11月1日(日)オンライン「日本語多読授業入門講座」報告

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毎月、月初の日曜日に実施している日本語多読授業入門講座。11月の回は、参加者5名と、こじんまりした集まりになりました。

アメリカ大陸からの参加者が参加しやすいように朝9時の開始としましたが、カナダ、メキシコの先生が参加してくださいました。また、日本国内も、大阪、広島など遠方の方が参加してくださいました。対面形式ではなかなか来ていただけない地域にお住まいの方に参加していただけるのは、オンラインの良さです。地域だけではなく、多読をどのように始めればいいか悩んでいらっしゃる先生、来年度から多読授業をなさることが決まっている先生、多様な現場の先生方がいらっしゃいました。

201101入門講座キャプチャ

今回、講師を勤めたのは、正会員高橋亘と、理事長粟野でした。告知では、作田が担当することになっていましたが、参加申し込みのみなさんのニーズを考え、粟野と交代しました。

まず、高橋が、どうして多読なのかというところから、自分自身の英語学習の経験も交えて説明しました。多読の4つのルールは重要ですが、かといってルールを強制しても失敗することがあるとのこと。オンラインも含めて、読みものの紹介なども行いました。

休憩を挟んで後半、粟野からは、実践についての報告をしました。学習者はどのように本を読んでいくのか、その結果どんな反応を示すのか、授業の様子はどうなのか、日本語学校やボランティア教室での学習者の様子を、ビデオを交えて説明しました。そして、例えば、母語話者用の絵本を読むのは大事だが、最初の一歩に絵本を読むのは難しいため、多読用読み物を離乳食として読むなど、具体的な支援について話しました。教師目線はやめて、いっしょに読み、学生の好みなどをつかんで、学生との信頼関係を築くこと。そのことで、学生がリラックスし、読むことを好きになれば、好循環が生まれるとのことです。

また、絵を読むことの重要性についても、実際のオンラインの読みもの、『あいちゃん』を用いて伝えました。絵を読めば、物語を理解することができます。そこから、字がある物語へと移っていけば、初めて出会う言葉でも何を言っているのか読めるのです。

二人の話のあとは、質疑応答です。どれぐらいのスパンで効果が現れるのか、聞き読みはどのように勧めるのか、たくさんある読みものを学習者にどのように紹介するのかなどの質問が出て、粟野を中心にスタッフで答えました。

【アンケートからの抜粋】
・ルールや実践の報告、サイトなど詳しく教えていただけたのでありがたかったです。
・多読の授業のやりかたがわかった。どんな活動を多読というのかわかった。
・話していただい内容はとても分かりやすかったです。先生方が、一生懸命に話されていたので、多読の楽しさが伝わってくるワークショップでした。ぜひクラスに取り入れたいと思いました。
・読んだものについて話してくれた学生さんや、本を読むことによって気づいたことを話してくれた学生さんの様子がとても素敵でした。ぜひ、授業に取り入れていきたいと思いました。
・学習者が読んだ本について熱心に話している姿が印象的でした。学習者が楽しく読める本と出合えることの大切さ、そのためのサポートをどのようできるか、ということを強く思いました。
・これから各々の授業に組み込むか(冒頭で10-15分?)、もしくは複数の生徒を集めての多読会を別に設けるか、試行錯誤しようと考えています。その時きっと疑問や質問が出てくると思うので、また参加できるような講座があると嬉しいです。
・無料の本が閲覧できるサイトを教えていただいたのは、とても役に立ちました。ただ、種類が多いので、こういう学生にはこんな本を薦めますというような意見
交換をするような、会とか、学生たちの感想などを気軽に話し合える機会は、どうでしょうか。
・オンラインでの授業や多読から様々な活動への展開、多読授業の難しい点などについて考える勉強会があると嬉しいです。

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以上、11月の多読授業入門講座を報告します。それぞれの先生方がいいスタートを切れますように。

(報告:作田)