1月29日(日)オンライン読みもの作成入門講座 報告

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1月29日(日)午後4時より、第13回「オンライン・読みもの作成入門講座」を開催しました。
インドから4人、フランスから1人、ベルギーから1人、国内から3人の参加。NPO多言語多読からは粟野、松田、川本、田中が参加しました。
簡単な自己紹介からスタート。大学、日本語学校、小学校、地域の日本語教室などにかかわっていらっしゃる方々。インド人の方は全員、日本語多読を楽しむ「多読が好き」クラブのメンバーでした。

【作成の前に】

粟野が、多読用読みもの全般について「にほんごたどく特設サイト」の資料を示しながら、簡単に話しました。
次に松田が、読みもの作りのポイントを、具体例をあげて解説しました。

【実践その1】
まず、粟野から、初級読みもの作成について作業手順の説明がありました。 実践作業に入る前にNPOの「無料よみもの」から「カラスと水さし」を見て「レベル0」の絵と文の入り具合、展開の仕方を確認していただきました。                              3グループに分かれて、イソップ物語から初級レベルの読みものを作る作業に挑戦です。
1つのグループが「カラスとキツネ」、2つのグループが「アリとキリギリス」を選びました。
グーグルスライドを画面共有しながら、流れ、オチを確認してから場面を作っていきます。

「カラスとキツネ」のグループでは、キツネの親子が登場し、「ずるがしこいキツネ」というより「子どものために機転を利かせた」親ギツネというユニークな設定になっていました。
「アリとキリギリス」の1つのグループは、オチをさらに発展させて、翌年にはキリギリスが改心してよく働き、アリと仲良しになってダンスをするという結末を考えました。教えている学生のアイデアだそうですが、よく知られている話ですから、そんな発展形も面白いなと思いました。

約1時間の作業後は、みんなでお互いの作品を読み、講評して休憩。

【実践その2・中級読みもの】

後半は、中級レベルの文学作品のリライトです。題材は「蜘蛛の糸」(芥川龍之介)と「注文の多い料理店」(宮澤賢治)のどちらか。1つのグループが「蜘蛛の糸」、2つのグループが「注文の多い料理店」を選びました。
「注文の多い料理店」1つのグループは、レベル2に挑戦しました。苦労したようでしたが、すっきりとできていました。もう1つのグループはレベル3でリライト。両グループを比べると、使える語彙と表現の差で宮澤賢治らしさにどう影響が出るかがよくわかりました。
「蜘蛛の糸」チームでは、インドからの参加者に「仏教」についてレクチャーを受ける一幕も。
全体的にインド勢が、日本語学習者でもある利点を活かし、大胆に省略しながらリライトを進めていたのが印象的でした。

冒頭の部分のリライト後は、発表と講評をしました。

【事後アンケートからの抜粋】

・工夫をしながらレベルにあわせた文を作っていくのはチャレンジングだったが、豊かなものをつくりあげている気持ちで、本当に楽しい時間でした。アドバイスやコメントのおかげで多くの気付きがありました。
・楽しかったです。他の方とすることで、自分の考えに固執せずにできたのがよかったです。
・レベル範囲内の語彙・文法で、作品の世界観を崩さずにリライトするのは難しいが、違う表現に工夫することで上手くいくことがあるのも面白いと感じました。
・多読の実践のように楽しくストレスにならずにできたので嬉しいです。
・皆さんとアイデアを共有するおもしろさを体験することができました。グループ活動でのファシリテートや全体での講評がとても勉強になりました。
・フレンドリーな雰囲気の中で、グループのメンバーと話したり、アイデアを交換したりして、読みもの作りの活動が楽しくできて、いい勉強になりました。
・日本語母語話者でないインドの方と一緒に活動できたのは、視界が開けるような大きな収穫でした。

作品を完成させられなかったことは、少し残念に思われた方もいらっしゃると思います。作品を完成なさりたい方は、後日ご案内する「初級用読みもの作成講座」「中級用読みもの作成講座」に是非ご参加ください。
次回の入門講座は、3月26日(日)午前9時からです。

(田中 記)