5月27日(日) 第40回「多読授業とリライト」入門講座報告

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爽やかな五月晴れの日曜日、「多読授業とリライト」入門講座に9名の参加がありました。国内の大学の先生、日本語学校の先生、大学生、大学院生、ドイツで長年日本語を教えていらっしゃる先生、大学で英語多読授業をご担当のウガンダの方、これから日本語教師になる方です。
多読のことはご存知の方がほとんどで、既に多読授業をなさっている方、多読授業に興味や疑問を持たれている方、多読の本作りに興味がある方などでした。
今回の講師は、NPO理事の川本かず子と、NPO会員、大学講師の片山智子さんです。
第一部
【10 : 30 ~11:30】川本

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まず、NPO多言語多読が多読本作成を始めた経緯について話しました。
次に、日本語多読の「4つのルール」とは何か、参加者に問いかけました。まっさきに出たのが「辞書を引かない」でした。読む流れが止まる、類推する力がつく、でも辞書を引かないで読むことは考えられないという意見も出てきて、こうしてルールの意味をみなさんで考えてみることに意味があると実感しました。とにかく量が大切なこと、インプットがなければアウトプットはできない、そのためのルールであることを伝えました。
その次に、当NPOの制作した本、及び市販本の絵のある本について、絵をよく見ることの必要性、など使い方を説明。一般的な日本語の本に繋がるやさしくて読み易い市販本の紹介をしました。

【11:30~12:30】片山智子

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現在大学で多読授業を行っている会員の片山さんから実際の多読授業についての実践報告がありました。
日本語教育現場での「読む授業」や「読解」は、「実際の読み」とはかけ離れているのではないか、「読む」とは,個人的で主体的な行為なのではないか。「読む」ことの本質について研究を始めた時に、NPO多言語多読の「多読」に出会い、実際に多読授業を経験し実践を始めたとのことです。そして、「多読授業」を進めるときの様々な工夫の紹介がありました。

そして、実際に、多読授業の初めに、どのレベルの学生にも実践しているという「文字のない本を読む」「絵を読む」読み方を15分ほど参加者のみなさんに体験していただきました。
多読支援のひとつの方法として、学生の好みに合わせて読む本を勧めることがありますが、本をテーマ別(昔話、動物の話、日本を知ろう、不思議な話、怖い話、など)に並べるなど片山さんが実践されている方法を参加者の方に見ていただきました。
授業の初めに、読み物の冒頭部分の読み聞かせをすることもあるそうです。成績のつけかた、読書記録のコメントへのコメントなどにも言及されました。

【12:30~12:50】川本
英語、韓国語、スペイン語の多読体験。絵をよく見ることで、ストーリーを想像できる、ということを実感していただきました。

第二部

リライト入門講座
【13:50~16:30】(川本 田中)

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最初に、川本からリライトのポイントについて説明があり、3人ずつ3グループに分かれて、レベル別の語彙表と文型表をみながらリライトを始めました。
用意していた3作品イソップ物語「北風」「ウサギとカメ」「アリとキリギリス」から、「北風」1グループ、「ウサギとカメ」2グループとなりました。

やさしい言葉ではストーリーを書き換えられない、それは無理と考えこんだり、なかなか簡単な言葉に置き換えられないと悩んでいるグループがありました。
たとえば「ウサギとカメ」で、「『まだ寝ています』の『て形』が使えなければできない。制限する意味がどこにあるのか」という意見が出てきました。
こちらが、「『まだ起きません』ではどうでしょう?」とヒントを出すと、「なるほど!」と気づいていただけました。
文字でなく絵に語らせると良いとアドバイスをすると解決策が出てきた場面もありました。
「北風」のグループのウガンダの英語の先生から「日本語の読み物だから、男の服ではなくて、着物にしよう」という楽しいユニークな発想が出たりもしました。

芥川龍之介作「蜘蛛の糸」「羅生門」をリライトしていただきました。冒頭部分だけでしたが、発表していただき、当NPOの「蜘蛛の糸」「羅生門」を参考にお見せしてくらべていただきました。

<参加者の感想>
・実際にリライトをしてみると、簡単な言葉に書き換えるということが大変難しいということがわかった。
・リライトは難しいし時間がかかるのがわかったが、学生にわかってほしいので授業用にリライトしたものを作りたい。
・N1の学生でも 書き換えた本で、「羅生門」など、難しい本を読めれば、難しい本が読めたという自信につながると思った。

途中で帰られたウガンダの英語の先生は5年前に日本語N3を取得したそうですが、「私が日本語を勉強していた頃に、『おもしろい!日本のトイレ』や『私はだれでしょう?』があったら、もっと日本語が上手になっていたのに」とおっしゃっていました。
感想に多読本作りがたいへんだと思われた方が多かったのですが、これを機会に、是非これからも多読本作成にご参加いただけたらうれしいです。
(田中)

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