親はこどもに後ろ姿で「支援」する(?)


都立高校の先生を中心に「多読支援研究会」ができて、活発に活動を
はじめたということはこのところ続けて記事にしています。
その研究会のメーリング・リストに鈴木徹さんがすばらしい報告を寄せてくれました。支援する会の報告を「指導する人へ」のカテゴリーに書くのもどうかと思いますが、とにかくご覧あれ! 
こどもが親の後ろ姿を見て「自分から」多読・多聴・シャドーイングに興味を持ちはじめる様子がとてもよくわかります。

みなさんこんにちは
都立高校の英語教員です。酒井先生の記事にも出ました杉並総合高校に昨年度までおりまして、現在は来年できる新設校の開設準備をしております。新設校では「多読を中心した英語教育」をやろうと計画中です。興味があるかたは、ぜひHPをご覧ください。 http://www.oota-singaku-j.metro.tokyo.jp
さて、酒井先生に顧問をしていただいている「多読支援研究会」という教員の集まりに、私が自分のこどもに対して行った「多読実験」のレポートをしたところ、「こども式」にも掲載していただけるということでしたので、以下に再度報告します。
先日ORTのセミナーを聞き、それに触発され、わが子にORTで実験しました。まずは開設準備室で購入したORT STAGE1とSTAGE1+を家に持ち帰りました。
研究協議会での酒井先生の教え(「強制しては絶対にいけない」「そっと近くにおいておくか、親が読んでいる姿を見せる」)に従い、とりあえず居間で私がORTを読んでいました。姉(小4)が早速「何その本?」と食いついてきました。私が「英語の本。」とそっけなく答えると、「見せて!」と私から奪いました。

おー、よいですね! 「こどもに奪わせる」これが「支援」ですね。

学校でローマ字をならった(PCの入力として習うそうです、はぁ。)ので、とりあえず半分でたらめに声に出して読んでますが、ストーリーはしっかり絵から読み取ってるようです。弟(小2)が加わり「オレにも見せろ!」と取り合いになります。BiffとChipそのものです。(弟はCurious Georgeそのものでもあります。)弟の方は文字などまったく関心がない模様ですが、絵から「こいつばかじゃねぇ!」と盛り上がり始めます。「またへんな奴がのぞいてるー!」と隠しアイテム早速発見。

このへんはこどもは本当にめざとい!

そのうち姉が、「ねー、なんて読むの?読んでみて」と言うので、読み聞かせがはじまりました。恥ずかしいので、ナチュラルスピードで棒読みです。感情移入なんてできないできない。(私は生徒からも「目つきが悪い」「いつも不機嫌」「こわい」「無愛想」と言われるキャラです)
 しかし、無愛想な読み聞かせに、こども2名はついてきます。完全に「こども式シャドーイング」状態。特に弟の方。リズムとイントネーションのみですが、ノリ自体は英語そのもの。そのうちに男子特有の悪ノリがはじまり、ポーズの度に「フォー!」となつかしのレーザーラモンのマネをはじめました。これもORTのリズム
のよい文章のおかげなのでしょうか。ビデオをとっとけばよかったと後悔しました。

ここも、想定通りの反応です。(反応なんて、まるで動物実験のようですが・・・)
「多読支援研究会」の事務局長さんがこどもさんのシャドーイングをビデオにとったものを見せてもらいましたが、これも見事なものでした! こどもはどうも心地よい音を反射的に追いかけるようですね。そこからわたしは「あかちゃんは母親のおなかにいるときから脳内シャドーイングをしているのではないか?」とさえ考えています。
もう一つ。リズムとイントネーションのみだけれども、乗り自体は英語そのもの??これは「もごもごシャドーイング」ですね。音一つ一つはまだくっきりと姿を現さないけれど、英語独特の特徴を備えた音の流れが出ている段階ですね。「多聴多読マガジン」創刊号のKくんでいうと、シャドーイングをはじめて10時間くらいたったところですね。同誌を参考にしてください。

そのうちに姉が「DVDかCDないの?」と聞きます。どうやら父の無感情な読み聞かせはいやなようです。そりゃそうですね。
次の日、書店でCDつきパックを1つ購入(Stage 1+)。家に帰ると姉が早速CDをセットします。私はしばらくほっといて観察しておりました。
CDでは、まずタイトルが読まれます。すると二人で「これだ!いやちがう、こっちだ!」と6冊の本で「カルタ」のようなゲームが始まりました。当然ローマ字の知識がある姉が強かったのですが、弟もローマ字読めないはずなのに意外に健闘。

よいなあ・・・! 
すべては好奇心からはじまる!
(Curious George が好かれる所以か?)

