2月13日(日)西東京市図書館多文化オンライン講座「にほんご多読ワークショップ」報告

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2月13日(日)午後1時から3時まで、西東京市図書館多文化オンライン講座として日本語支援ボランティア向けの「にほんご多読ワークショップ」が開催されました。

西東京市の図書館では多文化サービスに力を入れており、「レベル別日本語多読ライブラリー」と「にほんご多読ブックス」が3セットずつあります。2年前には「いっしょに読もう やさしいにほんご」というワークショップが日本語学習者向けに開催されました。日本語学習中の外国の方にとって図書館はまだまだ敷居が高い場所です。今回は、そうした外国の方もさることながら、日頃、日本語の支援にあたっている日本語教室のボランティアさんに本をたくさん読んで日本語を身に付ける「多読」を知ってもらおうと計画されました。10名のボランティアさんが参加されました。

はじめに図書館の林さんから、「外国人の方々にも図書館をもっと活用してほしいと考えて、このワークショップを企画しました」と挨拶があり、スタートしました。

続いてNPO多言語多読理事長の粟野が多読について話しました。

まず、なぜ多読がいいのかを、読解や精読と比べながら説明しました。
そして、やさしいものから読む、辞書を引かない、わからないところは飛ばすなどの読み方のルールがあることを話しました。

次に支援者の役割は何か、授業はどのように進めていくのかを、授業風景のビデオを見ながら説明していきました。学習者への声掛けのタイミングや声掛けの仕方、学習者とどのように関わっていくのかをみていきました。1対1での個人授業での多読の取り入れ方や注意点などについても説明しました。

そして、多読に適した本について話しました。
NPO多言語多読が多読用に作った「レベル別日本語多読ライブラリー」と「にほんご多読ブックス」、それ以外のレベル別の読みもの、多読に向いた一般の読みものについても紹介し、「にほんごたどく特設サイト」の検索方法も説明しました。

ほとんどの参加者が多読について話を聞くのは初めてだったので、少し休憩をとってから、質問タイムに入りました。
理事の川本、正会員の作田、白石も加わって、質問に答えていきました。

1対1で教えている人が多く、それぞれ自分の支援をしている人にどのように多読を取り入れたらいいかと考えているようで、不安に思っていること疑問に思っていることに関して具体的な質問が出ました。

文字を読むのが嫌いな人にはどうしたらいいか、読み聞かせと聞き読みの違いは何か、大人の人でも絵本を嫌うことはないか、日本語の発音が少し悪くても子どもに読み聞かせをしてもいいか、などなど・・・。また、レベルをどのように決めているのか基準を知りたいという方もいました。

最後にワークショップの感想として、「図書館でレベル別の本を借りて使っていましたが、今までの私の使い方は多読ではなかったんだとわかりました」と話してくださった方がいました。今日のワークショップで多読を理解してくれたことをうれしく思いました。

このほか「アンケート」からこの日の講座への感想を抜粋します。

・レベル別多読本を使って良さを実感していたので、詳細な使い方を教えて頂けてとても良かった。無料のWEB多読本を教えて頂けたので早速オンライン授業で使いたい。
・多読を支援する側の準備や、心がけがよくわかった。
・外国ルーツの子どもに日本語を教えていて、本を読んでもらいたいと思い興味がありそうな本を読んでもらおうとしてもなかなかヒットせず、困っていましたが、今日の講座で「聞き読み」のことを知り、また、図書館で年齢相当向けのおすすめの本の一覧があることがわかり、そこから絵本なり、本を探してみようと思いました。
・「全ての人に読書の楽しみを」という趣旨にぴったりの企画でした。動画からも効果が期待でき、もっと広がってほしい活動だと思いました。一方で、趣旨と内容に納得した人たちが実際の活用に進むために、もうひと押し(ひと工夫?)が必要だと感じました。対面で当事者が参加すればいいのでしょうけど、オンラインでも何かできないか、自分でも考えてみたいと思います。
・日本語サポートの現場の参考になる情報をえられ考え方の方向変換がえられた。
・資料説明だけでなく、多読の実践の場を動画で見せてくれたのが参考になった。また、有益なサイトの紹介もしてくれたり、質疑応答の時間もたっぷりあり、満足できる内容だった。
・私は、ボランティアとして30代の女性と日本語学習をしています。彼女は以前、日本語の本を読んでみたいと言っていました。しかし、まだ日本語で書かれた本を読むのは難しいと考え、本についての紹介はしていませんでした。また、大人の学習者なので、絵本や童話を楽しく読んでもらえるかどうかの迷いもありました。しかしながら、今回のワークショップ内の動画で大人の学習者たちが、絵本や童話を楽しそうに読んでいる姿を拝見し、日本語で本を読むことが学習者の喜びに繋がるということを知ることができました。さらに、日本文化、日本語力、漢字・読み方を、本をたくさん読むことによって場面と一緒に自然と身についていくということも学びました。そして、書く能力・話す能力も向上し、生活の質も向上するということも新しい学びでした。一緒に学習している彼女に、多読について紹介し、絵本や童話の世界の楽しさを伝えたいと思います。
・とても面白く、刺激をたくさんいただきました。多読のやり方(「聞き読み」など)具体的に話してくださってイメージが湧きました

ひとりの方が書いてくださったように、「実際の活用に進むためのもう一押しの工夫」について、私たちも考えていかなければと思いました。
このワークショップをきっかけに、図書館の本を借りて多読をする日本語学習者が増えることを願っています。

(正会員 白石 記)