多読と鈴木メソード 続々続 「マコマコ」さんからメール!


何度か話に出ていますが、多読を支援する人たち(相手はだれでもいい!)でメーリング・リストを作っています。そこにマコマコさんが「多読と鈴木メソード」について詳しい比較を投稿してくださいました。
で、その中にわたしは恥ずかしくそのままはブログに載せられない表現があったので、マコマコさんにお願いして、書き直してもらいました。それでもまだ面映ゆい(こんな言葉はわたししか使わない?)文章があるかもしれないので、わたしはこの書き直してくださった文章は読まずにそのまま再掲します。
それに第一、マコマコさんの文章を途切れさせるには忍びなかった。
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 ひめさんが9月25日のMLで「耳コピ」と題して「スズキ・メソード」をとりあげられたのには、びっくりしました。
約半世紀の間、英語教師をしてきて、日本人の英語教育関係
者からスズキ・メソードの「ス」も話題にした人は、1人も
いませんでしたから。そして私はスズキ・メソードのシンパ
ですので、感激してしまいました。「スズキ・メソード」も
「多読」も数少ない本物です。本物は世に広まらないと思っ
ていましたから。
 さらに、ひめさんはスズキ・メソードのサイトアドレス(http://suzukimethod.or.jp/index.html
)まで掲載して下さいました。松本にあるスズキ・メソード
の本部(才能教育研究会)は、大感激のことかと思います。
 スズキ・メソードも多読も本物であっても、「23番」の
方が言われるように異端なのでしょう。スズキ・メソードは
多読と同じ基盤にたっていることは、間違ないことでしょ
う。なぜならば、スズキ・メソードのヒントは子どもの母語
獲得から得たのですから。ことばに関係しているのです。
 
 それで簡単にスズキ・メソードと多読を整理して考えてみ
たいと思います。
1. 原則 
 スズキ・メソードの原則(才能教育5訓)
 ? より早き時期
 ? より良き環境
 ? より多き訓練
 ? より優れたる指導者
 ? より正しき指導法
 多読3原則
 ? 辞書はひかない
 ? わからないところ(単語)はとばして前へ進む
 ? つまらなくなったらやめる
 このような原則の中で、スズキ・メソードは名演奏家によ
る名曲をできるだけ多く聞くことをすすめます。指導者の先
生は、テープをよくきいいている子とそうでない子とでは、
進歩が全然違うと異口同音に言われます。
2. ポイント
 スズキ・メソードのポイント
 鈴木鎮一先生が幼児にバイオリンを教えることを親から頼
 まれて悩んで悩んでの末に、「そうだ、日本人のどの子も
 日本語をマスターする」ことに気づかれて、それがヒント
 になったのでした。その時の鈴木先生の喜びは大変であっ
 たというエピソードが残っています。なにしろ跳び上がっ
 てよろこばれたとのことです。
 
 そこでの一大ポイントは、バイオリンの最初の曲を「イ長
 調」から始めたことです。それまでの西洋のバイオリン練
 習曲は、ピアノ曲に順じ「ハ長調」から始めていたのでし
 た。これですと、指使いなどバイオリンを弾くのはピアノ
 より難しく、子ども負担が大きかったのです。それを「イ
 長調」で始めるという250年間の西洋音楽教育史では、画
 期的なことでした。
 
