いまwww.seg.co.jp/sss/の「英語のことなんでも」という掲示板が
「多読と文法」という話題で盛り上がっています。
まあ、外国語に関する掲示板だから「文法」が話題になるのは当然ですが、
それにしても例の synchronicity (時間的偶然の一致?)とでもいうのか、
なんと、わたしがきのう発売の「多聴多読マガジン」第7号で、ひっそりと書いた「GI、GII、GIII」という話題そのもの!
「acha758」さんが提起して、いろいろな論客がリンクに躍り込んできて
いまや乱闘必至という雲行きです。
で、わたしはというと、いまのところ静観です。雑誌に書いたばかりだし、
そこで書いたことをほぼそのまま書いたら雑誌の売れ行きに暗雲が・・・
(んなこたぁ、ないか・・・)
まず、acha758さん・・・
〉〉でも、「正しい」表現って、存在するのではないでしょうか?
〉〉例えば、日本語の場合、「全然」ときたら「?ない」と受けるのが文法ですよね?
〉〉「全然面白くない」などのように。
〉〉ところが、最近は「全然面白ーい!」などのように言うことがあります。
「正しい」という表現が「文法的に正しい」という意味なら、「正しい表現」は存在しないと言い切っていいでしょうね。そもそも正しいも何も、文法が解明された自然言語はまだないので、正しいかどうかを決める基準となる「究極の文法」がそもそも存在しない!
どうしても「正しい」が気になる人は、たとえばWebster International Dictionaryの第3版を見るといいです。発音はほとんどあらゆる発音を載せてあるし、本来複数形がないと言われている名詞の複数形も載せています。「ありのままを記述すること」をめざした辞典だからですね。
そのために日本の「規範的辞書屋さん」たちには評判が悪かった・・・
ちなみに、この辞典はランダムハウス大英和の元になったRandomhouse Dictionaryより大きくて、北米最大の辞書といっていいでしょう。(Ryotasanさん、そうだよね?)
で、たかぽん・・・
〉その時代、地域、年齢層などの中で、コンセンサスを得られている表現、というのはあるでしょうね。
〉(ちなみに、「全然」は、昭和初期には「全然賛成する」などと使われていたようです。
〉 反対に、「とても」は否定語を伴わないとおかしい、と言われていたそうです。)
この例一つで、「文法的に正しい」論議は雲散霧消してしまいませんか?
で、acha758さん・・・
〉〉そのような表現は、日本語として正しくないので、
〉〉(あの人は、日本語がおかしいな)と思われるという、社会的ペナルティーがあると思いませんか?
〉〉そして、良心的な人は、「とっても面白い」でしょ、と注意したりすると思います。
〉〉少なくとも、公式な文書で出す場合は、推敲の段階で直されるはずです。
すぐ下でたかぽんも同意していますが、acha758さんの言うとおりだと思います。「社会的には正しくない」わけですね。
〉こういうことがまさに上に書いたようなことで、ただ単に事実上のコンセンサスが得られているだけなのに、
〉規則のように「正しい表現」があると思い込まされているだけだと思います。
〉事実と規範の混同です。
〉(公文書の場合は、ルールが定められています。)
文法の歴史でいうと、多分「規範文法」と「記述文法」のちがいに当たるかな?
規範文法って、こわそうですが、本当にこわいものです。
この文法で「正しくない!」と烙印を押されると、両の手のひらを上に向けて、鞭で叩かれたりした・・・
日本でいうと、いちばん規範的だなと思うのは「ジーニアス英和辞典」ですね。
あれは、いかん・・・
実に厳格に規範的で、「これは正しくて、これは間違い」なんてことばっかり!
あの辞書を使って英語を使えるようになるのは至難の業でしょうねえ・・・
記述文法は、くらべて実におおらかなものです。
あるがままに、使われているままに「事実」として言語慣習を記録していく。
たかぽんの言うとおり、「事実」と「規範」を混同すると、
余計な鎖を背負い込むことになります。
さらにたかぽんはいう・・・
〉「スポーツ(競技)に『ルール』の習得が必要であるように、言語にも『文法』の習得が必要」、とは言えない、
〉なぜなら、「ルール」と「文法」は全く違うものだから。
〉前者は「規則」で、後者は「(学者が抽出してみた)規則性」だから。
そうだとわたしも思うのであります。
規則は仕組みや成り立ちには関係ない。慣習です。
規則性は仕組みや成り立ちの合理性のこと。科学に関わります。
(ただし、いかなる自然言語についても、まだ完全な規則性は
発見されてない・・・)
この件について、ぜひみなさんの感想をください。
ブログでも、掲示板でも結構です。
この際、SSSの掲示板と連携可能な間に
(次のメールマガジン「多読通信」でSSSにお別れします)
「語彙は多読で増えるのか?」に続く大問題、
「多読と文法」を一揉みしましょう。
(もちろんまたいつか再燃するでしょうけど)
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