12月としては比較的穏やかな8日(日)の午後2時から、新宿区立大久保図書館で半年ぶりに「にほんご多読ワークショップ」が行われました。
参加者は6名。国籍は中国、台湾、カナダ、ネパール、フィリピンで、働いている方が多かったですが、日本語学校の学生さんや主婦の方もいました。また、10月に来日したばかりの方も、日本に滞在して5年になる方もいました。
米田館長の「やさしい日本語の本をたくさん読んで、楽しんでいってください」という挨拶の後、多読の説明をして、ワークショップをスタートしました。
まず、字のない『あいちゃん』(無料の読みものレベルスタート)と、字を消した『西町交番の良さん~助けて!』(レベル別日本語多読ライブラリーレベル0vol.2)を、みんなで一緒に見ながら、話を追っていきました。絵からわかったことや、どんな言葉を言っているのかを、考えてもらいました。そして、字がなくても絵でストーリーがわかることを、実感してもらいました。
「さあ、本を読みましょう!」
まず、字の少ないやさしい本から読みます。
動物の話、食べ物の話、昔話、名作のリライトなど、いろいろな本があります。一人一人自分で本を選んで読み始めました。
本を読み終わったときなどに、支援者が「どうでしたか?」と声をかけます。ときには、質問に答えることも。
『山下さんの静かな日々』(にほんご多読ブックスvol.10)を読んだKさん。最後のページをじっと見て、「うちに来た猫も子猫のとき、目が緑色でこの猫みたいでかわいかった。今はこんなに大きい」と、写真を見せてくれました。
『かんたん!日本のカレーライス』(無料の読みものレベル0)を読んだMさんは、にんじんの切り方(乱切り)にびっくり。「ぼくの切り方と違う」と言って、輪切りをすることをジェスチャーで伝えてくれました。
また、『ハチの話』(レベル別日本語多読ライブラリーレベル1vol.1)を読んだSさんは「ハチは人間みたいです」と言って、話の余韻に浸っているようでした。
既にたくさん本を読んでいたEさんは、「一年一組せんせいあのね」(鹿島和夫編・理論社)を読んでいました。「子どもの言葉は面白い」と言って、本に書かれている言葉から、いろいろ想像して、周りの人と楽しそうに話していました。
ひらがながまだ全部読めないLさんは、支援者と一緒にレベルスタートを読んでいきました。絵を見て本を楽しんでいました。
知らない言葉が出てくると気になるBさんは、絵を見るアドバイスを受けながら、話を理解していきました。
途中で休憩時間を取りましたが、本を読み続けている人が多かったです。
参加者のみなさんは、とても熱心に本を読んでいて、本について話すことも楽しんでいるようでした。
最後に一番よかった本を紹介してもらいました。
『船』(にほんご多読ブックスvol.1)、『ハチの話』、『どうしてエビの体は曲がった?/どうしてねこ年がない?』(レベル別日本語多読ライブラリーレベル1vol.3)、『いました』(無料の読みものレベル0)『あれは何?』(同 レベルスタート)、『1年1組せんせいあのね』が挙がりました。
その後、土曜日にしんじゅく多文化共生プラザで開いている「にほんごの本を読む会」や、オンライン日本語多読クラブ、オンライン上の無料の読みものなどの紹介をしました。
そして、今日のワークショップに関するアンケートに記入してもらい、2時間のワークショップが終わりました。
みなさん、やさしい日本語の本を読むことで楽しく日本語を身に付けることができそうだと、思ってくれたとしたら、とてもうれしいです。そして、図書館に気軽に本を借りに来てくれるといいな、と思いました。
(正会員 白石ひろ子記)