NPOの多読講座受講生は期待をはるかに越える変化を示しています。
その中でも驚くべき変化は英語が非常に苦手だったという Y さんの例です。
(水曜多読講座の報告の中で何度か書きました。)
Y さんのお許しをいただいたので、Y さんの多読的スピーキングの録音を
みなさんに聞いていただきます・・・
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NPOの水曜多読講座がはじまったのは昨年の9月、絵からはじまって、
音へ、文字へと少しずつ吸収して、多読的スピーキングがはじまったのは
今年の1月でした。(その後2月からは多読的ライティングもはじまりました。)
受講生8人の中にはもともと従来の英語はしっかりやった三人、
海外生活経験者三人、ほとんどゼロからはじめた人三人、という具合に
多彩な顔ぶれでしたが、Y さんはゼロからの一人。
1月最初の多読的スピーキングでは、本人の弁によると
「イエス、ノーしか言えなかった」
(このときの録音は先日の iPhone 初期化事件で失われたようです。)
そこから3回目の1月23日はもうこんな具合です。
20130123 吉江さん Little Women.zip
約2分半の間「若草物語」の段階別読み物版の英語によるbooktalkが
続いたあとで、日本語の読書相談が混じります。
多読的スピーキングが日本語英語まじりではじまるというよい例になっていると
思います。
NPOの講座の読書相談はこんな雰囲気なのですね。
それから数週間後、2月20日の多読的スピーキングはこんな具合でした。
(ここでは2月20日のファイルがうまくアップロードできません。
こちらの記事からダウンロードしてください。)
以前のブログで紹介した wash away the dust は1分頃から聞いて下さい。
この時にはもう自信を持って楽しく読んだ本のbooktalkをしていることが
感じられませんか?
一人で5分間、かなりの速さで話し続けましたね。まったくたいしたものです。
1月23日とくらべても沈黙の時間がほとんどないことがわかると思います。
(ちなみに電気通信大学の学生がこのくらい話せるようになるには10時間くらい多読的スピーキングをしたあとでした。)
それにどういうわけか、文法もそうめちゃくちゃではない・・・
非常に不得意だったという自己申告なのですが、もう一度どのくらい勉強しなかったのか、はたまた結構勉強したことが9月以来の多読で花開いたのか、その辺を確かめることにします。
どうです? 衝撃的ではありませんか?
* Y さんが1月初めから2月20日までに英語で話した時間はせいぜい30分程度!
* 言葉の種類がかなり豊か。
これまでに読んだ冊数はおそらく400冊くらい?
語数にして30万語というところ? それにしてはこの自在さはどうだ!?
実際に声には出さないそうですが、どう要約するかを考えてから家で数回
頭の中で英語でbooktalkをしてみるのだそうです。本から借りてきているのでしょうね。
* 2月20日の速さはたぶん100wpm(分速)くらいでしょうか?
英作文会話ではないことがわかります。
(この数字はsignificantかもしれません。文字ばかりの英文を読む場合も、
ざっと100wpmで読んでいると、たぶん和訳せずに読んでいそうだと、
見当をつけます。多読的スピーキングの場合も分速100語くらいだと
日本語を考えてから英訳していないのか?)
この速さなら、話し相手が友だちだったり、こちらの言うことをどうしても聞き取りたい
という場合はかなり滑らかなコミュニケーションが成立する速さだと思われます。
(つまり、相手をいらいらさせなくて済む・・・)
最後にもう一度 Yさん の言葉を借りると、
「間違ってもいいんだ、と思ったことが大きかったですね。」
とのことです。
要するに、やさしい言葉を場面とともに大量に吸収して、その上で「間違えてもいい!」という場面があれば、多読をしてきた人のうちかなりの数の人は、きょうにも、あしたにも、あさってにも「ほどほどの会話」を始められるかもしれないという可能性があるわけです。
実はこのことはわたしが4年前に「東1号館716室」で書いたことを Y さんが
実証してくれたようなものなのです。ぜひもう一度、
「多読的おしゃべりについて」
のページを読んでください!
そう言っても読まない人のために、いちばん大事な点を書いておこう。
「話すことは読むことよりはるかに短い時間でできるようになる!」
大事なのは気持ちの持ちようだというわけです・・・
(それと、こっそり付け加えると、一語の返事からたくみに長い返事を引き出すお手伝いの存在ですね。日本語の先生はみんなそれはできるそうですが。)
これからも Y さんをはじめ、講座のみなさんの様子を報告します。
お楽しみに!
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