8月27日 名古屋YWCAの多読の時間にお邪魔しました!

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外国ルーツの子どもたちの日本語学習支援をしている名古屋YWCAのグローバルスクール(旧ガリ勉クラブ)では、2013年から多読を取り入れています。2017年には、ボランティアのみなさんに多読研修もさせていただき、多読の様子もブログで紹介してきました。

いつか実際に子どもたちが読んでいる姿を見たいなあと思っていたところ、このたび見学が実現しましたので、その様子を報告します。

2年前の夏の多読研修でお会いしたボランティアさんのOさんは「多読王子」と呼ばれるほど大変に熱心に多読支援にとり組まれています。常に子供たちの多読に向く本を探して集めていらっしゃいます。

そのOさんから今回の見学に先だって以下の報告をいただきましたので、まずはこちらから。

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名古屋YWCAグローバルスクールは、外国ルーツの子供たちの学習支援のための日本語教室です。現在、全体で約75名の生徒たちが学んでいます。通常、多読は、希望する生徒のみが、個別にバラバラに行って来ましたが、2019年の1学期、定期試験後の比較的余裕のある期間に、全体で一斉に多読を行う、一斉多読授業を試みました。

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一斉多読を試したのは、小中学生クラス(生徒数24名)で、100%何もかもうまく運んだわけではないものの、それなりに成果があったと思います。

事前の打ち合わせで、先生方に、①多読専用教材があって初めて成立する学習法・教授法であること、②低いレベルから始めて、低いレベルを徹底して読み込むことが、後の飛躍につながること、③挿絵を見て、話をくみ取ったり、想像したりすることも大切であること、等々をシツコク説明させていただきました。

その成果か、生徒たちがキャッチーな表紙のマンガに集中し過ぎることもなく、多読初心者・初級者は、まずGraded readers(レベル別読みもの)を重点的に読む方向で一斉多読を進めることができました。

ただ、頑固な生徒さんも一部にいまして、②をなかなか理解してくれないケースも若干あるようです。①に関連して、キャッチーな表紙のマンガに流され勝ちな生徒さんもいましたが、こちらは納得するまで読ませてみて、行き詰ったところで、多読専用教材へと誘導する戦略で臨むことにしました。

今後も、希望者には、個々に多読に挑戦してもらう方針で、多読支援活動を続ける予定です。

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ボランティアで参加されているOさんが、いわば他のボランティアさんのサポート役をしながら、多読活動が行われている形になっているのですね。

さて、8月27日、11時~12時まで、実際に夏の特別カリキュラムの中の多読の時間を見学させていただきました。

広い部屋の奥の一段高くなったところに多読用の読みものがレベル別のものから絵本、マンガまでずらりと並んでいました。この中にはOさんが私費で集められたものが多く含まれています。このようなコレクションの中から本を選べるということがすばらしいと思いました。一部貸出しを行っているところもいいですね。(貸出までする機関は本当に少ないのです)

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この日本語教室は、通常ボランティアさんが基本的に一人か二人の子供の学習支援をする形をとっています。この日も、いつもの担当ボランティアさんが助言をしながら、子どもたちは本を選んで席について読んでいました。ボランティアさんがときどき、多読王子Oさんに本の選び方の助言を受けている場面もありました(写真右)。

高校生はマンガを読んでいる割合が高かったですが、絵本を読んでいる生徒さんも。みなさん真剣に集中して読んでいました。
途中でおすすめの本にPOPを作るプロジェクトがあり、小学生の何人かが銘々好きな本にコメントをつけてラミネート加工する作業を楽しんでいました。

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日本人の大学生でも読書量不足が話題になる昨今です。
外国にルーツを持つ生徒さんたちに、楽しくどんどん本を読んで、日本語になじんでもらえるといいなあと願っています。

(粟野)