日本語のシャドーイング!

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シャドーイングの評判は必ずしもよくありません。
すでに「こども式」でもそのマイナス点とりあげたことがありますが、

*おもしろくない、進歩が感じられない、どういう素材でやるのかわからない

など、いろいろな感想があります。

で、今回は新しい試みです。 
在日留学生による日本語のシャドーイングでどんな感想が出たか?

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きのう、ある日本語学校で「シャドーイング発表会」が行われました。
その際、一人終わるごとに参加した学生たち全員と先生が感想を書きました。
その中から取り出した代表的な意見です。そこから覚え書き風に・・・

* 「そのまま続けたらうまくなるよ」 
かなりの数の学生が、ほかの留学生のシャドーイングを聞いて、こういう感想を
持ったようです。

きのうの「DVDで音のミニオフ会」後の夕食のときに「そふぃ」さんに
シャドーイングを聞かせてもらって、わたしが言った感想もこれでした。
これはまたいろいろな人のシャドーイングを聞かせてもらってわたしがいちばんよく
言う感想であります。

たしかにシャドーイングにはさまざまな障碍があり、それはすべて克服されては
いませんが、多読的シャドーイングの利点はたしかにあります。
一つには細かいことを気にしないためか、非常に短時間で英語独特の音に
なっていくようなのです。

この学生たちはここまで多読的シャドーイングをやった時間は6、7時間!
その音を聞いて、一緒に学ぶ学生たちは「このまま続ければ日本語らしい音に
なっていく」と感じたのでしょうね。

日本語には英語の場合のように「口の開け方」だとか、「舌の位置」といった
「発音練習法」がないことも幸いしたのかもしれませんが・・・

    (ほぼおなじ逆のこと(?)は電気通信大学の学生にも言えます。
     ほとんどみな「発音」には気を遣ったことがなく、音読さえちゃんとは
     やっていなかった学生たちで、いわば英語の音についてはほぼ
     「未経験」なのです。)

*「本を見ないほうが上手だった」
途中まで英文を見ながらシャドーイングしていて、途中から文字を見ずに
シャドーイングした人が何人かいました。

シャドーイングには「はじめ方がわからない」という不満もよく聞きます。
多読は「YL0」からはじめればよかったのに・・・!」と。

くわしいことは「716室」の「多読的シャドーイング」で書きますが、
そうした声に応えるべく少しずつ敷居の低いやり方を見つけてきました。
「ながらシャドーイング」であり、「聞き読みシャドーイング」などですね。

で、聞き読みシャドーイングには文字を見ながらシャドーイングするので、
まったくついていけないという不満がない代わりに、シャドーイングではなくて
音読してしまう危険もよくあります。

ながーーーい前書きになりましたが(それというのも多読的シャドーイングに
ついて「716室」に解説を書いていないからですが)

この感想は文字を見てしまうと頭の中の「カタカナ英語」でシャドーイングして
しまう可能性を物語っています。

    (現在、きのうのシャドーイング発表会から見本を選んでいるところです。
     うまく見つかれば、MP3ファイルにして、みなさんにもシャドーイング発表の
     途中からテキストを見なくなって、そこから日本語らしさが出てきた例を
     お耳にかける予定です。)

* 「大げさだと思うくらいにやるといいと思う」
こう書いた人は20数人中2人だけでしたが、これはいわば「なりきりシャドー
イング」を勧めていると言えるでしょうね。

最後に、留学生のシャドーイングを聞いたある日本語の先生の感想を・・・

* 「ときどき日本人っぽい音が出ているのを聞いて、シャドーイングをやるという
のはこのためにやるのかということがよくわかった。うまく繰り返すこととはちがうの
ですね。」
うれしい感想です。この日本語の先生はシャドーイングをなぜやる必要があるのか
わからなかったのですね。でも、学生たちの発表を聞いて、普段耳にしている
学生たちの「なまり」がところどころ消える瞬間を「目撃」したようです。

そこまで到達するのに6、7時間! これは実に短期間だと思いませんか?

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ところでこれまでも日本語多読についてはときどきお知らせしてきましたが、
つい最近新たな企画が飛び込んできて、もし実現したらおもしろいなあと
期待に胸をふくらませています。いつか決まってみなさんにお知らせできると
いいのだけれど・・・

期待がしぼんでもお知らせしますね。