 多読のポイント
 酒井邦秀先生はコチコチの文法重視派でおられたようでし
 たが、なにかのきっ掛けで絵本の導入を考えられたのでし
 た。「多読3原則」から見て、絵本ほど良いテキストはあ
 りません。一見「そうにきまっているではないか」と言っ
 ても、その当然の意義を確信して実践し、広め始められる
 ということも、まことにユニークで画期的なことです。や
 はり、異端視されたことと思います。
3. 反復
 スズキ・メソードの反復
 「才能教育5訓」の1つである「より多くの訓練」という 
のがあります。スズキ・メソードでは、ある特定な曲が弾
 けるようになるのが目的でなく、それはスタートと考えま
 す。自然に指が動いてしまうほど弾きこむのです。皆で歩
 きながらバイオリンをひくというのは、その結果はじめて
 出来ることなのです。ある曲が弾けるようになったから、
 次の曲に進みましょうということはしないのです。
 日本音楽教育学会の会長さんもされた村尾忠廣さん(愛知
 教育大)が面白い話をされていました。入学してきた学生
 にバイオリンの最初の曲(「キラキラ星」)をか1ヵ月で
 切り上げて次の曲にうつるのと、それを6ッ月もやって次
 の曲にうつるのでは、あとの進歩がひどく違うと言ってお
 られました。徹底した反復はまことに意味があります。
 多読の反復
 楽器でもスポーツでも練習・練習と言われます。その際大
 切なことは、練習の質ですが、絵本の場合プログラミング
 に無理がなく、同じレベル内で反復練習することができる
 ようになっているのが大切だと思います。その点ORT シリ
 ーズ(Oxford Reading Tree,Oxford University Press)
 は見事なプログラミングを体現しているのではないかと思
 います。2005年にORTを購入しましたが、SEGの岡田千賀子
 さんが、「ORTはとてもきめ細かいレベル分けをしていま
 す」と言われたことが購入決意をすることになったのでし
 た。
 ORT で面白いことを発見をしました。Stage 1+の’More
 First Sentences Pack B’ の平均語数は59語です。しかし
 次のStage 2 の’Storybooks Pack’の平均語数は50語で、
 前のStage より少ないのです。これは、スズキ・メソード
 の教則本の編集に似ています。第2巻の最初の曲は、第1
 巻の最後の曲より易しい曲にしています。それによって子
 どもは、第2巻になっても弾けると思って自信をつけてゆ
 くように配慮しているのです。 
4. 創始者
 スズキ・メソードの創始者
 鈴木鎮一(1898 – 1998)氏がスズキ・メソードの創始者
 です。今や世界の四大音楽教育の一つとなっています。し
 かし、日本ではさっぱり評価されていません。文化勲章を
 受章されてもおかしくないでしょうが、鈴木氏が受賞され
 た勲章は、勲章の順位でいうと上から7番目あたりの勲章
 でした。また、名誉博士の称号は10近く受けられました
 が、すべて外国の大学です。鈴木氏は1999年1月26日に亡
 くなられましたが、日本の新聞の扱いは小さいものでし
 た。それに対してアメリカ全土の各有力地方新聞の扱い
 は、はるかに大きく心のこもったものでした。
 何故日本では評価されないのかといいますと、冗談的に3
 つの理由があるという人がいます。? 鈴木氏が日本人で
 あったこと ? 上野(芸大)出身でなかったこと ? 日
 本の学歴は商業学校であったことといったものです。
 鈴木氏はタイトル・肩書きには無関心・無頓着でした。し
 かし名古屋のご出身でしたが、東京時代には徳川義親侯
 爵、ピアニストの幸田延(幸田露伴の妹)との知遇を得て
 いました。また1920年代のベルリン留学時代にはアインシ
 ュタインとの交友をあたためられていました。このような
 交流の中でものの考えを深めて行かれたのだと思います。
 逆に外国、特にアメリカで成功したのは、明白な理由があ
 ります。1958年(鈴木氏、60歳)アメリカ・オハイオ州の
 オバリン大学で開催されたオハイオ州弦楽教育者会議で、
 約1200人の日本の子どもたちがモーツアルトの「コンチェ
 ルト第5番」(1955年第1回才能教育全国大会)を合奏し
 ているビデオが公開されたのが 始まりであったからで
 す。会議の参加者である大学の先生方は、びっくりされた
 のでした。この大学の音楽教育担当者に「スズキ・メソー
 ド」が入ってゆけたということです。日本では、それがで
 きなかったのです。今もです。何ごとも最初が大切です。
 外国でのスズキ・メソード成功の決定打は、1964年から始
 まる、10人の子どもによる海外演奏ツアーです。5.6
 歳から12・3歳の子どもたちが、昔の音楽学校の卒業曲
 を見事に弾いてしまうのですから、ショックなことです。
 多読の創始者
 酒井邦秀氏もタイトル・肩書きに無頓着のようです。もう
 数年で定年ご退職である筈ですが、今もって准教授(助教
 授)です。東京電気通信大学の英語の先生には、東京外国
 語大学ご出身の先生が多いのでしょうか。東京外大ときく
 と、すぐ思い出す方がおられます。岩崎民平先生です。辞
 書学の大家でおられました。そのお弟子さん、孫弟子の方
 が、酒井さんの同僚におられるのではと気になっていま
 す。別に酒井さんが、「辞書なんて要らない」と言ってお
 られのではなく、「(少なくとも、英語学習の初期段階で
 は)辞書は引かなくとよい」と言われておられますが、さ
 ぞかし煙たい存在でおられることかと心配をしています。
 
