10月27日(土)第5回ビブリオバトル@大久保図書館 報告

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10月28日(土)大久保図書館で開催された第5回インターナショナル・ビブリオバトルに行ってきました。
このビブリオバトルは、外国人住民が全体の4割という大久保ならではの外国人と日本人が参加する珍しいビブリオバトルです。

発表者は9人、外国人4人、日本人5人。
外国人4人のうちの一人は、大久保図書館で行われた「日本語多読ワークショップ」に参加し、最近は、私たちの「にほんごの本を読む会」にも参加している香港のTさんです。
米田館長から「人を通して本を、本を通して人を。本を通しての国際交流を。本を片手にみんなで語り合いましょう」といういつもの主旨説明があり、会がスタートしました。

まず、外国人2人、日本人3人の先攻のイルカ組から。本について5分間語り、その後、聴衆から質問を受ける時間が2分設けられます。全員終わった後で、「いちばん読みたくなった本」にみなが投票します。一番多かった本が「チャンプ本」になります。
では、紹介された本を順番に紹介します。

1番 日本『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』(こまつあやこ著)

2番 日本『私の人生、アンハッピ~!? インドで結婚するなんて、思ってもみなかった』(藤田左希子著)

3番 香港『男がさばくアグネス論争』(小浜逸郎著)

4番 中国『空城の計』(唐亜明著)

5番 日本『ふしぎな図書館』(村上春樹著)

イルカ組の「チャンプ本」は1番の『リマ・トゥジュ・リマ・トゥジュ・トゥジュ』に決まりました。

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この不思議な呪文のような題名は、マレーシア語ので、リマが5、トゥジュが7だそうです。つまり、タイトルは短歌を表す『五七五七七』というわけです。
マレーシアからの帰国子女が日本に戻り、日本の学校に溶け込もうと苦しんでいるところに先輩から「吟行」に誘われ、マレー語交じりの短歌を詠むことで解放されていくというお話。講談社児童文学新人賞受賞作。
実は、この作者「こまつあやこ」さんが2番目に話をされた方だということが後で明かされ、びっくり!!

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(作者のこまつあやこさん)

香港のTさんは、東京医大の女性受験者一律減点のニュースをマクラに30年前の「アグネス論争」を語りました。
Tさんは、専門学校の学生さんですが、熟年学生。30年前の「アグネス論争」は香港でも当時大変な話題になったそうです。「香港は女尊男卑」「香港女性にとって仕事は大切。夫よりも大切かも」と笑わせながら、日本の男尊女卑をチクリと批判。巧みな構成に感心しました!

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休憩の後は、外国人2人、日本人2人のイルカ組の発表です。

1番 日本『どうぶつのアリフバーター』※書影なし

2番 韓国『82年生まれのキムジヨン』(チョ・ナムジュ著)※書影なし

3番 台湾『ふしぎなかぎばあさん』(手島悠介著)

4番 日本『ビルマの竪琴』(竹山道雄著)

イルカ組の「チャンプ本」は2番の『82年生まれのキムジヨン』でした。82年生まれで一番多い女性の名前はキム・ジヨンだそうで、35歳のキム・ジヨンが生きていく中で体験する生きにくさ、我慢を強いる社会の空気を浮き彫りにしたベストセラーだそうです。映画化も決まり、台湾では翻訳も出版されているとのこと。台湾も韓国も女性が生きにくさを感じていると言うことでしょう。日本でも早く翻訳されるといいなあと思いました。
香港には必要のない本かもしれません?!

biblio
(本を見せながらがんばります。5分ぴったりで語るのはみなさん難しかったようです。)

本を語るのに、日本語の上手下手は気にならないものですね。
外国人もエントリーできるビブリオバトルは、やはり、選ぶ本、内容に対する見方の幅が広がって面白いです。
来年はより多くの人が集まりますように!

(粟野)