11月5日(日)日本語多読授業入門講座 報告

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11月のオンライン日本語多読入門講座が、11月5日に開催されました。今回の参加者は6名です。また、NPOの会員の方2名の見学もありました。参加者は日本語教育の専門家、学校教育で日本語教育に関わる方、これから教員になる大学生と、立場は様々です。また、ご活躍の場所も、日本国内はもちろん、アメリカ、インドネシア、台湾、メキシコとさまざまな地域から集まってくださいました。海外の支援者に幅広く参加していただけるのは、オンライン開講のメリットです。今回の講座では、理論を粟野、実践を作田が担当しました。

まず、粟野から、どうして多読を始めたか、多読の考え方、多読のルールなどを話しました。「とにかく、日本語の海に入ってみる」こと、そして、翻訳したり分解したりせず、日本語を日本語として理解するようになるのが多読だという説明に、うなずいている受講者も多かったです。それから、支援者の役割や多読の読み物などについて、簡単に触れ、最後には、多読の様子のビデオを解説しながら見せました。夢中で読んでいるときの学習者の様子、読んだら話したくなる学習者の様子など、多読ならではの学習者の様子を見てもらいました。

次に、作田が多読授業の実際を、自身の実践から紹介しました。読解授業で行う精読がどうにもうまくいかない、一斉授業ではレベル差のある留学生に対応できないなどの悩みから多読と出会い、救われたという経験を話し、その後、どのように多読授業をするようになったか、実際どのように授業を行なっているか、など自分の経験から紹介しました。また、近年、行われるようになったオンラインでの多読授業についても実践の報告に入れて話しました。

 

2人の話の後、休憩時間をはさんで、質疑応答とディスカッションの時間です。「教室に本を並べるとき、レベル別にするのか、ジャンル別にするのか」「オンラインの教材は海外からでも申し込むことができるか」「学習者は多読によって漢字が怖くなくなったというが、具体的にはどうか」「学習者が楽しむ読む以外の活動はどんなものがあるか」などの質問が上がり、すでに多読授業の経験がある見学者の方も交えて情報交換も行いました。とにかくまずはやってみたい、所属期間のカリキュラム上、多読授業として実施することはまだ難しいが、部分的にでも取り入れてみたい、などの声が受講した方から聞かれました。皆さんのところで少しでも多読が広がっていけばうれしいです。

以下事後アンケートからの抜粋です。

  • 読むことは本来個人的作業であること、邪魔せず適度に放っておくことの重要性など、多読の一番大切な部分をしっかり思い出させていただきました。
  • 実践をするにあたっての準備や、多読用図書の選び方など、基礎から教えてくださりとても勉強になりました。
  • 紙の本を導入するのは私個人の力では難しそうですが、オンラインのものを活用して工夫して導入していきたいと思っています。
  • こども向けに絵本を活用してきていて、Next stepとして導入してきた中で、本当にいいんだ。と実感していますし、今後も多く取り入れていきたいと思います。
  • 実践されている方がたの声をきくことができ、質問もできたのでよかったです。また、スライドと動画で、教室の準備や授業の様子、声掛けなどの色々な例を知ることができたのもよかったです。

(正会員:作田奈苗)