8月5日タイ・バンコクでの多読セミナー第2弾!

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すでにご報告したように、6月20日にタイのバンコクで日本語教師向け多読セミナーを行いました(NPO多言語多読、Child Connect共催)が、その後、バンコクでは教師たちの勉強会が立ち上がり、じわじわと多読が広がりそうな気配・・・。その中心になっているのが、サイアム大学で多読授業を実践されている山口さん。かつてのNPO英語多読講座の受講生でもあります。
8月5日に、その山口さんが、バンコクの邦人向け「メロディー幼稚園」で英語と日本語の多読セミナーを行ったそうです。
以下、山口さんの報告です。


セミナーは以下のように進行しました。

  1. 自己紹介
  2. 今までに何語を勉強したことがあるか、そうしてどうだったか
    ▶︎ 英語・日本語・中国語
    ▶︎ ほとんどの人は外国語の勉強は楽しい。一人は大変だった。
    ▶︎ 外国語の勉強は楽しいと言った人は、音や映像を使っていた。
  3. 見ること・聞くことの大切さについて(絵本「どいてよへびくん」、英語絵本「ORT」を使って)
    ▶︎ 幼稚園の先生なので、子ども達がどうやって言葉を身につけていっているか再確認。
    ▶︎ 「どいてよ、へびくん」の絵のみをまずは見て、どんな話しかを想像してもらい、その後、韓国語の音声付きでもう一度、絵を見てもらう。音声の調子から更にイメージを膨らませて、どんな内容かを想像してもらう。この時、参加者がそれぞれ、想像したことを発言していった。音声を聞いた後に絵・音声・文字を合わせて、もう一度見ていった。
    ▶︎ ORTのThe Lost Teddy(音声なし、絵のみ), What a bad dog(絵・音声・文字)を「どいてよ、へびくん」と同じ要領で見ていき、見ること、聞くこと、その上で読むことがあることを再確認。
    ▶︎ 最初は絵をさらっとだけ見ていたが、「めがね」のことを指摘するとじっくりと絵を見るようになった。
  4. 多読のルールを説明
    ▶︎ 参加者のうち数人は、多読ルールの「やさしい本から読む、辞書を使わない、読み飛ばす、途中でやめる」をなんとなく分かっていたようで、実際、英語の本を読むときは辞書を使ってないとのことだった。
  5. 多読体験
    ▶︎ まずはORT(レベル1)を読んでもらい、それから日本語部の人には日本語多読ライブラリーのレベル0をCD付きで、インターナショナル部の人にはORTと用意してあった英語多読の0レベル程度の本を読んでもらった。音声機材が3台だったため、音声付きで本を読んだのは日本語部の3人のみ。日本語部の4人のうち1人は最近入ったばかりで、ひらがなが読めないため英語多読を実施した。
    ▶︎ 英語多読を読んでいた一人が「この言葉の意味が分からない」と言ったところ、隣に座っていた人が「次のページ読めば分かるよ」とアドバイスをしていた。

幼稚園の先生は、子ども達の言葉の発達を日々見ているので、「見る・聞く」ことの大切さはすぐに分かったようで、納得した様子で話しを聞いていました。実際に多読の本を読んでいるときは、真剣(夢中)に本を読んでいて、中には読みながら笑っている人もいました。しかし、英語多読のほうは用意した本が少なかったこともあり、終わりの時間が近づくと時計を確認したりと多少飽きていている様子がみられました。

多少飽きている人もいて、多読に楽しさを感じてもらえたか心配しましたが、参加者全員がまた本を読み続けたいとのことで、9月にも多読クラスを実施することが決まりました。

多読終了後の感想

  • 今まで簡単な英語の本を読んでいたが、それでも難しいレベルだったことが今回分かった。このセミナーを受けて、勉強になり、知っていたことを再認識することができた。
  • 日本語は助詞があって、それを間違えると通じない。だから、いつも単語で話してしまっている。しかし、この本を読んでいけば助詞の心配はない。
  • 多読の本をたくさん読んで、日本へ旅行に行きたい。
  • 分からない言葉があっても絵から理解することができた。本の絵は色がきれい。
  • 音声があるので、実際にどうやって言うのかが分かった。
  • いくつか難しい言葉があったが、本を読むのはとても楽しいです。
  • 読書における自分自身の練習方法が得られた。
  • 日本語の本を読む機会があって嬉しいです。今までは言葉に自信がなかったが、今日はCDがあって本と一緒に読んだので自信が持てた。
  • 子ども用の絵本を読んだことがあるが、あまりおもしろくなかった。だから、あまり読みたくなかったが、多読ライブラリーの本はとても楽しかった。読みやすく、子ども過ぎない上に、CDが聞けて楽しく、ドラマのようだった。
  • 外国語をもっと知りたくなった。やさしく、たのしく本を読む方法を知ることができた。読書の発達レベルを知ることができた。

今後の課題

今回、日本語・英語多読の体験を同時に実施し、来月も多読クラスを実施して欲しいという要望に結びついた。ただし、日本語多読の本はあるが、英語多読の本はORTレベル1が2セットとピンクレベルの本が数冊しかないため、次回実施までに英語多読の本の確保が課題となっている。


日本語と英語多読を一手に引き受けてたいへんですが、ぜひ、がんばっていただきたいです!

(事務局)