学校訪問 2009年度版公立高校編 第1回

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多読は学校にも広がってきて、ここ2年ほどは公立高校でも多読を本格的に採り上げ
るところが出てきました。

とくにこの4月からは東京の都立高校に伺うことが非常に多くなりました。
今週は月曜日ときょう(水曜日)と二校も訪問ということになります。
そこで、ちょこっとこのところの様子を覚え書き程度に記録しておこうと思います。

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多読がまず社会人の間で広まりはじめて少したったころ、
わたしは「サンドイッチ作戦」ということを言い出しました。

つまり、多読が学校英語の土台になることを夢見るけれども、文部科学省の指導
要領がある限り無理だろう、それならば社会人の成果を背景に児童英語に
多読を取り入れてもらい、学校大学を上と下から挟み撃ちにしようと考えたわけです。

途中はいつかまたしっかり書くことにしますが、その作戦が思ったよりも早く進行して、
多読は社会人から、児童英語教室へ、そして高専へ、私立中高一貫校へと広がって
きました。

    (予想通り、指導要領から「自由な度合い」に従っています。
     そのほかにもたくさんの学校訪問から得た見聞ではおもしろいことが
     いくつもあるのですが、くわしくはいつか・・・)

いちばんむずかしいのは大学だとして、公立中高に入るのはその次くらいに
むずかしいだろうと考えていました。ここでも少々はしょりますが、一番の理由は
指導要領、二番目が予算です。

指導要領については根本的な問題点を「さよなら英文法!」に書きました。
予算については公立高校の英語科全体の年間図書購入費が5万円くらいですから、
多読図書購入のハードルの高さは推して知るべしでしょう。

ところが、ここで、とんでもない人たちが登場しました。
都立高校の先生数人が、きびしい状況をむしろ楽しむかのように、
さまざまなやり方を考え出して、多読を取り入れはじめたのです。

これにはまだ先があり、微妙な問題を含むのでいまは書きませんが、
いつか都立高校の方法が確立され、全国に広がるといいなと思っています。

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現状はそういう段階だとして、4月からの訪問校を簡単に挙げておきます。

4月 都立大田桜台高校 (2回) 
    都立千早高校
    都立杉並総合高校 (2回)
    私立明星学苑
    奈良育英西高校

5月 私立明星学苑   (2回)
    全英連発表打ち合わせ (全英連は全国の公立高校の先生方の団体で、
                                 そこで発表する千早高校の先生の助言をします。)
    都立福生高校
    中央大学付属杉並高校

6月 私立東京女子学院
    都立福生高校
    私立明星学苑   (2回)    
    都立小金井北高校

7月 都立大田桜台高校
    都立稔ヶ丘高校

そのほかに、逆にわたしの多読クラスを見学してくださる人たちは(先生方も含めて)
引きも切らず・・・ ほとんど毎時間、どなたかが見ていてくださいます。

で、きのうは稔ヶ丘高校に行きました。公立高校は多読には厳しい環境だと
書きましたが、そこで多読を取り入れようという先生方はしたたか!
大変な行動力と、粘り強さと、多読に対する理解をお持ちです。

小金井北、大田桜台、稔ヶ丘高校の各校はここまでのところでは非常にうまく行って
いるとわたしには思えました。三校とも、ほとんどわたしからの助言など必要なかった!
多読クラスの最初の段階では「場ができること」が大事だと考えていますが、
三校ともすでにできあがっていましたね。大田桜台ではおしゃべりがありましたが、
強制的に止めさせた方がいい場合と、放っておいても大丈夫な場合があって、
後者の場合だと思われました。基本的に「ここは多読・多聴の場」ということが
生徒によく伝わっているので、どんどんほかの人の読書を邪魔する方向に向かうとは
見えませんでした。

そして三校とも、次の段階に進んでいました。
それは「リーダーが出てくること」で、三校ともびっくりするくらい読んでいる人たちが
いました。全体を一斉に無理矢理押し上げようとするのではなく、リーダーになった
生徒と先生が「あれおもしろかったねえ、これはつまらなかったねえ」という話をする
だけでほかの人によい刺激になると思われます。

ただ一言だけ先生方に言ったことは「多読クラスはジェットコースターですからね、
今後どんな不調が訪れるかわかりません。いまはうまく行っていますが、そういう
覚悟はしておいてください。」ということでした。

そういう覚悟はたくさんの多読クラスを見てきたわたしにはいつもあります。
どのクラスを見ても変わらないただ一つのことは「変わっていく」こと。
多読クラスはまことに rollercoaster ride であります。先のことはわからない。

とはいえ本に、CDに、集中する生徒を見るとうれしくなって、できるだけのことをして
やりたいと思わずにいられません。またこうした学校を訪問して、いつか報告します。
それまで、これをお読みのみなさんも、覚悟しつつ、楽しみにお待ちください。

追伸
なお、どの学校もすべてこのサイトのメール・フォームからはじまったおつきあいです。
ぜひほかの学校の先生方も連絡をください。伺います。そして授業見学を歓迎します。

なお、なお、授業見学は学校の先生だけではありません。
一般の方も、こどもも、大歓迎です! 気軽に連絡をください。
たとえば15日にはある大学の先生が、そして24日の金曜日には一般の方が
見にいらっしゃいます。ご参考まで・・・