おとな式からこども式へ

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SSSの掲示板で、「たむ」さんが実に示唆に富む投稿(「モゴモゴ奮戦記」)をしてくださいました。
この投稿の一つ前に投稿した「シャドーイングをはじめるにあたって」と少し違って、
たむさんは相当「おとな式」で勉強されたようです。
その蓄積を捨ててこども式にしてみた・・・その経過が報告されています。
 おとな式を捨てきれない人たちに捧げる再掲です!
なお、

これで多読もシャドーイングも、広々としたところに出てくることができました!この解放感!!

というたむさんの感想に、
わたしのほうこそ気持ちが無限に広がるように感じました・・・


ここからSSSの掲示板に載った投稿の一部を再掲します。
SSSの掲示板でのスレッドは
http://www.seg.co.jp/cgi-bin/kb7.cgi?b=sss-shadow&c=t&id=2943 です。

2943. 「もごもご」奮戦記
こんにちは、たむです。
シャドーイング「おとな式」を続けてきましたが、ようやく
「こども式」に移ることができたようです。体験記です。
どうも「こども式」のほうが本物だな、と「多聴多読マガジン」が
出たときから思ってました。「発音訓練をやったことがある」
「単語単位で理解」「集中すると目をつぶる」「歩きながらでは
できない」「せわしない」「速い素材が怖い」…おかしい?!、全部
当ってる!?
ついでに、意味を追うので、わからない箇所でうっとつまる。
また、意味を追えないような速い素材は、最初からあきらめる。
素材を聞いて、自分の声も聞いて、いちいち違いを「批評」する
ので、大変に疲れる。したがって長時間はできない。また、素材を
文字に起こしたスクリプトがないと不安(どうしてもわからないとき
見たくなる)。エトセトラ、エトセトラ。
百聞は一見にしかず。Aさんに「どうしても意味が…」と尋ねたところ、
「意味のことはしばらく忘れて。そのうち、(右手で頭の右上をさして
くるくる回しながら)ここらへんに、漂ってくるようになります。」と。
なるほど、これは決心次第ですね。百万語多読でも、意味はだいたい
わかればいい、そのうちわかるようになる、と言ってたし…。わからな
くったって、死ぬわけじゃないしね。
次に、Bさんに、「もごもご、やってみて」とお願い。ものすごく速い
素材をシャドーイングしながら、(ここから、というふうに合図して)、
モゴモゴ?。
ハー、これはずいぶん「高級な」もごもごですね、もごもごも英語に
聞こえます。でも、それまでのシャドーイングとは明らかに違う。音の
輪郭がぼやけている感じ。そうか、高級・低級というのも変だけど、
もごもごにも程度があって、最初のもごもごはきっと英語にも聞こえない
ようなものなんだろうと納得。
これで、酒井先生が「しばらくもごもごを続けなさい」の意味もわかる。
もごもごも発達するので、しばらくやってみるといいわけでしょうね。
でも、あんまり慣れて、その蓄積で音を出すようになると、またずれて
しまうのか。あんまりやりすぎないように、というBさんの助言も思い
だします。
ここでもう一度「多聴多読マガジン創刊号」を読み直し。どうもキジマ
くんではなく、ナカイくんのタイプに近いようだと判断。さっそく、先生が
毒薬というNotting Hillを借りてきてシャドーイング。私の英語は、
これを音声だけでたのしめる程度ではありません。たまにわかる程度。
でも、映画がいいのは、映像がつぎつぎ流れていきますから、自分の
もごもごをいちいち、あっまた違うなどと批評している暇があんまり
ないことでしょうか。最初は、映画なんてとてもできない、と思い、
全部ダーディダダダと言ってみようと思いつきましたが、これはやって
みると無理でした。聞こえているものを、無理やりダディに変換する
のも不自然なことなのでしょう。
「もごもご」もやっているうちに、楽しくなります。いくらでも、時間の
あるかぎりできます。意味はとりあえず棚上げ、もごもごは実はすばらしい
ことなんだ、と納得したところで、ようやく「こども式」に着陸しました。
もごもごがすばらしいこと、と言うのは、私は多読との類似で思いつき
ました。多読では、やさしい本から少しずつ読み上げていくわけですが、
根本は「英語に直接向きあう」ことだと思います。英語の音もおなじ、
あれこれ既成の獲得したものをふりまわさないで、英語の音に直接
向きあうことなんでしょう。多読とおなじ、もごもごはすべての生命が
生まれてきた母なる海のようなものなのでしょうか(キマッタ!)。
読み直して、つくづくおとなは屈折しているもんだと感じます。聞こえる
とおりに言ってみる、ただそれだけのことに大騒ぎ、ですね。
お粗末でした。
Happy Reading & Shadowing !!

最後の

多読とおなじ、もごもごはすべての生命が
生まれてきた母なる海のようなものなのでしょうか

には、感激でした。

[脱帽] 2946. Re: 「もごもご」奮戦記
たむさん、こんばんは!
さかい@tadoku.orgです。
〉こんにちは、たむです。
〉シャドーイング「おとな式」を続けてきましたが、ようやく
〉「こども式」に移ることができたようです。体験記です。
〉どうも「こども式」のほうが本物だな、と「多聴多読マガジン」が
〉出たときから思ってました。「発音訓練をやったことがある」
〉「単語単位で理解」「集中すると目をつぶる」「歩きながらでは
〉できない」「せわしない」「速い素材が怖い」…おかしい?!、全部
〉当ってる!?
ははは、総当たりですか! 大アタリ? 
満願成就? さすが成田山!
〉読み直して、つくづくおとなは屈折しているもんだと感じます。聞こえる
〉とおりに言ってみる、ただそれだけのことに大騒ぎ、ですね。
〉お粗末でした。
ほんとにそうです。
実は(また!)、多聴多読マガジンの記事でそのことを
痛切に実感しているところなのです。次号を読んでくだされば
なんのことか分かるはずです。

「おとなは屈折している」・・・その通りですね。
最近多読をはじめて途中で終わっている人のブログをいくつか読みましたが、
どうもみなさん辞書と文法に引き戻されてしまったように思われます。
もっとずっと簡単に考えればいいのに・・・と思わずにはいられません。
ま、それはともかく、たむさん、ありがとー!
追伸 たむさんのシャドーイングを最近聞きました。
こども式のもごもごを越えて、もうずいぶん英語特有の音を捉えていると思いました。つい最近まで「正確な音」をめざしていたとは思えない音でした。
願わくば、たむさん、その方向でまっすぐ歩まれんことを!