7月8日(金)横浜・鶴見国際交流ラウンジ ブラッシュアップ講座 報告 

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7月8日、鶴見交流ラウンジで日本語ボランティアのブラッシュアップ講座が行われ、川本理事が講演しました。

参加は33名。「多読」という言葉を始めて聞いたという方がに手を挙げていただいたら、半分近くいらっしゃいました。

中学、高校での英語の授業がとってもおもしろくて役に立ったと思う方と問いかけると、1人も手が挙がらず。そのおもしろくなくて役に立たなかった従来の方法とは、全く違うのが多読である、その言語そのものに慣れる方法であるということから話を始めました。

母語を身につけてきた時、始めはきっと意味を持たない音だったけれど、何回も同じ場面で同じ言葉に出会って、なんとなくもやっと意味が捉えられてきて、自分も使ってみるという経験をたくさんしてきた。しかも誤解していたり、使う場を間違えたりしながら覚えていった。それと同じように言語を身につけていくのが多読である。つまり、再度、日本語に慣れる方法だということを伝えました。みなさん、母語だとこれは納得。でも外国語としては?という空気がちょっと流れました。

外国語をそのように身につけていくには、わかるものを楽しく大量に聞く、大量に読むことが重要であること。そして、絵が母語を覚えてきたときの状況、場の代わりになるので、始めは絵のあるものがいい。これをわかっていただくため、次にイギリスの子ども向けの読みもの教材Oxford Reading Tree を使って、ちょっぴりだけ、英語でやさしいものを辞書をひかず読む体験をしました。
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いきなり「絵を見てください、絵でストーリーを追ってくだい。絵をよく見て、なにか変なものや関係ないものを発見してください」と言われ戸惑いを隠せず。でも、物語、本というのは書かれている文字を読むのではなく、まずはその物語世界に浸ることだとお話しました。英語体験中、私とアシスタントのMさんで、会場をまわりながら質問を受けました。「絵を読むって頭の中では母語で物語を語っているのではないか」「字がないとやっぱり読むことにならないのではないか」など。Mも自分の英語多読体験から「多読を始めたばかりの頃は、つい先に字に目がいってしまった。でも、最初に絵、そして音、字は最後という風に見ていけるようになったら、本がもっともっと楽しめるようになった」と語ってくれました。

 英語体験で少しわかっていただけたところで、多読の始め方、やり方、多読のルールがなぜ必要なのか、支援者の役割などお話しました。支援者は文法や語彙を教えたり、わかっているかどうかを確認するよう質問や説明をしないことが大切だと伝えました。情熱をもって教えにきているボランティアの方たちにはここが一番むずかしいところかもしれません。強く抵抗を感じる方もいらしたようですが、大方はわかってくださったようです。

次に多読に向いている本を紹介。レベル別読み物を中心に紹介しました。ここで興味深かったのが、レベル0でもかなり難しいという声が多かったこと。今までの講座だとこんな簡単なものを?という疑問が多かったのですが。英語のORTと比べて段違いに字が多いと感じたようです。一語のもの、一文のものは、いまのところ赤ちゃん絵本や幼児絵本に頼っていることを説明しました。絵でわかる、次が読みたくなる、繰り返しが多いもの、またアニメブックスや漫画もまさに絵が語っているので最適であることなど、絵本や市販本の選び方の基準も簡単に実物を見せながら説明しました。「ゆうたくんちのいばり犬」から一冊を抜粋で読み聞かせをしてみると、みなさん声を出して笑って楽しんでいました。でも、ここで質問の手が挙がりました!「わたし」「あなた」で教えてきているのに「おれ」「おまえ」を教えたら、使っちゃいませんか?という質問です。状況をみることになれていれば、使っていい場面は自ずからわかるはずだと答えておきました。

最後にグループに分かれてご自分のボランティアの教室に多読を取り入れられるか、取り入れるとしたらどんな形が可能か話し合っていただきました。
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みなさん、真剣に様々な形を探って、前向きに考えていらっしゃいました。個人レッスンでは自分の裁量で取り入れられる可能性がある、でもグループの場合はカリキュラムががっちり決まっているので、今のままの時間に取り入れることはできない、全体として特別クラスを設けるかしないと無理という意見が多くありました。

また、ボランティアの一個人が多読用の図書をそろえるのは到底無理、図書館に置いてもらえないのかという質問がありました。それは私たちの願いでもあります。みなさんもぜひリクエストをたくさんしてくださるようお願いしました。

大きな一歩を目指すといつまでたっても何も変わらない、小さな一歩なら、すぐにでも踏み出せるのではないか、それぞれのボランティアグループの実情、支援者、学習者に合ったやりかたで、ぜひ始めてみてくださいと締めくくりました。

どうか、あちこちで、ちょっとずつでも日本語の本を楽しく読む学習者が増えるよう願っています。

(川本)

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