5月13日、図書館多読の先進地域として知られる東海地区で、図書館多読クラブの交流会が蒲郡市立図書館主催、NPO多言語多読共催で、初めて開催されました。参加人数は30名でした。
会場は愛知県の蒲郡市民会館です。
この会館の近くには、英語多読コーナーを愛知県で2番目に導入した公共図書館・蒲郡市立図書館があります。午前中にはここの多読コーナー見学会も行われ、6名が参加しました。
I Can Read のシリーズに2005年購入の印があるのを見て、「本当に古くからあったんですね」との声が上がりました。
図書館多読クラブとは、その地域の図書館を利用して多読を楽しむ人の集まりです。
多読を進める上で必要な3つの条件、①多読三原則②大量のやさしい本③仲間、の②と③を多読図書を所蔵する図書館は提供することができます。
今回の交流会は、この③仲間、が図書館を利用した多読を互いに支え合う実例を、7つの図書館のグループが紹介し合う会となりました。
3時間のプログラムは以下のように進行しました。
- 講演「図書館多読による生涯学習と地域交流」豊田高専・西澤一教授(NPO多言語多読理事)
- 実践報告(7グループ)
- 交流1 図書情報・読書体験の交換(日本語)
- 交流2 3分間ブックトーク(交流1と同じ班・英語)
講演「図書館多読による生涯学習と地域交流」
図書館多読クラブに代表される「多読コミュニティ」の役割として
- ロールモデルを示す(多読は学校教育の常識と逆、初心者は不安なので実践しているモデルとの出会いが必要)
- 図書情報と体験の交換(嗜好に合った本を探すのに役立つ)
- 継続の相互支援(多読の効果実感には長期継続が必要、仲間が励みに)
の3点が挙げられました。
そして「成功する」多読コミュニティの特長として、いくつかのポイントが紹介され、参加した方々は軽妙なトークに笑いながらも熱心に聞き入っていました。東海地方の数多くの図書館多読の発足に関わり、実際にその様子を見守りサポートしてきた西澤さんならではの指摘は、各グループのメンバーや図書館司書の皆さんの励みになったのではないでしょうか。
図書館多読クラブ実践報告
続いて7つの図書館多読グループから10ずつの実践報告があり、それぞれの特徴や今までの活動、運営の工夫、現在の課題などが紹介されました。100回目を迎えた会から昨年スタートしたばかりのグループまで、特色ある楽しい報告は、それぞれ刺激やヒントになりそうでした。
- たじみ多読を楽しむ会
- 大府で多読 英語で本を読み隊
- 豊田多読クラブ
- (蒲郡市立図書館)読書相談会
- 湖西多読クラブ
- (三重県立図書館)英語多読交流会
- (浜松市立図書館)浜松英語多読会
交流会 1、2
後半は、4つの班に分かれての交流会です。各7〜8人の班は、異なる多読クラブのメンバーで構成され、自己紹介・自分のクラブの紹介に続いて、多読クラブの主な活動である本の紹介を行いました。「多読で出会ったお気に入りの本を持ってきてください」という事前の案内どおり、皆さん選りすぐりの本を持って参加されていて、初対面の人たち同士にもかかわらず、うなずいたり、身を乗り出して聞いたり、作者について質問したり、本の表紙の写真を撮り合ったりと「多読ファンの集まり」は初対面でも本を通じてすぐに熱く語り合う仲間になってしまうところがすごい!と思いました。
交流会2では、同じ班のまま、今度は英語で3分間ブックトークをしました。英語でと言っても、苦手、という人はパスすることもできますし、あらかじめ紹介メモを作ってきても、部分的な読み聞かせでもOKなので、気軽です。私が参加した班では、本に加えて海外ドラマや動画の紹介も始まり、ますます情報交換が盛り上がっていきました。
会員/小川