多言語tadoku 中国語篇!

2009年10月12日
カテゴリ : 多言語tadoku
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極楽トンボさんが、ご自身の200万字通過の報告を掲示板にしてくださいました。

http://bbs.tadoku.org/kb7.cgi?b=kodomoshiki&c=t&id=1412

これはすごいです!
多読村は次第に多言語になってきましたが、中国語第一歩にはこの極楽トンボさん
の報告がとても役立つだろうと思います。

いつかは村の「多言語の館」(仮称です・・・ もっといい名前をお願いします!)に
永久保存ですね。

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掲示板上で流れてしまうのは惜しいので、wiki発足まで、ブログで見られるように
します!

極楽トンボです。中国語200万字通過しました。英語多読で培った経験で中国多読を開拓しています(たいした経験じゃないだろ、という突込みはなしでお願いします)。

中国語多読を始めるにあたって、作戦をいろいろ考えました。多読にふさわしい本をどうやって探すか、本は出来れば朗読ファイル付がいいと思いました。そこで今のところ、以下の4つの方向で中国語多読を模索しています。
1、中国語GR
2、ピンイン付絵本
3、児童書
4、ネット上に無料の朗読音声がある児童書、一般書で聴き読み

1、 中国語GRは出版が始まったばかりでまだ点数がじゅうぶんそろっていません。レベル0に相当するものもあるので、今後の発展に期待です。中国語GRについては以前の報告をご覧ください。

2、ピンイン付絵本でCD付のものを探してみましたが、思いのほかありませんでした。CDなしのピンイン付の絵本ならたくさんあります。ただ、その多くは、小学生にすこしむずかしい語彙を含んだ短い読み物を提供するという感じのものです。なかなか英語多読のレベル0に相当する絵本でよいものは見当たりません。幼稚園児の早期教育用の教材のようなものならたくさんあるようですが、これはどうも食指が動きません。ピンイン付の本のよい点は、漢字の上にピンインが振ってあるので、発音がすぐわかるところにあります。しかし、ピンインがわからなくても意味がわかれば本は楽しめるし、第一ピンインがついていると読むのに邪魔ですから、ないほうがいいくらいです。だから、最近ではちょっと敬遠しています。発音を身につけたければ、やはり音声を聞くのがいいと思うようになりました。

外語教学與研究出版社 中国動画経典シリーズ(2007)
人民郵電出版社  上海美影経典故事叢書(2001)
以上の2シリーズは中国アニメの絵本版です。これについては以前の報告をご覧ください。

我最喜歓的経典伝統故事精絵本(知識出版社2009)
我最喜歓的経典童話故事精絵本(知識出版社2008)
以上の2シリーズは、有名なお話の絵本です。上は、「タニシの女房」、「鯉の滝登り」、「宝蓮灯」、「孫悟空」といった中国のお話の絵本全12冊。下は、アンデルセンやグリム兄弟、シンドバッド、ジャックと豆の木といった中国以外の世界のお話の絵本全32冊。わたしは上のシリーズしか読んでいませんが、絵のできばえはすばらしいと思います。本文はだいたい4000字強です。日本ではあまり知られていないお話だけ、ちょっと紹介します。

『白蛇伝』白素貞はへび女房、昔命を助けてもらった恩返しで許仙と仲睦まじく暮らしています。ところが、霊隠寺の坊主、法海が白素貞の素性を知り、二人の仲を引き裂こうとします。

『八仙過海』日本で言えば七福神、東の海に浮かぶ蓬莱島に住む八仙が西王母の蕃桃会に招待されて出かけます。海を渡るときに、東海竜王に襲われ、激しい戦いになります。

『田螺姑娘』貧乏な農民、許端には嫁の来てがありませんでしたが、あるときから誰かが留守中に夕ご飯を用意してくれるようになりました。いったい誰だろうと思って、こっそり覗いてみたら、なんと大事に世話をしていたタニシが女房に化けていたのです。

『済公』杭州のなまぐさ坊主の済公は、あるとき四川から山が村に飛び移ってくることを知り、村人を避難させようとしますが、村人は済公のことを本気にしません。しかたなく、済公はたまたまその日婚礼をしていた花嫁を盗み出し、村人を村から連れ出そうとします。

『小鯉魚跳竜門』こいのぼりの伝説。黄河の上流,龍門の景色を見に来た鯉たちは99丈もある龍門の滝を昇ろうとします。でも鯉はどんなにがんばっても49丈しか跳べないのです。いったいどうやって昇ればいいの?

