毎週土曜日3時半から、しんじゅく多文化共生プラザで「にほんごの本を読む会」を開いています。登録も申し込みも不要で、本を読みたいと思った人が、自由に無料で参加できる会です。
9月と10月の報告です。
9月・10月は毎年、新たな参加者が来るときなので、楽しみにしています。
9月になってから参加し始めたNさんは、ひらがながまだ全部は読めませんでした。日本語の言葉もほとんどわかりません。それでも、毎週、熱心に本を読みに来ます。
一人で本を読むのはまだ無理なので、支援者が横に座って一緒に読んだり、絵を指し示して発音したりしながら、支援をしていきます。
はじめは『くだもの』『やさいのおなか』『まるさんかくぞう』など、絵と言葉がしっかり結びついているレベル0の絵本、繰り返しの多い絵本を読み、日本語に慣れてもらいました。
そして、少し慣れてきたところで『よむよむ文庫』(アスク出版)や『にほんご多読ブックス』(大修館書店)のレベル0の本を読み始めました。
支援者が読む、Nさんが読んでそれを支援者が手伝う、CDを聞きながらシャドーイングをするなど、いろいろな読み方で読みます。前の週に読んだ本をもう一度読んだり、新しい本を読んだり、Nさんの反応を見ながら進めます。Nさんの表情から、日本語にも「本を読む会」にも、かなりなじんできたようです。少しずつ、日本語を話すこともできるようになってきました。
日本語学校の学生さんもよく読みに来ます。
9月・10月から日本語学校で勉強を始めた学生さんも大勢来ました。それぞれ、やさしいレベルから興味に合わせて読んでいます。これからも続けて「本を読む会」に参加して、本当の日本語力をつけていってほしいと思います。
6月の大久保図書館での多読ワークショップに参加した専門学校に通うTさんがひょっこり現れたのもうれしかったことの一つです。かなり上級のTさんに、大久保図書館でのビブリオバトルへの参加を促したら、すぐにエントリーし、当日は立派にプレゼンテーションをしていました。
日本で仕事をしている人も読みに来ます。
去年の秋に勤め先の会社が変わって、忙しくて来られなかったAさんが、久しぶりに参加しました。「出張が多くて疲れていますが、本が読みたくて来ました」と言って、本を読み始めました。とても楽しそうに読んでいました。Aさんは、1年前には知らない言葉をメモしたり、漢字のルビを隠して読む練習をしたりしていましたが、今は、CDを聞きながら、話の内容を楽しんでいます。そんな姿を見ると、私もうれしくなります。
「本を読む会」では、1時間ほど読んでから、その日読んだ本の中で一番気に入った本について一人ずつブックトークをします。ブックトークを聞いていると、本を心から楽しんだことがよくわかります。そしてブックトークを聞いた人から「その本、次に読みたいです」という声が聞かれることもよくあります。
毎週土曜日の、この「にほんごの本を読む会」が本を読む場所というだけでなく、本を通して他の人たちとつながることができる場になってきていると感じます。
これからも多くの人に参加してもらえることを願っています。
(白石)