構えた方が良いのかな、と悩んでいます。

疲れない方がいいです! 
疲れることを続けると遅かれ早かれ気持ちがポキッと折れます!

疲れたと思ったらすぐやめる、やめて1日または数日または数週間または数ヶ月または
数年、離れてみます。すると疲れの深さ次第ですが、また回復してきてやりたくなります。
できれば疲れる前、あるいは疲れを感じたらすぐにやめることを勧めます!

8.「話すこと」について
「書くこと」はともかく、「話すこと」については、苦手意識が強いです。
自分の目標と(今の時点では)直接かぶっていないこともあり、なかなかそちら
へ気持ちが向きません。
それでも、英語で「話せる場」は探していった方が良いと思われますか?
————-以上です——————

もうきっとわたしの答はお分かりだと思います。

そう、「気持ちが向かないならやらなくていい!」です。

けれども、実は気軽に話せる場があれば話したくないわけでもない、
いつか学術的な話をする必要も出てくるかもしれないし・・・ というのであれば、
実はそういう場は結構あるようです。多読関係では Skypeおしゃべり会 を
ご存じでしょうか? いまとても活発に動いていて、ただ他の人のおしゃべりを
聞くだけでも、目を開かれ、心を開け放ってくれるかもしれません。
詳しくは「オフ会」のフォーラムをご覧ください!

hinataさん、もう一度お詫びします。遅くなってごめんなさい!
疑問、質問、意見があればまたメールをください。楽しみに待っています!