1月9日(日)「オンライン日本語多読授業入門講座」報告

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1月9日(日)午後4時から、2022年初の多読授業入門講座がオンラインで開催されました。国内の日本語学校や高校をはじめ、海外の教育機関で日本語教育に携わる先生、そして日本語学習サイトを運営されている方など10名が参加しました。

講座はまず、多読の概論(担当:正会員・高橋亘)と実践報告(担当:正会員・作田奈苗)からスタートしました。

概論では、日本語多読とは何か、そして支援者が担う役割や読みものの入手方法、日本語多読に関する先行研究などについて説明しました。NPOが考える多読とは、たくさん読むことはもちろんなのですが、自分で読みものを選び、かつ楽しい、ということがキーワードとして挙げられます。このことを達成するために、日本語多読の4つのルールがあります。このルールを守っていけるように学習者一人一人と対話しながら、学習者に合わせて調整していくことが大切です。
また、支援者の役割の一つに、手取り足取り教えないで、学習者を導いてあげるということがあります。これは、学習者一人一人に寄り添いながら、挿絵や前後の文脈から一緒に考えていくことであるということを強調しました。このような支援によって、学習者との信頼関係も構築できることをお話しました。

実践報告では、まず自身の長年の読解授業に対する悩みをふりかえりながら、多読支援を始めた経緯について話がありました。多読授業を初めて行ったとき、学生たちが静まりかえって本を読み続ける姿に感動したそうです。
また、国内大学における対面とオンライン双方の授業準備方法や多読支援の実際、そして多読用読みものの紹介について説明がありました。現在、広く行われているオンライン多読授業ですが、web上の多読・多聴・多観に使える素材のリストをGoogle Classroomなどの学習管理システムに作っておくとよいということでした。
最後のパートでは、多読支援での成功・失敗体験や学習者の声が詳しく紹介されました。

休憩の後、後半は理事長の粟野真紀子と講師2名がブレイクアウトルームに分かれて、参加者から質問に答えました。
「多読用読みものではない一般の読みもののレベル分けはどうしたらよいのか」という読みものに関する質問のほか、「教育機関では読みものをどのように管理しているのか」という実際の支援に関わる質問など、多くの質問がありました。

【事後アンケート抜粋】

  • それぞれ異なる状況の学習者にどの様に多読を行っているのか、成功談、失敗談も聞けた点がありがたかったです。
  • 支援者の教えない教え方がわかった。
  • Graded readerではない読み物のレベル分けに関しての質問に高橋先生・粟野先生から丁寧にご回答を頂けて、とてもためになりました。
  • サイトで読んだ際にはよくわからなかった、多読を取り入れた授業の実際を知ることができました。また、粟野さんの「教えて語彙力が増えることはありません」という言葉には、思わずハッとさせられました。そこにこそ多読の意味があるのだと感じられました。
  • 今回の講座で、多読授業が楽しそうだなとすごく感じたので、何か似たことを自分達でもやってみたいなと感じました。
  • 実際に多読授業をされていて、難しいと感じる点(授業内のことのみならず、学校との交渉など?)についても、もっとお伺いしたかったです。

今回は、多読用の読みもの作成にも関心のある方が多くいらっしゃいました。NPO多言語多読では、オンライン読みもの作成講座も開催しています。次回は1月30日(日)ですので、ご興味がありましたらぜひお越しください。https://tadoku.org/japanese/online-courses-for-writers/

入門講座は次回2月6日(日)日本時間9:00から開催予定です。たくさんのご参加をお待ちしております。
https://tadoku.org/japanese/online-courses-for-supporters/

(高橋亘)