番外篇では少々また「とがって」しまったようです。ずいぶん抑えたつもりで、何度も書き直したのですけどね・・・
で、「Whiskers」さんがメールを寄せてくれました。外国人教師と日々つきあっている中で、わたしの体験とどの程度重なるか?
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酒井先生こんばんは。
今日は「多読支援の先生の条件」ということで、いつもに増して興味深く読みました。MLの方でも先生が「英語母語話者の英語教師は頭が固い」と書いておられ、ひとり「そうだそうだ!」と喜んでいましたが、ここでも言及されたので、「大賛成!」とお知らせしたくてメールを書いています。
MLに書いた文言は訂正します! 「頭が固い」というのは絶対言ってはいけませんでした。母語話者の英語教師が読んだら非常に傷つきますね。またしても大失敗です。
「英語母語話者の英語教師はなかなか多読三原則を受け容れられないようだ」に訂正します。
私の勤務校は、常勤講師が10名という大変小さな専門学校ですが、その10名中6名がネイティブです。この学校で非常勤講師をして下さっている Pattyさんが多読を導入されました。当初、ネイティブ教師達の反応は非常に冷たいものでした。まず、「あんなやさしいものを読ませて・・・。」という反応です。その後私も多読にはまり、ラッキーにも1年生のReadingの授業を担当させてもらえることになり、そこで多読のを紹介し、現在に至ります(今年が3年目です)。図書室だけでなく、私の部屋に英語の本がどんどん増えていき、女性で同じ年頃のネイティブの教師とはHarry Potterの話をしたり、Debbie Macomberの本を貸してあげたりするようになり、少なくとも表立って多読の批判を英語母語話者教師がすることは減ってきました。それでもまだ、私の部屋に置いてある絵本などを見て馬鹿にした笑いを浮かべる人もいます。そういう人には心の中で、「あんたはこのレベルの日本語の本読めるのかああ!?」と毒づいています。職場の平和のため、あくまでも心の中で、ですが。
そういえば昨年XXX大学で多読の話を英語でしましたが、それは東海大学の日本人の英語の先生から、母語話者の英語の先生たちに話をして、Oxford Reading Treeから読ませるように説得してほしいという要請があったためでした。
わたしは検定教科書がどれほどひどいかを、Hello There という教科書を例に説明して、大学入学者はこんな教科書で勉強してくるのですよ、だからゼロからやり直した方が早い!と説得を試みました。
幸い、説得に成功。ORT購入に反対していたという先生が、講演のあとさっそく近づいてきて、ORTを購入することにしたと言ってくれました。そのほかにもわたしの話し方を Carl Rogers という学者(心理学?)にそっくりだと言った先生もいて・・・ ああ、XXX大学はその後どうなっているんだろう?
PBの貸し借りなどをするネイティブの先生は日本語も非常に流ちょうで、読み書きもかなりできるので、かなり理解を示してくれます。自分にはハリー・ポッターの日本語版はとても読めない、というように。
Japan Association of Language Teachersという学会でやはり英語で発表をしたときのこと、終わるとすぐある母語話者の英語の先生が寄ってきて、多読はすばらしいと思うが、話すことにどれほど良い影響があるか疑問だと深刻な相談を持ちかけてきました。
この人は赤川次郎のミステリーなどをいつも読んでいるけれど、「お聞きの通りわたしの話す日本語はひどい」というのです。わたしは、それはやさしい本や絵本をたくさん読んでいないからかもしれないと言いました。「そうかもしれない」と半分くらいしか納得していない表情でした。でも、さすがに日本語の読書を楽しめるようになっているので、多読そのものはすばらしいと思うといっていましたね。これで、もっときれいに話せるようになればいいのだがと・・・
また、酒井先生が書いておられた「自分は英語ができると思っている教師」の姿は、まさに過去の私そのものでした。私は学校英語でそこそこ英語ができるようになった、と思いこんでいて、だから必ず生徒もできるようになると信じて教えていました。二重の誤解でしたが・・・・。
ほとんどの英語の先生は「善意の誤解」なのです、Whiskersさんのように。自分ができるようになったやり方をぜひ生徒にも伝えたいと。
けれども、あの記事で書いたように、英語の先生になれるほどの努力はほとんどの生徒はできないわけですね。その事実を受け入れて、そこから出発して、「わたしができるようになったやり方はだれにでも通じるものではないかもしれない」とまで反省できる先生は残念ながら少ないようです。善意だけに、反省のきっかけがないのでしょうね。
(本日の問題発言:世の中を悪くしているのは「自分は誠実だ」と思っている
人たち)
酒井先生の言われることは共感・納得することが多いのですが、私は「酒井先生が言われることが全て」とは思ってはいません。自分も多読し、生徒に多読を勧めつつ、楽しくかつなるべくあまり遠回りせず英語を身につける方法を酒井先生やみなさんのご意見を参考に、ぼちぼち探っていきたいと思っています。多読も多聴も、私にはよく合っているけれど、どうも誰にも万能のmagic wandというものには懐疑的なので・・・。これは、magic wandだと思っていた「学校英語」がだめだった、という経験のせいかもしれませんが。
もちろんです。わたしだってまだ知らないことばかりです。ただ、「こども式」は magic wand、聖杯になる可能性がおそらくいろいろな方法の中でいちばん高いのではないか、とは思っています。まだまだたくさんの例を観察して行かなければなりませんが・・・
ではでは、今晩はこの辺で。これからもとんがったご意見、期待しています
はい、できるだけ慎重に言葉を選んで、とんがりたいと思います。
Whiskersさん、これからもよろしく!
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