拓殖大学 別科 日本語教育課程の多読授業を見学してきました!

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昨年11月30日と先月、5月22日に拓殖大学別科日本語教育課程の多読授業を筆者・粟野と川本理事が見学しました。
まとめて報告します!

多読をカリキュラムに組み込んでいる教育機関は、まだまだ少ないのが現状ですが、拓殖大学別科では、正会員の大越貴子さん、準会員の浅井尚子さんが以前から熱心に多読に取り組まれており、2022年度からは、カリキュラムに多読が組み込まれ、日本語の全クラスで多読授業をおこなうようになりました。(授業の詳細はこちらをご覧ください。→https://tadoku.org/blog/blog/2022/12/26/12907

見学の1回目は、昨年11月30日、初級の1、2、3組。2回目は5月22日に中上級の4、5、6組の授業にお邪魔しました。

いずれも多読専用の多読室とその両脇の2教室で多読授業が展開されました。多読室には、図書管理システムの入ったパソコンもあり、貸出もOKになっています。棚には、児童書、マンガ、雑誌など多読用の図書がずらりと並んでいます。かごの中には、わたしたちが作ったレベル別の多読用読みものが3クラス分用意されていました。クラスによって最初に教師からの本の紹介や連絡事項などがあり、その後、読書タイムに移っていきました。
時間は105分とたっぷりあります。学生はめいめいに本棚から本を選び、「島」に戻って読み始めます。

久々の対面多読授業の見学。熱心に読んでいる学生さんの姿を見るのは、やはりいいものです。こちらもうれしくなりました。

最後の30分ぐらいはブックトークの時間です。島ごとに、お気に入りの一冊をクラスメートに代わる代わる紹介していました。
初級のクラスは、ややぎこちないですが、一生懸命、伝えようと頑張っていました。最初の頃より、だいぶ話すことに慣れたそうです。
中上級のクラスともなると、読む本も絵本、雑誌、小説、マンガとバラエティに富み、ブックトークもなかなか上手に自分の気に入ったポイントを伝えていました。

必修だけに、読むのが好きではない学生さんもいて、そういう学生たちは、本を前に多読に苦戦している様子でした。また、「先生がどうぞ続きを借りていってください」と呼びかけるも、本を借りていく学生さんはほとんどいませんでした。
「大学生は忙しいし、一週間はあっという間だからか」「借りずにはいられない気持ちにまではなってないということだ」などと、先生方は気を揉んでいますが、それでもこうした時間が設けられていて本に触れる経験ができることが大切だという結論に。昨年のアンケートでは9割の学生が多読を肯定的に捉えているという結果も出たそうです。
多読の後の担当の先生方とお話には、さまざまな学生のそれぞれの本に向かう態度や楽しみ方についてのエピソードがたくさん飛び出し、多読が一斉授業ではなく、一人一人の個人の活動であることの良さを改めて感じました。
拓大別科の多読がますます進化、浸透していきますように。私たちも応援しています。
(粟野 記)