多読村はNPO多言語多読のサイトになりました。
まもなく装いも新たに新サイトになります。お楽しみに!
(ボランティア活動としてサイトの模様替えをお願いしています。
いろいろなことがあって、予定通りには行きませんが、
予定通りに行かないところは予定通り・・・!)
で、NPOになって、日本語多読についても記事が増えています。
今回の報告は前便の T さんの「多読支援の喜び」に似ています・・・
多読があなたの隣にいる外国育ちの人の力になるかもしれないのです。
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静岡県で、外国籍の子に日本語を教えている先生から報告が届きました。
使っているのはNPO多言語多読が制作している日本語多読素材です。
10年前から作り始めて、現在までに約100冊になりました。
英語の段階別読み物でいうと、Oxford Bookworms Library の Stage 1 から
4 くらいまででしょうか。
以下はNPO多言語多読の理事とのメールのやりとりから、いただいたメールのみを
引用しています。
年明けより、6年生のブラジル国籍の男の子にレベル0から読み、レベル3まで
読みました。『注文の多い料理店』は、最後の方で注文の意味がわかったらしく、「こんな話
を考える宮沢賢治は頭がいいね。」と言っていました。『アラジンと魔法のランプ』は、終わり方か意外だったそうです。夢のある話で
よかったと思います。『落語』の「時そば」は、CDを聴くと、とてもおもしろかったようで、「笑え
る。」と言っていました。『幸せな王子』も、悲しいお話なのに、CDの「これでパンが食べられる!」とい
う台詞の言い方がおもしろかったと言っていました。レベル4までいかず、貸してほしいとも言われました。その子がレベル3まで読
むと、他の子が「ずるい。」と言いました。2学期までは、「電池か切れました。充電してください。」と言って床に寝てい
た子ですが、3学期は席について勉強できました。担当の先生からは昔話だと判断され、この教材のよさを認めてはいただけませんでしたが、子どもたちは読みたがりました。
ありがとうございました。
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昨日卒業した6年児童は、ブラジル国籍ですが、日本生まれです。
彼の生育歴は、複雑です。お母さんが16の時の子で、本当のお父さんはブラジルにいます。お母さんには新しい彼がいました。
幼稚園には、年長のラスト3ヶ月になってあわてて入りました。小学校に1年の
時は、私が巡回していた市内の別の学校でしたが、ひらがなが覚えられず、おばあちゃんに夏休みに特訓されました。彼は、私と『浦島太郎』や『どうして猿の
尾は短い?』を読んだことを覚えていました。その頃は、一戸建ての家に年若い祖父母と、祖母の姉と、姉のような叔母2人と
従姉妹と、母と、犬や猫と、大家族で住んでいました。その後、リーマンショッ
クで仕事がなくなり、一家は家を売ってブラジルに戻りました。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ありがとうございます。
彼は、ブラジルから6年の4月に帰国し、今の学校に入りました。祖父母も離婚
し、祖母は新しいおじいさんと暮らしています。彼は、本当の祖父と母親と新しいお父さんとアパートに住んでいましたが、いつ
の間にか祖父は別のアパートに住むようになっていました。母親と新しいお父さ
んが夜勤のため、夜は祖父のアパートに行くそうです。祖父が朝早く仕事に行く
のですが、母親の迎えが遅れてよく遅刻し、「お母さんうざい。」と言っていま
した。七夕の短冊に、「これから先、何も起こらないように。」と書いてあったのが印
象的でした。小中学校に通う外国籍の児童生徒は、今はほとんどが日本生まれです。ただ、このように学習が中途半端になる子もいます。小学校高学年や中学生になると、プライドもあるので、徹底的にやらなくなります。
彼も、担当の先生に出された漢字の宿題をろくにやりませんでした。もし、国語
の教科書の音読と漢字ドリルだけの授業だったら、下級生と一緒にやる取り出し
教室で率先してふざけ、「トイレ」、「黒板に落書き」、「床に寝る」を続けて
いたでしょうね。暗記や書き取りなど、意味のない単純作業を嫌がる国民性もあ
ります。最後にやった『アラジンと魔法のランプ』では、初めて見る文章を途中まで自分
で読もうとしました。一昨日の卒業式には、38度の熱でもスーツで参加し、再三
座り込みながらも苦手な呼び掛けをしたというのは立派でした。彼は、いいとこ
ろを見せたかったのでしょう。私は10年通訳兼指導員をしておりますが、国語の教科書の抽象的な物語文では、このような外国籍児童を引き付けることはできませんでした。しかし、子どもたちは、どんな勉強をした後でも、多読文庫は読みたがりました。来年度も別の学校で、多読文庫が使わせていただけるといいなあと思っております。
皆さまのご尽力に、深く感謝いたします。
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今は、外国籍児童に限らず、日本人の子どもでも、複雑な家庭環境の子どもが多いようです。
卒業式に来た保護者は、「新しいお母さん」とか、「本当のお父さん」という言
い方をされていました。まあ、彼のように、祖父母も離婚している家は珍しいですが。日本に来て、バラ
バラになる家庭は多いです。彼には、私と出会った1年の時にいた学校や、その頃の大家族が、忘れられない思い出でしょう。よく、当時の先生や友だちの話をしていました。
ですから、『女の子』という話に、実体験をもって共感するのです。
この子が七夕の短冊に書いた願いの前には言葉がありません。
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