7月24日(日)「オンライン読みもの作成入門講座」報告

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7月24日(日)午前9時より、第10回「オンライン・読みもの作成入門講座」を開催しました。
参加者は当初6人でしたが、急遽キャンセルされた方が出たため、ちょっと寂しいけれど4人となりました。ベトナム、オランダ、USA、日本からの4人です。多言語多読からは粟野、松田、川本が参加しました。

簡単な自己紹介からスタート。教えているのも大学、会社、現地の日本語補習校、日本の小学校の日本語支援、ボランティアと多岐にわたりました。

【作成の前に】
粟野が、多読用読みものとはどういうものか、どのようなものがあるか、題材選び及び著作権、レベル分けなどについて「にほんごたどく特設サイト」の資料を示しながら、簡単に説明しました。
次に理事の松田が、読みもの作りのポイントを具体例をあげて解説しました。
その後、いよいよ読みもの作りの実践です。まずは、レベル0の読みものを作ります。参考例として当NPOの「無料よみもの」から、レベル0「カラスと水さし」を紹介しました。

【実践その1】
受講生2人と講師1人のグループを作って作業をしました。予告していたイソップの「カラスとキツネ」か「アリとキリギリス」を選びます。偶然ですが、2つのグループとも「アリとキリギリス」になりました。
今回は、使えそうなイラストも予め提示してあったので、いくらかイメージが湧きやすかったようでした。苦労したのは、語彙の選び方と日本語としての自然さをどう工夫するかということでした。


(みんなで画面共有して相談しながらすすめます)

1つのグループは、たくさんのアリが働いている場面から物語を始めました。こちらは、アリとキリギリスというタイトルの順番に合わせて登場させるという判断です。
もう一方のグループは、各場面にのんきに歌うキリギリスを登場させました。繰り返しキリギリスを登場させたことで、内容がよりわかりやすくなったという感想がありました。
両グループとも結末が同じなのには、笑ってしましました。それぞれ、キリギリス昇天の絵とキリギリスのお墓の絵がラストシーンでした。合掌(笑)

【実践その2】
後半は、中級レベルの文学作品のリライトです。メンバーを入れ替えて2つのグループに。芥川龍之介の「蜘蛛の糸」か、宮沢賢治の「注文の多い料理店」を選んでもらいました。またまた両グループとも「注文の多い料理店」に決定です。
1つのグループはレベル2、もう一方はレベル3でリライトしました。レベル2のグループは、シンプルにまとまっていましたが、やはり、ところどころレベル3の表現かなというところもあって、レベル2では、賢治らしさを残すのは難しいと思いました。
レベル3のグループのは、耳で聞いてても情景が浮かぶ文になっていましたが、レベル3ならもう少し書き込めたのではないかという意見もありました。
どちらのグループも、賢治らしい表現、特にオノマトペをどこまで使うか、情景描写をどのくらい残すのか、読みやすさと賢治らしさの兼ね合いに悩んだようです。
全員に感想を言っていただきました。使えない語彙をどう言い換えるか、また、原作がある場合には、原作の雰囲気をどこまで残すか、その当たりが難しいようでした。これは、私たちも悩むところです。
その後、8月6日、7日に開催されるオンラインセミナーのご案内をして終了しました。

【事後アンケートからの抜粋】
・実際に読み物を作るのは初めてで、楽しく、大変勉強になりました。今回の講習では、経験豊かな先生がアドバイスしてくださりとても分かりやすかったです。軽い気持ちで上級の日本語クラスで多読読み物作成も考えていましたが、上手なアドバイザーの必要性を感じました。
・今回は、読む側だけでなく作る側の視点を経験できました。これから生かして行きたいです。
・語彙や文法の制限がある中で、話の流れを自然にするのはとても難しいと思いました。
・0レベルでは、「絵を見てわかるくらい簡単な文にする」という説明がとてもわかりやすかったです。まずは、0レベルで一つ作ってみたいです。文学作品をリライトする場合は、作品の雰囲気やオリジナリティをある程度残しつつ、わかりやすい文章しなければならないので、大変な時間や労力が必要ですね。

 

★多読向け読みもの作りに興味のある方、ぜひ次回の講座にご参加ください。
https://tadoku.org/japanese/online-courses-for-writers/

(記 川本)