「私の多読」がなんで「話す」のカテゴリーに?といぶかしがる人もいるでしょう。
でも、多読が直接話すにつながった体験談として、貴重な一瞬を捉えてくださったと思うのです・・・
私の多読
私が多読を始める直前に読んだ本から、まずご紹介しようと思います。
絵本の“Beauty and the Beast”。96ページまでありますが、見開きに大きく絵が描かれていて、そこに書かれている文章の語数は、各50から100語程度です。この本をしっかり理解できるようになれば私の英語力は上がると思い、辞書で単語を調べながら読み始めました。ところが、各ページ毎に、調べる単語が10も20もあります。それらを調べてはノートに書き記していくと、すっかり疲れてしまい、その日2ページ分調べただけで、完全に挫折してしまいました。主役のBelleさえ登場する間もなく、私の“Beauty and the Beast”は終わってしまったのです。
これは困った。こんな子供向けの本も満足に読めないのかと自分の英語力に危機感を感じました。どこかの英会話学校に通おうかと思いましたが、そんな時ふと、みさたさんが多読というものを始めたと話していたのを思い出したのです。
彼女に連絡を取り、多読の3原則の話を聞き、辞書を引かなくてよいという魅力に惹かれて、早速始めてみることにしました。ただ、効果の程はあまり期待しませんでした。100万語なんてとてつもなく大きな数字でしたし、ペーパーバックはレベルが高すぎて読めるようになるわけがないし、読みたいとも思わないと感じていました。 一昨年の5月のことです。
当時、みさたさんはまだ、多読教室を開いてはいませんでしたので、私は現在の生徒さんのようにYL0からの出発ではありませんでした。25冊目にYL2.4の本が、28冊目にYL3.5の本が記録されています。あの時、内容は何とか理解でき、面白かったのですが、読むことに疲れを感じたことをおぼえています。それ以外、100冊まではYL1以下がほとんどを占めています。
30万語を越えてから、英文を読むのが楽になってきました。いちいち英文を日本語に置き換えず、わからないところを適当に飛ばすことに躊躇しなくなったのがこの頃だと思います。本を読むスピードも自然と速くなりました。
1年後に70万語になりました。 英語力がUPしたかどうかはわからなくても、とにかく楽しくなっていました。マンガの「のだめカンタービレ」を英語で初めて読み、けらけら笑えることが快感でした。
その年の夏、アメリカ人を4泊ホームステイさせたのですが、自分の中のちょっとした変化を感じました。学校で習って知っていた単語、でも、会話で使ったことはなかった単語が口から出てきたのです。話してみて、「あれ・どうして私こんなこと言えるんだろ? そりゃ、学校で習った言葉なんだから知ってるはずよ。 じゃあ、どうして今まで使ったことがなかったの? どんな風に使えばよいか知らなかったからでしょ。」と心の中で、自問自答してしまいました。今までは、単語や熟語を覚えても、使い方をわかっていなかったと気付く、貴重な体験でした。本のなかの登場人物たちが使っている様子を何度も何度も読んでいるうちに、使い方がわかってきたのです!
ここがいいですね! 単語としては知っていても使えなかった言葉が、「本の中の登場人物たちが使っている様子を何度も何度も読んでいるうちに使い方がわかってきた」のですね。「物語の力」を地で行く報告ですね。
現在の語数は120万語。100万語通過直前、シドニーシェルダンのペーパーバックを夢中になって読んでしまいました。英文で(当たり前ですが)分厚い本なのに、めちゃくちゃ面白かったです。ドキドキしながら一気に読みました。
「100万語」「ペーパーバック」どちらも期待すらしていなかったのに、いつの間にか自分のものなっていました。
酒井先生の講演会で多読の体験報告をすることになり、2年ぶりで私のトラウマとなっている「美女と野獣」を引っ張り出しました。今読んだら、どんなによく意味がわかるだろうと期待していましたが、実際にはそうでもありませんでした。 ただそれは、単語の一つ一つの正確な意味を言えといわれたら困る、ということです。辞書に載っているような正確な意味はわかりませんが、感覚としてはわかる言葉がいくつもありました。「この言葉はいらいらするような時に使うもの」、「この言葉は強く主張するような時に使うもの」という感覚はできているのです。そこまで行かなくても、「意味はわからないが何度も目にしている親しみのある単語」は、かなりたくさんありました。それは丁度子どもが、大人の話を聞きながら言葉の意味をなんとなく理解してきて、間違った使い方をしながら徐々に自分のものにしていく、そういう過程なのかなと思うのです。これから、日本語に訳せないけれど(訳す必要もないし)、自分の中で理解できる言葉がどんどん増えていくのがとても楽しみです。
これからも、勉強ではなく趣味として、多読を楽しんでいこうと思います。
たこぼさん、ぜひぜひそうしてください! 趣味として、英語の本を楽しんでください!!
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