次は、ピンイン付で挿絵付の児童書です。

楊紅桜純美童話橋梁書系列(全四冊)科学出版社2008
楊紅桜は「中国童書女王」と呼ばれる人気作家です。幼児向けから中高生まで幅広く活躍しています。人間の本性が善であることを面白い物語で語るというのがこのひとのポリシーのようです。子供に安心して読ませられるわけです。なので、中央人民広播電台の児童書朗読番組「睡前故事」でもしょっちゅうこの人の幼児向け作品が放送されています。このシリーズは幼児向け作品を集めたもので、字も大きく、とても読みやすいです。朗読音声を収録したCDもついています。文章もぐっとやさしいので、初心者にうってつけのシリーズだと思います。

『天上掉下乖狐狸』雌鳥が産み落としたばかりの7つの卵を狐が盗んで食べようとした。それを見た豚が大きく育ててから食べればもっとおなかいっぱい食べられるよ、とアドバイス。狐は卵を孵して一生懸命育てます。やがて7羽のひよこが生まれ、狐はひよこの世話にてんやわんやの生活が始まります。ラスト、狼に捕まったひよこたちを取り返すべく、狐は狼と対決します。さあどうなる?

『荷葉上的晩餐』サルのお母さんは三匹の息子たちに目的に向かって一致協力することの大切さをお池に浮かぶ蓮の葉っぱの上に夕ご飯を出すことによって教え諭します。

『長着耳朶的樹』小学3年の迷糊豆はいつも学校で先生に怒られています。皆は先生の指揮の下、森の中を隊列を乱さず行進してゆくのに、ひとりだけ木の幹に生えたサルノコシカケが気になって仕方がなくって、とうとうはぐれてしまいます。だって、木がサルノコシカケのお耳で僕の話を聞いてくれるかもしれないんだもの。そこへ小人の妖精が迷糊豆の前に現れ、不思議な冒険が始まります

『大脚鴨跳蹴踏舞』醜いあひるが周囲の蔑みの視線をものともせず、スケートを練習したり、革靴を買ってみんなの前で華麗なタップダンスを披露する話。表題作ほか、気難しやの小さいおうちと子供たちとの交流を描いた『小房子』、かかしが小鳥たちにお話を聞かせながらいっしょに楽しく時を過ごしている光景を描いた『稲草人給小鳥講故事』などが収録されている。

彩絵中国小名著シリーズ(浙江少年児童出版社2008)
中国の有名な物語のリライトです。このシリーズは全12冊全部同じ著者が絵と文章を手がけていて、挿絵も文章もよくできています。一冊100ページで1万3000字ぐらい。私は以下の三冊を読みました。気に入ったので、このシリーズは制覇したいです。

『山海経』山海経の世界を膨らまして見事に短編小説集に仕立て直している。

『包公断案』中国の大岡越前、包公の捕り物帳。今日も冤罪を解決すべく東奔西走の短編14編。

『鏡花縁』則天武后に追われて海外亡命した紳士の不思議な海外旅行記。天界を追われた12の花の精の化身を大唐帝国に連れ帰る。

小児注音名人故事叢書(華夏出版社2008)
中国と世界の偉人の伝記です。30種以上出版されている模様です。140ページ20,000字ぐらい。私の読んだのは、「荘子」です。読みやすいです。

小学生領先一歩読名著シリーズ(浙江少年児童出版社2008)
彩色挿図注音版シリーズ(江蘇少年児童出版社2007)
小学校高学年向きで、中国と世界の児童文学の名著を集めたシリーズが中国のいろいろな出版社から出ています。みな驚くほど似たような体裁です。間違えて買ってしまいそうです。そのなかで、代表的と思われる2社の『紅楼夢』をサンプルとして読んでみました。
浙江少年児童出版社版は220ページ、40000字、江蘇少年児童出版社版は186ページ、52000字。だいたいどちらもあまりかわりません。浙江少年児童出版社版のほうが装丁がやわらかくて開きやすく見やすいですが、江蘇少年児童出版社版のほうは、ピンインが目立たないよう漢字より薄く印刷されているので、これはこれで助かります。

