日本語多読の現場から・・・ 1

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英語の多読については「やっぱり単語を覚えなくてはいけないのでは?」とか、
「基礎の文法くらいやってから多読した方がいいのでは?」と思っている人も、
日本語を勉強する留学生の様子を垣間見たら、すこし意見が変わるかな?

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ある日の授業で。
毎回始めに5分から10分シャドーイングするのだが、一人一人をチェックして回っていったときのこと、ある学生の机の上に小さなノートがあった。単語帳だった。ひとつひとつきれいに意味や例文などが書いてある。意味は、韓国語で。その学生の几帳面さは、講師室でも有名。
早速、この単語帳の使い方を聞いてみると、「授業や生活の中で聞いた知らない言葉を書き留めて、調べて、書いておいて、電車の中で眺めて覚えるようにする」とのこと。うーん。それで覚えられるのかなあ・・・としばらく私と話し合い。
彼は、話すのが上手だが、読むことに苦手意識が強く、読むのがとっても遅い。一つ一つの言葉で止まっているのだろう。飛ばす、ざっと読むがまだできていない。
よく勉強しているわりに、能力試験の成績は芳しくない。本人は、試験に弱い・・・と言い訳するが、私はこの「単語帳式勉強」が、彼の読解能力向上の足かせになっているんじゃないかと睨んでいる(もちろん、私は能力試験はどうでもいいと思っているのだけれど)。
確かに試験に出てくる文章には知らない言葉がたくさんある。知っていれば読めるのに・・・と誰もが思うだろう。しかも試験では短い文章の意味を理解して、細かい設問に答えなければならない。だから、学生はますます単語帳づくりに励んでしまうわけだ。
ーでもねJくん、これを続けていても読めるようになっていないでしょ?そう思わない?ー
ところが、学生は、それでも読解の点数がよくならないと、やり方が甘いからだと誤解して、ますます単語帳と首っ引きになる。試験前なら、それもしかたないけれど、この学生はもう半年以上この作業をやっている・・・。そうじゃない読み方をたっぷりしなくてはだめだと言っても、なかなか腑に落ちない様子。
そこで、クラスを改めて見回してみると、単語帳作っている学生が、あっちにも、こっちにもいる。ショック!!!中には、聴解試験に出てきた単語を単語帳にしている学生も・・・。

改めて「単語帳信仰」がどれだけ根強いか感じさせられた。
1か月後の能力試験が終わったら、単語帳撲滅作戦を本気で開始しようと思う。それには多読多聴しかないけど、道は険しそう・・・。

元の記事は次のブログから・・・

http://blog.canpan.info/nihongo-tadoku/