11月10日(日) 第6回シンポジウム「図書館多読への招待」基調講演 報告

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11月10日、秋晴れの心地よい気候となったこの日、稲城市立中央図書館に隣接の体験学習館にある視聴覚室で第6回シンポジウム「図書館多読への招待in稲城」が開かれました。

佐藤由美子館長

開会の挨拶を稲城市立図書館、佐藤由美子館長よりいただき、午前の部がはじまりました。

午前は、「たのしく始める英語多読~図書館の森に多読の木を植えよう」と題したNPO多言語多読、酒井理事による基調講演会です。一般の方、図書館、学校関係者などさまざまな方面から参加してくださいました。

まず、酒井理事から、「多読」とは何か?という概要が語られました。ただひたすら楽しみながら読んでいけば、そのうち読めるようになり、英語が身につくというのが多読、とのことでした。
それには多読の約束事、多読三原則「辞書は捨てる、わからないところは飛ばす、進まなくなったら投げる」を守り、やさしい絵本をたっぷり読み進めるとよいとの説明が続きました。

その後、参加者に Oxford Reading Tree (ORT)が配布され、メガネや変なおじさん探しをしながら、たっぷりと絵本の絵をしっかり見ることを体験していただきました。皆さん、子供にもどったようにメガネ探しに熱中し楽しんでいらっしゃいました。




ことばは、体に大量にたまっていないとなかなか使えるようになりません。
ORTは実際にイギリスの小学校で使われていますが、このシリーズはステージ1の字のない絵本から始まり、ステージが上がるごとに1語2語・・・と語数が増えていきます。内容は、ある一家を中心にしたお話で、やさしいけれど自然な言葉で成り立っています。学校で習った英語、たとえばclimbは、「登る」ではないことをこの本は教えてくれます。この生きた英語をオチを楽しみながら無理なく読み進めれば、大量に読むことができるとのことでした。

こんなに敷居の低い絵本からだんだんと絵を楽しみながら読み進める体験をされた皆さんは、「なんか私にもできそう」「楽しそう」と思われたのではないでしょうか?

ただし、多読には大量のやさしい絵本が必要です。やさしい絵本であるOxford Reading Tree1冊(1冊に1語)で500円もするため、多読を継続するには費用がかかり、難しい。そこで、無料で本を借りることができる図書館多読への期待が膨らみます。
また、ひとりで読んでいるより、仲間とブックトークしながら読んだ方が読書の幅も楽しみ方も広がります。図書館は部屋の確保もしやすいし、仲間作りもしやすいのではないでしょうか。

参加者からは、「地元の図書館にORTをリクエストしたい」「図書館にない時どう始めたら良いか?」など、前向きな意見が出されました。

図書館にORTが無い時はwww.oxfordowl.co.uk で250冊無料でORTを読むことができるし、tadoku.org/english(NPO多言語多読のサイト)でいろいろな題材が用意されているという補足もありました。

実際に会場となった稲城市立中央図書館でも2017年の酒井理事の講演会の後、「いなぎ多読らぶ」という多読サークルができ、今年で3年目となりました。現在月1回10数名の方々が多読を楽しんでいます。

図書館多読のシンポジウムも今年で6回目。少し前まで東海地区中心だった多読の広がりが東京地区にも波及し図書館多読の森に少しずつ木が増えつつあると実感しました。さらに来年、再来年とより広く多読を楽しめる環境が増えることを切に願うばかりです。

(会員、多読講座卒業生・Kmama)