12/10(日)第10回「にほんご多読ワークショップ」@新宿・大久保図書館 報告

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大久保地域センター3階の会議室で、4年ぶりに新宿区立大久保図書館主催「やさしい日本語の本をよみませんか? ~ゼロからはじめる楽しい日本語多読~」が開催され、NPO多言語多読のスタッフがお手伝いをしました。

参加者は11名。日本語学校の学生さんや、独学で日本語を勉強中の人たちです。親子で参加した人もいます。国籍は、中国、台湾、カナダ、スロバキア。2、3人ずつ、4つのテーブルに分かれて座りました。
14:00スタート。米田館長の「今日はやさしい日本語の本をたくさん読んでください」という開会の挨拶でスタートしました。

まず、絵をよく見る練習です。理事長の粟野が「本を読むとき、絵をよく見ましょう!」と話しかけます。文字のない本『あいちゃん』(仙台国際日本語学校)や、文字を隠した『西町交番の良さん「助けて!」』(レベル別日本語多読ライブラリー/アスク出版)をスクリーンに映して、みんなで考えていきました。絵からどんなことがわかるか、どんな状況かを考えたり、そこで発せられる言葉を想像したりしました。

その後で、それぞれに、文字のない本や、文字の少ない本を読みました。時間をかけてゆっくり絵を見ていきます。「旅の絵本」シリーズ(安野光雅・福音館書店)を見ていた人は「深いですねえ」と思わずつぶやき、絵からわかるいろいろな発見を楽しんでいました。


※みんなで『アンジュール』(BL出版)を読んでいたグループ

各テーブルに置いた本以外にも、別のテーブルにたくさんの本を用意しました。「それではこれから本を読みましょう!」
どのテーブルでもやさしい本から読んでいきます。そして自分の好みの読みたい本へ。

良さんシリーズが気に入って、良さんが出て来る本を探して読んだのは幼稚園生のSちゃん。ネコが好きな人は『子猫ユキ』(にほんご多読ブックス/大修館書店)を読んでいます。小泉八雲の『むじな・幽霊滝』(レベル別日本語多読ライブラリー/アスク出版)のような怖い本が好きな人もいます。『屁っこき嫁』(にほんご多読ライブラリー/大修館書店)のような面白い本が好きな人もいます。
『着物』(レベル別日本語多読ライブラリー/アスク出版)を読んでいる人に、「どうですか」と感想を尋ねると、「昨日、着物を着ました。それで『着物』について知りたいと思いました」と言って、昨日着た着物の写真を見せてくれました。この人のように知りたいことがらについて書いてある本を読む人もいます。

※「良さん」シリーズの次に、ジブリの『千と千尋の神隠し』(徳間書店)の絵をじっくり見ているSちゃん

「休憩してください」と声をかけても、ほとんどの人がそのまま本を読み続けていました。
そして、隣の人と本を見せながら話したり、別のテーブルへも本を探しに行ったり、気に入った本を勧めたり、いろいろな交流が見られました。

最後にテーブルごとに今日読んだ本の中で一番気に入った本を紹介し合いました。
中上級グループは、アート専攻の学生さんも多く、絵本に人気が集まっていました。

(ブックトーク)

(今日一番面白かった本と一緒に記念写真)

会場全体が、終始和やかな雰囲気で、楽しそうに読んでいたのが印象的でした。

最後に、土曜日に、しんじゅく多文化共生プラザで開いている「にほんごの本を読む会」や、オンライン日本語多読クラブ、オンライン上の無料の読みものなどを紹介しました。その後、早速、大久保図書館のカードを作りに行った人も。ぜひ、図書館の本を利用してたくさん読んでほしいものです。

うれしいことに、一週間後の「にほんごの本を読む会」には、このワークショップからなんと3人が参加してくれました。
本を読む楽しさに目覚めてくれたのかなとうれしくなりました。

(正会員:白石ひろ子)