1/7(日)オンライン日本語多読授業入門講座 報告

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2024年、元日から日本では心痛むニュースが続いています。被災された方々には一日も早く平穏な日々が訪れますように、心よりお祈りいたします。

毎月恒例の日本語多読入門講座が1/7日曜日に開催されました。参加者は全部で5名で、内訳は日本各地から3名、アメリカ、タイから1名ずつでした。みなさんが所属されている機関は、大学、高校、日本語学校、地域日本語教室、オンライン教室と様々で、多読の裾野の広さを改めて感じます。すでに多読活動の経験がある方も、何名かいらっしゃいました。今回の講座は、正会員の片山が理論、纐纈が実践、粟野が司会を担当しました。

まず、片山から、自らの英語学習の経験と多読との出会いについての話がありました。辞書に頼っても英語の本が読めるようにならないというのは、日本で英語教育を受けた方なら、だれしも思い当たる節があり、説得力があったのではないでしょうか。そして、読解と多読の比較を通じて、多読が主体的な学びや多様性を認めるアプローチであることが強調されました。そのあと、多読の4つのルールや多読用読みもの、支援の3原則などについてくわしい説明がありました。最後に、学習者が多読を通じて経験していることについても触れました。

後半は、纐纈が大学機関での独立多読授業の実践について紹介しました。まず、導入のきっかけは多様化する学習者への対策だったこと、初年度はクラブを行なってそのあと授業を立ち上げた経緯をお話しし、無理せず各機関でできる範囲でゆるく始めてみることをお勧めしました。そのあと、具体的な教室内活動や課題、教師の役割などについて説明しました。最後に「文字のない絵本」を全員で読んでみました。アメリカの大学での実践ということで、そのまま直接取り入れられないことも多々あったかと思いますが、応用の効く多読ならではのヒントをみなさんに少しでも見つけていただけたなら幸いです。

休憩後は、質問タイムを設けました。参加者全員の方から疑問点やコメントを出していただくことができて、よかったと思います。「本を読む習慣がない学習者への対応」「声かけのタイミング・面談の仕方」「全体読みの仕方」などについての質問がありました。また、このごろ増えてきているオンライン読みものの活用法や、歌やyoutubeビデオを使った多聴多観活動についても話し合うことができました。実践経験のある方々からは、「要約をさせていた。もっとゆるくやればよかった」「強要しないことが重要だと分かった」「読ませっぱしで、声かけなどをしてこなかった」などのコメントがありました。

以下事後アンケートからの抜粋です。

・学習者が日本語に「触れられればいい」という、教師側の余裕が必要だと感じた。まず、ブッククラブのようなものを作って、日本語を読むことを楽しいと感じてもらえる場を作っていきたい。
・色々不安要素などを考え始めの一歩が踏み出せないでいましたがイメージが掴めた。
・学習者が『自信』や『モチベーション』を持てたという結果を伺え、私自身が『モチベーション』をもらった。
・成績評価の問題点、市販本などクリアーしたい問題点はあるがぜひ導入したい。
・今回の講座を通して、生徒と一緒に取り組む自信になった。

これから多読実践を始めたら、ぜひその様子をお知らせいただけたらうれしいです。また、入門講座受講後に、もっといろいろな実践例を知りたいという意見をよく聞きます。本NPOでは、毎年夏の多読支援セミナーを始め、様々な催しを行なっています。ぜひ引き続きご参加いただけたらと思います。

(正会員・纐纈)