5月17日(日)日本語多読支援研究会第4回勉強会「オンライン多読授業実践報告」

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世界中で授業がオンライン化されています。多読授業もオンラインで実施することになり、支援者のみなさんの中には「果たしてうまくできるのか?」と不安も感じている方も多いと思います。そんな中、日本語多読支援研究会は普段会員限定で実施している勉強会を非会員まで枠を拡大し、2020年5月17日(日)に「オンライン多読授業実践報告」のオンライン勉強会を開催しました。

今回、報告してくださったのは、ノートルダム大学の纐纈(はなぶさ)憲子さんです。先行してオンライン多読授業に突入したアメリカの大学での経験を話していただきました。

それにしても、オンライン授業に悩んでいらっしゃる方が多いのだと思います。あっという間に50人以上の参加希望者が集まり、申し込み多数につき、早々に受付を終了するという事態になりました。日本国内はもちろん、アメリカ、タイ、シンガポール、オーストラリアなど、普段は日本国内でのワークショップに参加が難しいみなさんも、この機会に参加してくださいました。

まず、前半に、纐纈さんに3月中旬以後のオンライン授業の様子を話していただきました。強調されたのは、オンラインになったからといって、学習者の多読授業に対する評価が下がるわけではないということです。

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お話によると、NPO多言語多読の無料読み物日本語多読・多聴・多観Webリソースなどの無料素材や、大学図書館を通して手配した電子書籍版の多読読み物などを駆使しての授業は、対面授業と同じ面もあるし、長所、短所もあるとのこと。

長所は、オンラインのリソースを活用するために、自然と多聴・多観の素材に触れ、その良さに気づく学習者が増えることです。そして、いつでも多読・多聴・多観ができるオンライン素材を利用していくことで、自律学習につながる可能性を高められることです。また、オンラインであることを活用して、国外の教育機関との交流を持つという可能性も広がります。

一方で、短所は、学習者コミュニティの形成が難しいことです。学習者は多読時間中もちょっとしたことで隣の仲間と雑談したりしてコミュニティを作り上げていきます。ところが、オンラインでは、それができません。特に、初級の学習者の場合、まだ 多読に慣れておらず、コミュニティも作りにくいです。さらに初級では、オンライン素材が少なく、電子書籍版の多読読み物がないと、授業運営は苦しいとのことでした。

他に、対面授業と違うところは、支援者は学習者の読書の様子を観察し、学習者の傾向を把握して適切な支援を行うものですが、オンラインではそれができないことです。纐纈さんは、学習者と個別に面談をして学習者のつながりを維持していたそうです。

さて、非常に具体的な実践報告が終わり、休憩時間を挟んだ後半は質疑応答の時間です。参加申込者に予め出していただいた質問を整理し、纐纈さんをはじめ、先に授業を始めている経験者が答える形式で進みました。質問は、素材のこと、支援の仕方、ブックトーク、読書記録、授業構成についてなど多岐にわたりました。素材については、多読の読み物を出版しているアスク出版と大修館書店の担当者から電子書籍の状況などについての案内もありました。

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最後に、地域の多読クラスを運営する横山りえこさんから、生活者のオンライン多読について簡単に報告していただきました。

横山さんには、早くも5月31日に実施する第2弾の勉強会で詳しく報告していただく予定です。第2弾では、国内の大学、日本語学校の支援者からも報告があります。これからオンライン授業に取り組む方、またはすでに始めた方、どうぞご参加ください。

オンライン多読は、まだ始まったばかり。長所、短所、素材の探し方、ちょっとした工夫など、これからもみなさんが発見していくことでしょう。これからもこのような会を催して、支援者の交流を深め、情報を共有し、ノウハウを蓄積していきたいと思います。

最後に、今回の参加者のみなさんから寄せられたアンケートのご回答の一部を紹介します。

  • 実践後の率直な感想が聞けてよかったです。自分の悩みが他の方も同じように感じていて、気持ちがとても楽になりました。また、オンライン素材の知識が増えたのも収穫でした。
  • 実践例を聞くことができ、オンライン多読のイメージができてきました。
  • 全体的に学習者の満足感が高いようだという印象を聞けたのがよかったです。また、具体的にはブレークルームを使うというやり方等も知ることができました。
  • 実際の授業実践について伺うことができたこと、それにオンラインでも多読を楽しんでいる学生がたくさんいるということを伺うことができて、私ももう少しがんばってみようと勇気をもらいました。
  • オンラインでの多読授業の試みについて具体的なお話が聞け、他の参加者からの質問も多く取り上げてくださり、それについての複数の先生方からのご回答も聞くことができたことがとてもよかったと思います。
  • 具体的な実践状況を知ることができ、何よりオンラインでもできるんだということがわかりよかったです。また、出版社の方々からの具体的な情報提供もありがたかったです。
  • 今回、ズームの会だったので、参加できました。またオンラインでの機会があったら参加させていただきたいです。

(日本語多読支援研究会幹事・正会員 作田)

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