7/2(日)オンライン日本語多読授業入門講座 報告

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7 月2日にオンライン日本語多読入門講座が行われました。理論担当は理事長の粟野、実践担当は正会員の纐纈(はなぶさ)でした。参加者は4人で、所属は、海外の日本語補習校、大学、プライベートクラス、国内の小学校でした。すでに多読をなさっている方がいる一方、やり方や読みものについて知りたいという方もいらっしゃいました。

まず、粟野が多読の基本についてお話ししました。従来の読解・精読授業への疑問から生まれた多読は、読みたいものをひとりで自分本位に楽しく読む活動です。読み方のルール、支援者の役目の説明のあと、多読用の読みものをレベル別にお見せしました。そして、学校機関や地域ボランティア教室、子ども支援、大人対象の個人授業など、色々な多読実践の形についての話がありました。多読が様々な教室に活用できるアプローチであることが理解できたのではないかと思います。最後にビデオクリップで多読教室や支援の様子が紹介されました。

つづけて、纐纈が、勤務する米国の大学での多読実践についてお話ししました。個別活動中心の授業について説明し、読書記録のデータから、学習者がどんなレベルの本を読み進めていくのかお見せしました。読む・聴くのインプットの重要性、そして学習者一人ひとりがいかに違うかということを強調したつもりです。最後に字のない絵本を使ってみなさんに「絵を読む」体験をしていただきました。文字ではなく、絵をじっくり見る楽しさを発見していただけたとしたら、大変うれしいです。

そのあと、質問や意見交換の時間を設けました。「オンライン上に文字のない絵本はあるか」「ブックトークでいつごろから母語を使わないようにするべきか」などの質問が出ました。そのほか、すでに多読実践をしている方から「多読教室の机の配置や本の置き方が大切」「学習者同士で自然に本を紹介しあえるようになったらいい」「本嫌いの子どもをどう引き込むか工夫している」などの意見が出されました。

以下事後アンケートからの抜粋です。

・教員をしているので「教えないこと」に抵抗があったのですが、読むことを楽しむ、インプットを増やすことでアウトプットにもつながる可能性があることを学べてよかったです。
・「細く長く」と言うはなぶささんのお話を伺い、新学期からのカリキュラムに組み込んでいきたいと思います。
・児童が本に夢中になる時間の創造を目指したいと思います。
・ぜひ「多読クラブ」ができたらと思っています。
・学生たちに多読のルールをよく理解してもらえるいい導入方法があれば、教えていただきたいです。また、学習者側からの否定的な意見、(例えば「何も勉強していない気がする」や「レベルの低いものは読みたくない」等)へのいい対応があればそれもお聞きしたいです。

「細く長く」多読を続けるべきなのは、学習者だけではなく、支援者も同じだと思います。NPOでは、入門講座のほかにも様々な支援者が集まって意見交換をする場を作っています。毎年夏には日英合同で多読支援セミナー(今年は8/5)がありますし、そのほか読みもの作成講座や日本語多読勉強会なども行っています。また、気軽にご参加ください。お待ちしています!

(正会員:纐纈憲子)