3月13日(土)カンボジアで多読セミナー!

LINEで送る
Pocket

2021年3月13日(土)、カンボジア日本人材開発センターの第16回CJCC 日本語教育セミナーに講師として招待されました。
タイトルは「多読TADOKUセミナー~多読を知って授業に取り入れよう!」。オンラインでの実施です。講師はNPO多言語多読理事長・粟野、スタッフとして正会員の高橋亘と作田が参加しました。
この日、日本では首都圏を中心に暴風雨で、春雷が鳴り響く中でのセミナーでしたが、カンボジア首都プノンペンは快晴で、気温は35度もあったそうです。集まってくださったのは34名の方です。クメール語話者の先生は10名ほどで、他は、現地で活躍なさっているか、またはカンボジアにゆかりのある、日本人の日本語教師のみなさんでした。多読についてはほとんどの方が知らない、とのことでした。

Picture3

はじめは粟野から、約1時間、多読とは何か、多読授業はどのように行うのか、多読にはどんな読みものを使うのかを話しました。そして、実際に学習者の様子がわかるビデオで、多読授業で学習者がどんな反応を見せるのか、多読によって学習者にどんな変化が起こるのか、見てもらいました。

話を聞いただけではわかりにくいですから、後半は、実際に参加者に日本語多読を体験をしてもらいました。オンラインのセミナーですから、多読体験もオンラインです。短い時間ですが15分間、NPO多言語多読の「にほんごたどく特設サイト」にある無料読みものを、参加者に自由に読んでもらいました。そして、その後、4、5人のグループに分かれ、読んだ感想を話し合ってもらいました。この多読体験では、みなさん、多読のルール通り、やさしいものから読んだ方が多く、『TKG』や『これは何でしょう?』のような日本文化に関わるものが、関心を持たれているようでした。

さて、学習者のつもりで多読を体験した次には、日本語教師として、多読について話し合ってもらいました。先ほどと同じグループで話し合いながら、多読のいい点と疑問点を書き出してもらいました。そして、最後にその結果を全体で共有し、粟野が意見を述べ、また、トピックによっては、高橋、作田からもコメントをしていきました。

いい点として複数のグループから上がったのは、次のような点です。

  • 絵や写真といっしょに読んで楽しい。推測する力もつく。
  • 音声をいっしょに聞けるので、発音がわかる。
  • 自分のレベルに合ったものを選んで読める。
  • 自分が興味のあるものを選んで読める。積極的に読める。
  • 自分のペースで読める。プレッシャーがない。
  • 自分で学ぶことができる。
  • 読んだ内容を通して日本の文化が学べる。
  • 本を読む習慣がなくても、本を読むきっかけになる。

疑問点としてはこんなことが出ていました。

  • 母語で読書習慣がない学習者も読むだろうか。
  • たくさんの本を用意するのが難しい。何冊ぐらい用意したら多読授業ができるのだろうか。
  • 評価が必要な教育機関では、学習を評価するのが難しいし、取り入れる時間もない。
  • どのぐらいの頻度で授業をすればいいのだろうか。一回の多読にどれぐらい時間を取ればいいのだろうか。
  • JLPTなどのレベルの対応はどうなっているか。

これ以外にもたくさんの質問、意見が出ており、全体共有は、駆け足で行っても時間内におさまらないほどでした。
最後に、今日の多読の話を聞いて、「多読を授業に取り入れたいか」「今すぐではないがいつかやりたい」「やりたくない」のどれかに手を挙げていただきました。
多くの方が「取り入れたい」に手を挙げてくださってほっとしました。
日本語教育の状況はそれぞれの地域で違うと思いますが、カンボジアの日本語教室に合った方法で、多読が取り入れられることを願います。カンボジアの先生方、貴重な機会をありがとうございました!

以下は、事後アンケートからの抜粋です。

  • サイトを見たことがあったので、直接お話が聞けて大変勉強になりました。ありがとうございました。
  • 多読用の教材開発、ありがとうございます。
  • 語学学校のようなところだと、週1取り入れるのはなかなか難しいのではないかと感じましたが、やってみたら効果は大きいだろうと思います。
  • 「私の受け持っている学習者にはどうかな?」とはじめは考えていたのですが、興味がでました。どこかで取り入れていきたいと思います。
  • 多読の実際の様子を見たり,学習者の感想等が聞けたりできたので,今後,実践する場合のイメージができました。今後,活用させていただきます。
  • 今カンボジアの大学で教えていますが、今回お話を聞いて、ぜひ大学でも取り入れていきたいと思いました。大学の場合はどうしても評価が必要になるので、休み時間(大学の昼休みは3時間もあります)を使ってするのがいいかと思いました。
  • また、実際にオンラインで実施されているとお聞きし、オンラインでやってみたいと思いました。
  • 大学時に、授業の一環で英語の多読を行なっていたのですが、全く興味を持てず、英語に対する知識も深まりませんでした。しかし、本日のセミナーを受け、本来の多読ができていなかったのだと感じました。今日教えていただいたルールに沿って、また英語の多読を始めたいと思います。
  • 【多読】という言葉は聞いたことがありましたが、何をするのか全く分かっておりませんでした(勉強不足で申し訳ないです)。今日のセミナーで多読について理解することができ、とても興味を持ちました。これからぜひ取り入れていきたいと思いました。

(報告:作田)