 そのためではないでしょうが、学会活動をされることもな
 く、お1人でどのようにしたら学生の英語力をあげること
 ができるのかを模索されてこられたのでしょう。学会の権
 威主義を振りかざしても、解決に結びつかず「むなしい」
 と感じておられたのでしょう。これは、古くはアメリカ・
 フィラデルフィアの脳障害児治療法の創始者でおられる
 Glenn Doman 博士、最近では京都大学の「幹細胞」の山中
 教授を思いおこさせます。それぞれお若い時は理学療法 
 士、あるいは整形外科医師として行き詰まりで悩んでおら
 れていたのでした。
 また、酒井さんのその率直さ、気取りのなさは、まことに
 天晴れなものといつも感心しております。今まで英語の先
 生には何百人とお会いしたかと思いますが、酒井氏のよう
 な人柄の人にお目にかかったことはありません。なにしろ
 びっくりしているのが、正直なところです。
5. 雰囲気
 スズキ・メソードの雰囲気
 スズキ・メソードの雰囲気を象徴する写真があります。
 1965年から海外でも指導者講習会を始められることになり
 ました。最初、鈴木氏は海外にスズキ・メソード(才能教
 育)を広めることに気乗りしませんでした。と言うのは、
 日本だから、日本のお母さん方だからこの方法がいかせる
 けれども「外国のお母さん方だと」いう躊躇がおありであ
 ったようです。
 しかし、説得されて講習会を始められ、50名、100
 名、200名の指導者となられる外国の方を指導され、記
 念写真をとられています。鈴木氏は前列の真ん中にチョコ
 ンと座れていますが、あと参加者の人の顔をみると、1人
 残らず皆な満足されたとても良い顔をして写されているの
 が、とても印象的です。それはスズキ・メソードのかかげ
 る「どの子も育つ」という理念のためなのか、鈴木氏のお
 人柄であるのか分かりませんが、一つの大きな共有できる
 雰囲気をかもしだすようです。
 同じことが小学校低学年の児童でもおきたのです。1950年
 頃(昭和25年)に出版された幻のような記録パンフレット
 があります。『どの子も育つ教育法 − 本郷小学校の実
 験教室 ー 』。これはスズキ・メソードを公立小学校の
 授業に応用実験した時の覚書です。実験教室も3年目に入
 りどの教室も驚異的な成績をあげています。その実験教室
 の保護者の方が25名ほど集まって座談会をした時の様子
 も記録されています。時は、1950年7月14日の夜でした。
 そこで語られている最も興味深いことは、この実験教室の
 どのクラスも親が信じられないほどの仲の良いクラスがで
 きているということでした。雰囲気が競争的にならずに、
 協調的になるのです。しかし、翌年の新学期にみえた新校
 長の「実験教室は中止」で、3年間だけの短命でした。き
 っと、校長は「異端」と思われたのでしょう。
 多読の雰囲気
 沖縄の志学塾の先生も、多読を導入してから塾内の雰囲気
 が変わったと言っておられたと思いますが、明るくなった
 とのことでした。日本多読学会も茨城大学での研究会、大
 宮での児童英語教育の勉強会でも、いつも感ずるのは良い
 雰囲気だということです。先輩格のメンバーの方々の、自
 分の体験をできるだけ多くの人に分かち合いましょうとい
 う気持ちにあふれておられることに感激です。それは、ネ
 ットでも同じです。「子ども式ウエッブサイト」でも