CDでは一回目はポーズなしで読まれ、2回目はポーズ+ページめくりのピッという合図音が入っています。姉がそれにすぐに気づき、「1回目は聞くだけだから、声を出すな!」と弟に指示しました。後は、こちらが何も言わないのに、リピートを始めます。おもしろいのは、そのうちにリピートではなくシャドーイングになることです。

ほー! これははじめて記録された変化ですね!!

その中でさらに驚くべき現象がおきました。弟が「ルッケッミーって『見て見て』だよね。」と言い出すのです。姉は当然わかってるよという顔をして「あたりまえじゃん」と馬鹿にしますが、本を読む前は知らなかったはずです。

よしよし!

さらに驚くことに、SANDCASTLEの最後のページで、”It was the best sandcastle.(パチパチパチ)”の部分で弟が、「一位ってこと?」と聞きます。姉は「ベストだから一位だよ。」と解説してましたが、それにしても、なぜこれが一位だとわかったのか。弟はカタカナでベストと言ってもそれが「一番」という意味にもつながっていないはず。

これもはじめて聞く事実・・・
よくわかりませんが、絵だけでそこまで(1位まで)わかるのか?

もちろん「サーンは砂だよね。」というくらいすぐわかる模様。うーむ。ORT恐るべし。ちなみに他にも「これどういう意味?」と私に聞いてきましたが、私はテレビで野球観戦に夢中のふりして無視しました。(最低限の気遣いとしてテレビの音量は下げていましたが...)

見事な後ろ姿・・・多読指導三原則の一「教えない」ですね!

以上の実験が土曜の夜でした。
日曜の朝7:00、両親が寝ている横でなにやらCDが聞こえます。弟がひとりでORTを見ながらCDを聞いている模様。小さい声でぶつぶつシャドーイングしてます。なんと振り付けつきシャドーイングです。なんという奴だ。うーむ。相当ひきつけるものがあるのでしょうか。

これは「なりきりシャドーイング」だ!
こどもって、すごい!!

今後も実験続けます。
さて、多読支援をしていこうというみなさんにぜひ読んでいただきたい本があります。
『心に火をつけるkidsコーチング 投手編   手塚 一志 (著)』
という本です。野球の本なのですが、「ほめず、教えず、助言せず」とのコーチング3原則について書かれています。親が「チチロー」になりきりこどもに教えようとすればするほど、こどもの心は野球から離れていく。こどもの心に火をつけるコーチングとは?という主旨です。これは、多読支援(指導ではなく「支援」とわが
研究会では言っています)に非常に通ずるところがあります。ちなみにこの本に書かれているコーチングの精神は、NHK連続ドラマの『フルスイング』の主人公の考えとまったく同じです。
長くなりましてすみません。今後も随時実験報告をさせていただきます。

ぜひ引き続き報告をお願いします!
今回は最初期なので、音中心に興味深いことがたくさん起きましたが、
鈴木さんの報告でいちばん注目すべきところは、「後ろ姿」だと思います。
この記事を「指導する人へ」のカテゴリーにしたのは、まさにそこで、
支援する人はできるだけプレッシャーをかけないようにする必要があるのだと
思われます。
そうではなくて、こどもたち(おとなたち)の「好奇心」?「自分にとって善いものを得ようとする」? 「生きようとする力」? をできるだけ
そのまま発揮させてあげることかな? と・・・
で、コーチングのことですが、ときどき多読支援はコーチングと似ていると
言われます。
「トオル」さん(同名ですが、古くからのタドキスト)、「Yoko」さんがそう言っていましたね。わたし自身はコーチングというものを知らないのですが・・・
そうだ、近いうちに多読に関係ありそうな日本語の本の紹介をいくつかしましょう。
鈴木さん、ありがとうございました!

親はこどもに後ろ姿で「支援」する(?)


都立高校の先生を中心に「多読支援研究会」ができて、活発に活動を
はじめたということはこのところ続けて記事にしています。
その研究会のメーリング・リストに鈴木徹さんがすばらしい報告を寄せてくれました。支援する会の報告を「指導する人へ」のカテゴリーに書くのもどうかと思いますが、とにかくご覧あれ! 
こどもが親の後ろ姿を見て「自分から」多読・多聴・シャドーイングに興味を持ちはじめる様子がとてもよくわかります。

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