東京都新宿区のしんじゅく多文化共生プラザで、毎週土曜日午後3時15分から4時半まで、「にほんごの本を読む会」(以下「本を読む会」)を開いています。
申し込みも参加費も要りません。本を読みたいと思った人が、自由に参加できる会です。
1時間ぐらい本を読んで、その後、ブックトークをしています。
コロナ禍で約3年間休止していましたが、やっと開くことができて、とてもうれしく思っています。
2023年度の参加者は延べ200人を超え、18の国と地域から参加がありました。
参加者は日本語学校や大学の学生さん、ビジネスマンやレストランなどのお店で働く人とその家族などで、さまざまな人が本を読みに来ました。また、ワーキングホリデーで滞在中に参加する人も増え、短期滞在のビジネスマンや旅行者の参加もありました。
そのような状況から参加者は頻繁に入れ替わりますが、毎回、みんなが本を楽しんでいることが伝わってきます。
コロナ禍の3年間に、オンラインで読める無料の読みものが増え、世界中の人に読まれるようになりました。
「本を読む会」に来る人の中に、既に無料の読みものを知っている人が増えてきました。「無料の読みものは面白いですね」「レベル0とレベル1は、だいたい読みました」などの言葉に、その広がりを感じています。無料の読みものが、多読の入口になってきたように感じます。
無料の読みものはオンラインでいつでも読めるので、「本を読む会」ではアスクの「レベル別日本語多読ライブラリー にほんごよむよむ文庫」(以下「よむよむ文庫」)や、大修館書店の「にほんご多読ブックス」などを中心に読んでもらっています。
参加者はそれぞれ自分の好みに合わせて本を選んで読んでいきます。
時々、「読みきかせ」をすることもあります。
そして、その日読んだ本の中で一番気に入った本について、内容や感想を話します。
『笠地蔵』の話で、お地蔵様が食べ物を持ってきてくれたところについて、「これは夢だと思う」と言った人がいました。
また、『寿司・すし・SUSHI』『着物』『日本のお風呂』『富士山』については、その歴史を知って、びっくりしたと話す人が多かったです。
この1年間で一番よく読まれた本としては、『わかがえりの水』(「よむよむ文庫」スタート)があげられます。この本はレベル0より文字数が少ない「スタート」の中の1冊ですが、入門の人から上級の人まで、多くの人に読まれ、その日のお気に入りの1冊としてブックトークで取り上げられました。「その水はどこにありますか」「わたしも飲みたいです」「欲張ってはいけません」などの感想がありました。
いろいろな感想が聞けるので、ブックトークの時間はとても楽しいです。
これからも本を通して参加者同士がつながる、楽しいひとときとなることを願っています。
(正会員 白石)