8/22(火)「夜間学級における読書活動のポイント」@世田谷区三宿中学夜間学級

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8月22日(火)に世田谷区三宿中学校で、東京都夜間中学国語班の研修が行われ、NPO多言語多読の理事・粟野が「多読」の紹介をしてきました。
猛暑で不安定な天候のなか、図書室に6名が集まり、オンライン参加も2名。
東京都には夜間中学が8校あり、いま、生徒の8割ぐらいが外国にルーツのある生徒だそうです。
昨年は、生徒にどんな本を薦めたらよいかの勉強会をされたそうです。読書してほしい、でもどんな本を用意したらいいか、どうすれば読んでくれるのかについてはみなさん模索中のようでした。
どの学校にも私たちが作った多読用図書「レベル別日本語多読ライブラリー」(アスク出版)があるそうですが、必ずしも「多読」としては活用されていない状態のようでした。(国語の時間に1話、読み進めるのにちょうどいい、と言ってくださった先生もいました)

前半は、まず、はじめになぜ私たちが多読を始めるようになったか、多読用の読みものを作るようになったのかをお話ししました。そして、多読のルール、支援のやり方、図書の選び方、多読の効果などご説明しました。実際の多読の様子、実践した学習者の反応なども動画で紹介しました。

後半は、机に積んである日本語の本から読みたいものを選んで、実際に読む時間をとりました。
その後、読んだ本について感想を話していただきました。

 

多読用図書からは、「にほんご多読ブックス」シリーズ(大修館書店)の『おちくぼ物語』『日本の行事』『ロボットD太ー日記』、「レベル別日本語多読ライブラリー」(アスク出版)の『わらしべ長者』『蜘蛛の糸』など。みなさん、学習者に読みやすく工夫されていることをわかってくださったようです。
絵本を読んだ先生も。大人の怪談絵本『いるの?いないの?』を手に取った先生は、「京極夏彦が書いてることに惹かれた。はじめ、全然怖くないと思って読み進んだが、最後が・・・!」と、上手にブックトークしてくださいました。『ゆうたはともだち』を読んだ先生も「絵もいい、リズムもいい。犬が語り手になっているところが面白い」と語ってくださいました。
付属のCDで『小泉八雲の怖い話2 耳なし芳一/梅津忠兵衛』を「聞き読み」した先生は、「教えている中に、コンビニでアルバイトしていて耳から日本語を覚えたが、読むのが弱い子がいる。あの子には、聞き読みがいいかもしれない」とピンときた様子。なんと、週に3時間ある国語の時間のうち2時間を「多読に充てる」と即決! 実際に先生方に読んでいただくことはとても大切だと改めて思いました。

その後、実際に授業に入れるにはどうしたらいいのかという具体的な質疑応答になりました。
・最初は空いた時間に生徒に試しに読んでみてもらうのはどうか。
・朝読書のように毎日10分は?
・学校図書にどんな本があるのか、生徒は知らない状況。図書室でまずは読んでもらう時間をとったらどうか。

みなさん、とても関心をもって前向きに検討してくださいました。
夜間中学で、多読の時間が実現することを祈っています。

(記 川本)