3月3日(日)オンライン日本語多読授業入門講座 報告

LINEで送る
Pocket

3月のオンライン日本語多読入門講座が、3月3日に開催されました。今回の参加者は8名です。参加者はフリーランスで教えている方、学校教育で日本語教育に関わる方、海外で教えていらっしゃる方などでしたが、最近の傾向として、児童生徒に対する日本語教育において多読を実施しようと考える方が増えてきています。今回の講座では、理論を粟野、実践を作田が担当しました。

まず、粟野から、どうして多読を始めたか、多読の考え方、多読のルールなどを話しました。日本語を「勉強」するのではなく、やさしい本を手始めにして、日本語の海で水と戯れることから始めるのが多読であるということをイラスト入りで説明しました。

そして、多読の読み物はどんなものか紹介し、実際に学習者が読んでいる様子をビデオを見せながら説明しました。

次に、作田が多読授業の実際を、自身の実践から紹介しました。多読授業を始めるとき、どんな準備が必要か、また、授業中は支援者(教師)は何をしているのか。学習者からどんな反応があるか、など、具体的に話しました。最近はオンラインで授業を行う場合もあるので、授業実践については、対面授業の場合とオンライン授業の場合の両方について、手順などを説明しました。

2人の話の後、休憩時間をはさんで、質疑応答とディスカッションの時間です。「多読の目的や意義を学習者にうまく伝えるにはどうすればいいか」「授業時間全部を多読にするのは難しいので、一部の時間だけを多読に使いたいと考えているがどうか」「子供の多読で気をつけることはどんなことか」「図書館の本が魅力的ではない。図書購入の費用に限りがある場合どうしたらいいか」などの質問や相談が上がりました。多読の目的や意義は手を替え品を替えて伝えるといいこと、授業時間の一部で多読をする「ちょこっと多読」の実践例はたくさんあること、子供の多読では、学習者自身が好きなものを読むことが大事であること、図書の購入は学習者の反応を見ながら少しずつ揃えていけばいいことなどを実践経験からお話ししました。

以下事後アンケートからの抜粋です。

  • 理論と実践の2つの面から学ぶことができて、とてもわかりやすかったです。
  • 多読について、改めて確認できたこと。対面やオンライン別など、細かい指導法なども再確認できたこと。日本語の本の情報などを知れたこと。
  • 環境整備も大切というお話を聞いてその通りだと思いましたが、本の購入準備、学生数・教室の造り等ハード面もさまざまな対策がこれから必要だと分かりました。
  • 以前はどうしても語学学習的な視点から多読について考えてしまい、言葉や漢字がわからなかったら… と心配しましたが、振り返れば自分自身も子どものころ、マンガ含む本を読みながらそういったものを習得していったのでした。そんな風に読むこと(好きなものについてさらに知ること)を楽しみながら、日本語に親しむお手伝いがしたいという気持ちが一層強くなりました。
  • これまでも「日本語教師のための多読授業入門」を読むなどして、自分なりには多読について学んできたつもりでしたが、講座に参加してみて本当によかったです。ライブでお話をうかがえるのは、腑に落ち方が全然違うと感じました。また、成功例だけでなく、失敗例も話していただいたことで、よりイメージが湧くとともに、まずは失敗を恐れずにやってみようという気持ちにもなれました。
  • 学習者さんが本の世界に浸っていくところを想像できるわくわくする講義でした。

(正会員:作田奈苗)