12/17(日) 第6回日本語多読支援研究会 報告②

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後半はトピック別に2回のブレイクアウトルームが設けられました。

 1多読の効果や意義

支援者の存在意義・多読での自由度などについて、各自の支援経験に基づいて考えをシェアしました。地域の日本語教室では、ボランティア支援者が学習者と同じ立場で日本語のGRを楽しみ、ブックトークを行う目線が重要だとの意見も出ました。多読の効果は、日本語力の上達というより、自律学習者が育つことにこそ見出せるのではないでしょうか。

 2 短時間多読(ちょこっと多読)

ちょこっと多読を取り入れている方々から様々な報告がありました。「あまり楽しそうに読んでいないことが気になる」と悩んでいる方もいましたが、他の参加者からのアドバイスは「読んでいるのならいいのでは?」でした。本の貸し出しや選び方についても話し合われました。

地域日本語教室

本購入のための予算・図書館との連携・多読教室の広げ方・告知方法などについて意見交換が行われました。課題として、地域により図書館行政には差があること、「学習者が自分の読みたい本を読む」「教えない」を支援者に理解してもらうのが難しいこと、などが挙げられました。

4 多読支援の声のかけ方や動機付け

声かけについては話す時間がとれませんでしたが、多読の楽しさを伝える工夫についていろいろな意見が出されました。読み聞かせで面白い本を紹介する、学習者同士でおすすめ本を話し合う、本の並べ方の工夫、などでした。

5 オンライン多読のやり方

オンライン多読の未経験者がかなり集まったため、各国の経験者数名が具体的なやり方について紹介しました。音読や輪読、読み聞かせについても話し合いました。

6 ブックトークのやり方、アクティビティ

トピックは、ブックトークの意義やいつするべきか、注意点などについてでした。ブックトークはたくさん読むための仕掛けである、話すことがストレスにならないようにする、皆が集中して読んでいる時にはする必要がない、などの意見が出ました。中には「好きな本ではなく好きではない本について話してもいい」というユニークなアイデアもありました。

7 多読用読みものの作成

どのような読みものが人気があるのかという質問や、物語に興味がない学習者向けの新たなジャンルの提案などがありました。海外で読みもの作成のグループを立ち上げた方からは、著作権についての質問も出ました。

以下、事後アンケートからの抜粋です。

 ・多読を実践されている方々のお話をきけて、自分のモチベーションを維持することができそう。ディスカッションをして、自分の考えややり方の整理につながった。
・ワークショップで、学習者の立場をリアルに体験できてよかった。
・地域日本語教育に関して、具体的な立ち上げや運営の仕方、問題点などがコンパクトにまとめられていて良かった。
・図書館との連携の話は、具体的に何をすればいいのかの指針となった。地域で多読活動をしている方が思っていたより多くいることが分かり、励まされた。
・「絵をよく見る」という最近のアプローチが、人によって反対の効果になるときがあるということが話題にのぼり、BORのみんなも目から鱗が落ちる思いだった。その人の読み方を見極めるということは、とても重要で、難しいと思った。
・地域日本語教室での支援者の多読への理解を阻む要因について、みんなで対策を考え、失敗を含めた結果を持ち寄り、また考えて実践するサイクルができるといいと思った。

2023年も残り数日となりました。来年度も多読に親しむ学習者・支援者がますます増えていきますように!
(正会員・纐纈憲子)