内容語と機能語?

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内容語と機能語という話題で最近ブログの記事を書きました。
(どこへ行ったか見つからないのですが・・・)
あの記事は読んでいないと思われる古い教え子のNさんからメールをもらいました。それがなんと、「内容語と機能語」という話題にぴったりなので、ブログで使わせてもらうことにしました。
この話題に触れた記事は次のURLにあります。
http://blog.tadoku.org/?eid=760750
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Nさんは昨年度1年間アメリカの大学で研究生活を送りました。わたしの察するところ、(そういう話は具体的には一度もしたことがないけれど)学校英語の勝者と言っていいでしょう。
  (Nさん、決めつけてごめん。反論があったらメールをください!)
いまでは英語で論文を読むことはおそらくほぼ不自由ないのではなないかと想像します。

ところで、お教え願いたいことがあります。
先ほど、Michael ConnellyのA Darkness More Than Nightを
読み終わりました。
先生のおっしゃる「わからないところは飛ばす」を実践しているので、
「だいたいわかればいいや」で済ましています。
その場合、地の文や、この本でいえば法廷の応酬などは、8〜9割わかるのですが、
会話については、せいぜい4〜5割しかわかりません。
そのため、いわば「隔靴掻痒」の感が拭いきれません。
これも、多読の量を重ねることで解消されていくのでしょうか。
ちなみに、今読んでいて一番楽なのは、
日本、中国、朝鮮などの近現代史に関する専門書です。
これは、何が書いてあるか、大方予想がつくからなのでしょう。
paperbackをもう少しおもしろく読むことができる方法があれば、お教え願います。

わたしは上の記事の中でこう書いています。

特に専門的な内容の場合はそうです。専門的な内容の英文を読めるのは内容についての知識が主に働いて「読める」のであって、英語が読めるかどうかとは違う可能性があります。わたしの大学でも「専門書は読めるんですけどね。普通の洋書はどうも・・・」という先生がいます。

Nさんは専門書が読めるだけでなく、普通の洋書も読めます。おそらく何十冊も読んでいるはず。(それを書いてくれたメールが見つからない。壊れたコンピュータから取り出せない。)
でも「隔靴掻痒」の感を拭えない・・・
paperbackをもう少しおもしろく読むことができる方法をわたしが提案するとしたら、やはりやさしい絵本をたくさん読むことでしょうね。Nさんには「やさしすぎる」とは思いますが、Nさんは「やさしい絵本」の意義をわかると思います。
やさしい絵本で出会う「基本的な語」の大切さはあちこちで強調しているので、
もうここでは書きますまい。その大切さもNさんはすぐにわかって、次のようなメールをくれました。

御答えありがとうございます。
ORT蘊蓄というのが、よくわからなかったのですが、
内容語と機能語のお話はだいたいわかりました。
私の場合、専門書に関しては、
「英語が読める」ということよりは、
「英語で読める」ということが重要な場合が多いかと思います。
言い換えれば、
日本語や朝鮮語、中国語の書籍では得られない情報を
短時間で獲得する目的で、
英語の専門書を読む、
ということが多いようです。
それゆえ、
内容語をたどって読む方法も
時にはやむを得ないかな、と思います。

その通りですね。内容語をたどって読む読み方が十分意味があるのは、そうした専門書でしょう。斜め読みというのはまさにそういう内容語の中でもとくに大事な「キーワード」を追いかけて眼を滑らせることだと思います。

もちろん、時間とお金がたっぷりあれば、
大学などさっさと辞め、
もう一度ハワイにでも戻って、
徹底的にunlearnするのが良いのは重々承知ですが、
そうも参りません。
ただ、この場合、いしいひさいちの4コマ漫画にあったように、
伊賀で15年、甲賀で20年、戸隠で30年修行した老忍者が、
最後に「その結果、年の割には元気じゃ」と答えるように、
死に際に「以前よりは英語が少し読めるようになった」
と言える程度で終わってしまうのではないかと心配します。

ここにびっくり、大笑い!
というのは、いしいひさいちさんのこの4コマ漫画は我が家の大好きな漫画で、「歳の割には元気じゃ」もみんな覚えています。あれはおそらく世の中の「健康志向」を嗤ったものでしょうが、おなじように「多読志向」を嗤う漫画にはしたくないですね。
多読や多聴を含む「をさなごのやうに」は、そんなに長い間かかって、しかもわずかな成果しか得られないものではないはずです。いや、ないようにしたいと考えています。

多読に捷径がないのは覚悟しているつもりなのですが、
時間に追われています。

Nさんには「酒井さんはまたなんという誇大妄想を!」と嗤われるかもしれませんが、大人の経験と知恵をこどものわがままさ、柔軟さ、好奇心を「うまく」結びつけられれば、非常な短期間で(ということはほかの仕事と並行して「中期間」で)unlearnと吸収が可能ではないかと夢想しているところです。

せいぜい、
この3月までの英語空間の肌合いを思い出しながら、
paperbackの読書を楽しみたいと思います。
ちなみに、その時一番集中して英語のやり取りを聞いたのは、
3月の帰国直前に大学で開かれた
連邦税と州税の確定申告に関する、
外国人研究者のためのworkshopでした。
大学の担当者が、さまざまな質問に対して、
ある時には怖い顔をして、
また、ある時には困ったような顔をして、
“It’s up to you.”と繰り返していたのは忘れません。
こういう経験をたくさんできればいいのですが。

そういう実体験に迫るものが「paperbackの読書を楽し」むことだろうと思います。
そして、十全に楽しんでいないという焦燥感があるのですよね?
ぜひぜひやさしい絵本に戻って多読することを勧めます。
その方が結局早いと思われます・・・
Nさん、いかがですが? またメールをください!