3、 児童書
神奇樹屋1-34(湖北少年児童出版社2007-)
MTHの中国語・英語双語版です。わたし、英語多読と並行して中国語多読をしているので、何を読んでいいのか困ったときに助かりました。英語中国語を同時多読する人にお勧めです。

鄭淵潔・皮皮魯総動員シリーズ(二十一世紀出版社2006-)
鄭淵潔は童話大王と称されている人気児童作家です。童書女王の楊紅桜と違って、ドタバタあり、下ネタあり、時事風刺ネタありで少し斜に構えた感じなので、学校の先生には受けないけど、子供たちには一定の人気がありそうな作家です。この人の児童小説を網羅したのがこのシリーズで、現在60冊程度出版されているようです。
この人の文章は、話し言葉のリズムがとてもよいです。また、四字成語を多用するところも独特です。やや軽薄なところが玉に瑕ですが、気に入ったので、今後読み進めていきたいと思っています。一冊約180ページ、90000字前後。

『皮皮魯和舒克貝塔』鼠のシュクはヘリコプター、ベイタは戦車に乗り、男の子ピピルと協力して無数の冒険に立ち向かう。国民的アニメの原作。

『皮皮魯和夢中人』ピピルの家に夢の国の住人がきた!30日以内に夢の国に帰らないと死んでしまうので、みんなで夢の国に無事に帰そうと一生懸命

『皮皮魯和教室里的隠身人』ピピルの教室に透明人間が住みついた!透明人間のおかげで先生も生徒に優しくなって、みんなも楽しく勉強ができるようになって、教室はいつもわいわいがやがやいちばんやかましいのに、学校でいちばん成績アップ!校長先生がそこに目をつけて悪巧み・・・・。

『皮皮魯和大灰狼羅克』アンチ・ヒーローの狼ロックが主人公。拝金主義的な現代中国を風刺。テンポのよい小話集。

『皮皮魯恐怖易位』クラスの問題児、ピピルはいつも教室で担任の若い女教師に怒られてばかり。それが、ひょんなことからピピルと先生の体が入れ替わってしまう。ピピルの父母と先生の夫は大騒ぎ。

『魯西西與紅汽車歴検記』おもちゃたちが自分たちの意思で客船や旅客機に乗って、でたとこまかせで世界一周をする着想がおもしろい。後半はSFショートショート風の短編。

4、 聴き読み
中国は意外とオーディオブックが行われています。ただ、書店を通じて流通するよりもインターネット上でやりとりする方がメジャーです。とは言うものの、ファイル共用ソフトは怖くて使いたくありません。また、オーディオブックを販売するサイトもあるにあるのですが、わたしには手におえませんでした。少し面倒だし、作品の数も限られますが、ラジオ局などのダウンロードサイトで無料ダウンロードして使うのが経済的かつ安全だと思います。

この手は最近気がついたので、まだ一冊しか聞き読みしていません。今後、大々的に展開する予定です。

喬治・塞爾登『塔克的郊外』(新蕾出版社2008)
アメリカのGeorge Seldenの Tuckey’s Countrysideの中国語訳です。157ページ、61670字。George Seldenには Cricket in Times Squareがあります。これの中国語訳は売り切れでした。中央人民広播電台(CNR)の「文芸之声」局の「睡前故事」のアーカイブの7月13日から7月 24日放送分に収録されています。女性アナウンサーの朗読に乗って読めるのですっごくらくちんです。
鼠のタークと猫のヘンリーが、音楽家のコウロギのチェスタに要請されてコネティカット州の野原を住宅開発から守る話。実は近所の住民の子供たちや大人たちも、工事の業者も同じ思いだった。さて、どうやって豊かな自然を開発から守る?

極楽トンボさん、ありがとー!!!!