蘊蓄オフ会はほかのオフ会と同じく、いつも時間が過ぎるのが早いのですが、
今回はとくに早かった! 3時間があっという間に過ぎました。
途中で予定していた中休みを忘れたほどでした・・・
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テーマは翻訳。
実はこの4月からわたしの研究室で卒業研究をやる学生が二人いて、
そのうちのひとりがSFの翻訳をやりたいと・・・
それで毎週火曜日4時半からその人が好きだというSF作家のサイバーパンク
SF(?)を翻訳してきて、それを「グリーン」さんとわたしともう一人の卒業
研究生で突っ込みます。
これがまたおもしろい!
それで、グリーンさんが「蘊蓄オフでわたしも翻訳をやってみたい」と言い出して、
実現したのがきのうの翻訳蘊蓄オフという次第。
くわしく書いたら3時間分の議論を全部書くことになりますが、ここはいつもの
箇条書きで・・・
* 素材は超短編で、翻訳してA4、2ページ半。
* いかに短いとはいえ、自分の翻訳にみんなが突っ込むのをなんとも思わない
グリーンさんにちょっと驚いた。みなさんにそれを言ったら、
「ここは突っ込まれるためにネタを出すんでしょ」と一蹴されて、もっとびっくり。
多読はいろいろな「恥ずかしがり」を解き放つのか?
* (案の定)最初の1時間で段落一つしか進まなかった。
けれども量ではないですね。実に中身の濃い議論が続きました。
たとえば her を「妻の、彼女の、トレーシーの」どれにするか、
はたまた her は訳さない( × )ことにするか、
この四つの選択肢で延々とみんなで議論!
* それから急いで1ページ終わったところで2時間半が経過。
* 残りはグリーンさんが朗読して、みんながどうしても突っ込みたいところだけ
突っ込むようにして、なんとか結末まで行きました。
わたしの気がついたこと。
翻訳も創作もはじめから最終形が見えていてそこに近づくのではないの
ではないか? あらゆる部分が関連していて、ちょっと一部を直すとほかの
ところに影響が出て、永遠に動き続け、変化し続ける。
できあがりというのは、どこで思い切るか、かな?
* グリーンさんを除いて、ほかの人は原文を見ていません。
純粋にグリーンさんの訳文だけを読んで、疑問を呈したり、なるほどと
うなったり、突っ込んだり・・・
数カ所英文を参考にしましたが、それはわたしが読み上げました。
Skype組の「パッチ」さんと「みぃみぃ」さんにはわたしがチャットで書いて
送った。
* 最後になんとおなじ翻訳を村上春樹さんが訳しているのを朗読して、
グリーンさんの翻訳と「対決」。大方の意見ではグリーンさんの翻訳に遜色が
ないどころか、部分的には勝っていた!
なお、その後グリーンさんが村上さんの翻訳を読み直したところ、
「英語は村上春樹さんの方が読めている」そうです。
* みなさんのコメントや突っ込みの鋭さに感服。
言葉に対する感受性、知識の広さ(英語も世界についても)、
どれをとってもあの10人が束になれば巷のほとんどの翻訳家よりも
よい翻訳ができる。 (これはすごいことです!)
* 次回の超短編は小川高義という人が翻訳しているそうです。
グリーンさん対小川さん、小川さん対10人(?)の対決が楽しみ!
* オフ会のあとの飲み会でおもしろい企画が次々と・・・
次々回はみんなで原文を見ながらグリーンさんがどんな苦労をしたか、
工夫をしたか、講義形式で蘊蓄オフ。
その次は「みちる」さん提案の「みんなで翻訳」。
お題は The Happy Princeの最初の数段落。
‘Swallow, Swallow, o little Swallow.’ まで。
原文はGutenbergにあるとみちるさんが知らせてくれました。
http://www.gutenberg.org/dirs/etext97/hpaot10h.htm
* 大変毒が強いという意見と、そうでもないのでは(「ジャブロー」さん)という意見が
ありました。
ジャブローさんによると、なにしろ英文を見ながらではないので、
毒性は強くないのでは、とのこと。
今回はいつもメンバーだけだったので、次回は「そうでもない」という意見を
容れて大公開しようと思います。どなたもどうぞ!
Skype参加は24名まで、聞くだけ参加も大歓迎です!!
以上、びっくりの報告でした。
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