7月12日、9月23日「やさしい日本語」で読みもの作成ワークショップ!@宮城学院女子大学

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宮城学院女子大学では2021年度に「やさしい日本語」で読み物を作成するプロジェクトを行うことになりました。7月12日と9月23日にそのプロジェクトの一環で、リライト指導の授業を担当させていただきました。参加者は日本文学科の1年生から4年生までの約20名。
まず7月12日はオンライン特別セミナー「入門編」。

最初は「多読」の説明です。
多読とは何か、何を目指すか、そのための読みものはどうあるべきか、私たちがこれまでどんなものをどのぐらい作ってきたかなどをお話ししました。
そのあと、実際に語彙表と文型表を見ながら、イソップの「アリとキリギリス」をレベル0に書きかえてもらいました。
小グループに分かれて30分。短時間でできるように今回は特別に、イラスト入りのファイルをあらかじめ用意しました。


絵を見て、その場面に合う言葉を入れていってもらう作業です。レベル0では、「て形」も「辞書形」も使えません。大学生にとっては思いのほか難しかったようです。
あと一歩という作品が多かったのですが、中には、見事に簡略化してレベル0を完成させたグループもありました。

さて、2回目の実践編は夏休み明けの9月23日に行われました。
今回は、6つのグループに分かれ、絵本の担当箇所をリライトする、という課題が出ていましたので、最初の30分でその仕上げ。次の一時間弱で、発表、講評という順に進みました
課題の絵本は、わたなべゆきこさん作の「たいようくんのみらいのまち」です。

やわらかいタッチですが、自然と人間の共存がテーマのメッセージ性の強い絵本です。二酸化炭素とか酸素、リサイクルなど難しい言葉も出てくるので、レベル3のリライトはかなり難しいだろうなあと予測していました。
ところが!!
どのグループもみな、前回の基礎を踏まえ、とても丁寧に語彙表と文型表に忠実に書き換えを行っていて、すばらしい出来でした.

私も自分のリライト案を準備していったのですが、みなさんの発表を聞いて、なるほど、これは取り入れたいなと思うところが多々ありました。私のはレベル3ということで、少々難しめのできあがりでしたが、みなさんのリライトの方がレベル2寄りのソフトな仕上がりで絵本らしかったように思います。

また、事後のふりかえりも見事で、私が次々にいろいろな箇所を指摘したことをきちんと受け止めて消化してくれたことがよくわかります。いくつか紹介します。

・今回は、1回目と比べて難しい言葉も、文章の量も多くリライトをするのが大変でした。原文とあまり変えずにリライトしたいと考えていたら、1文が長くなってしまったため、リライトをする際には1文の量も気を付けなければならないと思いました。

・1回目のワークショップでは散々なリライトになってしまいましたが、そのおかげでどのようなことに気をつけるべきか改善点を多く見つけることができました。また、他のグループの工夫した点やむずかしかった点などを聞いて、なぜそうしたかまで聞けたので、「やさしい日本語」にリライトするときの様々な捉え方・考え方を知ることが出来ました。

・重要な言葉やキーワードは、レベル外であっても取り入れてみることも大切だと分かった。元の本が伝えたいことと、正しく内容が伝わることを意識して言葉選びができるようになりたいと思った。

・何度も出てくる言葉を、絵本の中で統一して使うことの意味を知って、「絵本」というページのあるもので日本語を学習する意味が新たにわかりました。また、リライトは、絵本の文を忠実に使うということに縛られることなく、わかりやすい言い換えを意識して行うことがたいせつであるということを学びました。

・リライトは、作者の意図を理解することが一番たいせつであるということがわかったので、次回以降は、レベルを考える、作者の意味を組みとって作成するということを意識しようとおもいます。

・読みものはできるだけやさしい方がいいとずっと思っていました。しかし、読む対象の方が読んで学んだり少し難しい言葉にチャレンジしたりできるようなリライトにすることも必要だと知り、勉強になりました。また、絵本は読むという以上にみるものだから、ひらがなではなく漢字表記にすることで視覚的にアプローチできるということに気づかされました。リライトをする際はそういった細やかな部分に目を向け、絵本をつくった作者の意図や本の内容をくみ取りながら、内容が飛躍しないように注意して作っていきたいです。

・全体的にとても有意義なワークショップになった。元の本が全部ひらがなで書かれていたから疑いなく全ひらがなの分かち書きで自分の案を出していたが、読者のレベルを考えると漢字も意識して入れていく方が良いことを知った。また、今回特に勉強になったのは、レベル以下で作る(無理にレベル内におさめる)というより、レベルを狙って作るということだ。この意識が今まで足りていなかったと思う。簡単な語彙や文型ばかり選ぶのが良いというわけでもないことを学んだ。

・語彙表はあくまで目安で、特に固有名詞などは適宜判断とあるように、文章の目的や対象を考えたうえでの必要な逸脱は効果的であることを学んだ。逸脱した単語は(絵本であれば)絵に頼ることができる点、あえて繰り返し使うことで理解を助けるという点を次に生かしたいと考えた。また、書体にユニバーサルデザインのものがあることなど、リライト技術の他にも役に立つ情報をいただき、とても勉強になった。

このリライトのワークショップの様子は宮城学院女子大学のホームページにも紹介されています。
合わせてご覧ください。
入門編(7月12日)
実践編(9月23日)

リライトに正解はありません。読む対象を考えて読みやすさの工夫を凝らし、元のメッセージや雰囲気を壊さずにリライトできたら最高ですね。
私も今回のリライトワークショップはとても勉強になり、楽しかったです。
今後、みなさんはさらにリライトに挑戦し、仕上がった作品は大学のホームページで公開されるそうですね。
楽しみにしています!

(粟野)