多読の非常識 その弐について、「fiona」さんの見積もり 続

Pocket

前回の記事ではfionaさんの見積もりの「聞く」を紹介しました。次のメールでは「読む」について試算してくれました。

前便のわたしの娘の例では「読む」はまったくはじまっていないので、計算が楽でした。というか、「読む」は計算しなくてよかった! 

「読む」の計算はいろいろなものを読むので大変そうですが、fionaさんの計算はどうなっているでしょう?

*******************************

ついでに、「読む」のインプット量。
これは、個人差ありすぎ!

でしょうね。でも、がんばってください!

目安は、マンガ1冊5000~1万語(英語換算)。100冊読んだら50万語~100万語。
文庫本1冊平均7万語くらい(英語換算)。100冊読んだら700万語くらい。
あと、絵本、児童書、新聞等いろいろあり。
普通は、「聞く」よりインプットは少ないと思われる。少ない人だと「聞く」の1/10以下(多分)。

一応、日本語のインプットは、高校卒業までに、1億語~1億5000万語(英語換算です)としておこう。
(本当は、ここに「読む」の百万語~数千万語が付け加わると思われる(高校までで1億語以上(文庫本で1500冊程度以上)はまれだと思う))

fionaさんのやったように冊数を元にした計算でもいいと思いますが、読む速度からの計算もありえますね。いまおもいついただけのことですが、読む速度をざっと1分間100語から200語として、1日平均どのくらいの時間文字を読んでいるだろうと考える。結果はみなさんにお任せして、わたしはfionaさんの計算による、「聞く量の数分の一」をそのままいただこうと思います。

それでも、わたしたちはおそらく「読む量」よりも「聞く量」の方が相当多いのだと気づいたことになるわけで、それだけでもfionaさんの報告はとーっても貴重です。やっぱり多聴から入れるといいですね。(ね、「ふ~ん」さん! 忘れてないですよ、日夜ふ~んさんの提案を考えています。)

で、英語多読は、多いと思われる1000万語で、この(高校卒業までの)1/10以下。
英語多読の量、英語が日本語に近づくには、まだかなり少ないと言う気がします(私個人としては)。
学校英語でのインプット量は、10万語くらい…これは問題外。学校に行っている日(平均)の「聞く」インプット量の3~4日分くらいですよ。少なすぎ!!もし、質が良くても、英語習得なんて無理!(と思う)。

なるほどそう考えるといかにも少ないですね。(これと同じ提示の仕方を、わたしの今度の本で計算しています。読む方だけについてですけど。しかも質の悪いことと言ったら・・・! (質の悪さについても本に書いてあります。)

Ⅱ.英語多読、どうして少ない量で効果がある?

 これは、多読を始めるまでの、英語のインプット量が少ないため…では?
本当は、質も関係あるのかも知れませんが、無視して、量のみで考えます。

このあとに続くfionaさんの説明はなるほどですが、もう少しちがう理由があるかもしれないので、最後に提案します。

例えば、楽器やスポーツをするとき、ゼロから始めると、初めのうちはどんどん上手くなる。
これと同じだと思います。

大ざっぱに、練習の効果がはっきりわかるのは、それまでの蓄積量の「ある割合以上」の練習をした時だと思われます。(練習の質は無視しています)
例えば、それがこれまでの蓄積量の30%(何の根拠もない数字ですが)とします。

毎日同じ量の練習をしたとして、
もし、これまで10日練習していたら、はっきり効果がわかるには3日の練習が必要。
10ヶ月の練習をしていたら、3ヶ月の練習が必要。
10年間の練習をしていたら、3年間の練習が必要、となります。
(その人の、人間としての能力の限界等は無視して考えています)

英語多読なら、それまでに学校英語で10万語の蓄積があったとすれば、おそらく、同じ10万語読めば、効果が感じられるはずだと思います。
学校英語の10倍の100万語読めば、絶対効果があるはず。
日本語のインプット量に比べれば、英語多読の100万語はすごく少ないですが、これまでの蓄積が少なすぎるため効果が実感できるのだと思います。
(同じ100万語でも、1000万語読んでからだと、その効果はあまり感じられないでしょうね)

以上ですが、かなり大まかに、単純化して考えたので、実際の事実とは食い違ってくる部分がありそうに思います。
でも、大筋は、こんなものではないでしょうか?

fionaさん、ありがとー! 実に興味深い試算でした。

とくに「聞いている量の方が読む量よりもはるかに多い」というのは、
言われてみれば当然ですが、いままで意識していませんでした。これからいよいよ多聴について研究していこうと思います。

で、最後の「母語の吸収量と多読の吸収量の比較」については、「多読の非常識 その参」で書きます。fionaさんの報告はその意味でも実にタイミングがよかった!

もう一度、ありがとー!!