三田市国際交流協会 日本語サロンさんだ「多読の時間」報告

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三田市国際協会「日本語サロンさんだ」では、2年前から「多読の時間」を開催しています。12/17の日本語多読支援研究会でも発表してくださった実践報告を改めてこちらでご紹介します。
伊東和世さん、金井典子さん、中村恵美さんのご報告です。

【なぜ多読を始めたのか】
発起人の一人が、自身の「英語多読の経験」から「日本語多読」に興味をもったことが始まりです。
会話中心の地域日本語教室の学習者にも日本語で書かれた本を読む楽しさを知ってほしい、また外国人の就労支援をしている立場から、外国人が日本で仕事を続け上の立場になるためには日本語を「読む書く」力が必要だと感じていました。
そのような理由から「日本語サロンさんだ」で「多読」始めたいと周囲に声をかけ、賛同した2名と共に2021年1月から準備活動を始めました。
私たちの「多読の時間」は、日本語を学ぶ大人だけでなく、外国にルーツ持つ子ども達も参加しています。母語も大切にしたいという思いから、敢えて「日本語多読」ではなく、「多読の時間」としました。

【準備からスタートまで】
2021年に多読についての情報収集を開始しました。
一番初めにしたことは、支援者の理解を得ることでした。そのために支援者への「多読」の説明を行い、実施への理解を得ました。
そして案内チラシ、「多読Q&A」「多言語多読ルール」、「読書記録」を作成し、2021年11月から「多読の時間」がスタートしました。

【活動の概要】
実施クラスは、大人向けの「日本語サロンさんだ」土曜クラスと「子どもにほんご教室「SKIP」」です。
原則毎月第4土曜日14:30〜15:30 に実施しています。子どもたちは後半の30分間参加しています。
使用する本は、市販の日本語多読本、無料ダウンロードできるレベル別日本語多読本、図書館から借りた本などです。
また、自分たちでも日本の行事についての本を2冊作成しました。
2021年11月〜2023年12月までに「多読の時間」を24回行いました。

【イベントの実施】
通常活動以外に、より読むことに興味をもってもらうために、次の4つのイベントを実施しました。

イベント① 2022年 1 月 SKIPの子どもたちが三田市立図書館を見学
イベント② 2022年 7月 母語による絵本のよみきかせ
イベント③ 2022年10月 第10回記念イベント パワーポイント 「クイズ!鳥の漢字」
グループでクイズに挑戦しました。  漢字の豆本をお土産に渡しました。
イベント④ 2023年7月 三田市立図書館・三田市国際交流協会共催
「世界のことばで絵本を読もう」  約30名参加
ウクライナ人・日本人・フランス人による母語と日本語での絵本の読み聞かせ、日本人による紙芝居、多読本の紹介をしました。
【実施してよかったこと】
・学習者も日本語支援者も多読の日を楽しみにしている。
・SKIPの子どもたちが感想に「たのしい!」と書いている。
・学習者の母語で絵本を読んでもらう機会が持てた。
・当初は土曜クラスの学習者のみで「多読の時間」を行っていたが、
賛同者が増え、月曜・木曜クラスの学習者も参加できるようになった。
・三田市立図書館に、備えてほしい「日本語多読」の本をリクエストしたところ、
希望がかない、図書館が「日本語多読」本を購入してくれた。
・そして図書館に「日本語多読」のコーナーができた。

【今後の予定】
三田市国際交流協会の英語多読の先生と交流の機会を持つ。
図書館との連携を強化したい。

【今後の課題】
・参加者がもっと増えてほしい。
・もっと多くの支援者へ、多読についての理解を図りたい。
・支援者の役割の周知をしたい。(学習者が何をどう読んでいるのかを観察し、アドバイスをするなど)
・イベントを実施して絵本の読み聞かせへの関心が高いことがわかった。図書館の良さ(本の準備、部屋の準備、広報周知など)を生かし、年1~2回図書館で「多読の時間」を開催したい。
・多読のリソースとして図書館をもっと利用できる環境を作っていきたい。

参考:にほんごたどく-NPO多言語多読 ホームぺージ https://tadoku.org/japanese/
おもしろい! 鳥(とり)の漢字(かんじ) – 日本語多読道場 yomujp
※多言語多読ルール浜松市外国人学習支援センターhttps://tadoku.org/japanese/references/#rules