 「sss英語学習法」でも、貴重な情報を提供していただ
 き、いつも有難いことと思っています。多読では、人と比
 較しても意味がないですし、点数云々ということもないの
 も、とても素晴らしいことだと考えています。
5. 目標
 スズキ・メソードの目標
 鈴木氏は、スズキ・メソードの目標はバイオリニストを養
 成することではなく、人間教育を目指しているのだとよく
 言われています。子どもたちは、子どもが一番好きな合奏
 を通して周りの音に常に気をつけて合わせることを体験し
 て、社会性を身につけてゆきます。ですから、学校が好き
 という子が多いのです。また指導の先生はレッスンの日な
 ど、靴を脱ぐ時自分の靴をそろえるばかりでなく、他の人
 の靴もそろえてあげる。それをだれも見ていないところで
 やるようにと常々言います。
 これは、人間教育では予期しないことであったかもしれま
 せんが、スズキ・メソードのようにクラッシク音楽の楽器
 をやってきた人は、どうも理系の頭になるようです。信州
 大学は8学部ありますが、大学オーケストラ・メンバーの
 所属学部は圧倒的に理工系の学部の学生が多いのです。こ
 のことは、多くの人が指摘していることです。
 多読の目標
 多読の目標は、もちろん英語のペパーブックなどを読める
 ようになるとか、英語の全体の力をつけることが目標でし
 ょう。 しかし、酒井さんは、「ひょっとしたら、多読は
 それだけに留まらず、人間を変えてしまう力まであるので
 は」と考えておられるかもしれません。
 これは推測ですが、スズキ・メソードと同じで、好きなこ
 とを通して、目前の小さな目標を次々とクリアして自身を
 つけてゆき、新しい展望が自ずと開かれてゆくのではと思
 います。そこで大切なことは、常に身近に好きなことで小
 さいながら具体的目標を持ち、それを徐々に達成していく
 過程に身をおくことができるということではないかと思っ
 ています。人間にとって、目標がない、もてない、夢がな
 い、もてないといういことは、致命的な弱点です。人間の
 脳活動は、目標を持っていることが大前提なのです。
(cf. 松本元『愛は脳を活性化する』岩波 科学ライブラリ
 ー 42.)               
                      マコマコ

最後の「多読の目標」のところはちらっと眼に入りました。
マコマコさんに見抜かれた、という気がします。
それはわたしからはなかなか言えない。だから言わなかった。
それはわたしの秘めたる大きなテーマですと言っておきます。
マコマコさん、ありがとー!

多読と鈴木メソード 続々続 「マコマコ」さんからメール!


何度か話に出ていますが、多読を支援する人たち(相手はだれでもいい!)でメーリング・リストを作っています。そこにマコマコさんが「多読と鈴木メソード」について詳しい比較を投稿してくださいました。
で、その中にわたしは恥ずかしくそのままはブログに載せられない表現があったので、マコマコさんにお願いして、書き直してもらいました。それでもまだ面映ゆい(こんな言葉はわたししか使わない?)文章があるかもしれないので、わたしはこの書き直してくださった文章は読まずにそのまま再掲します。
それに第一、マコマコさんの文章を途切れさせるには忍びなかった。
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(さらに…)