9月5日(日)「オンライン日本語多読授業入門講座」報告

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9月5日の16時からオンライン日本語多読授業入門講座が開かれました。浜松、大分、スイス、アメリカなど、国内外から13名の参加者が集まってくださいました。

最初に、NPO多言語多読正会員の作田が、多読の概論をお話ししました。
たくさん食べれば体力がつくように、日本語もたくさんインプットすることでが力がつきます。多読とは、楽しく無理なくインプットを増やして、流暢な読み方を身につけられる学習方法であること、多読のルールは、読みを中断せずにストーリーを楽しむことができるようになる手助けなのだと説明がありました。

次に、多読用に作られた読みもののについて、その特徴やレベルの紹介、そして、絵本や童話、一般書などを取り混ぜて読むことの必要性なども話されました。これらの読みものを学習者がどのように本を読んでいくのか、その流れの例も紹介されました。最後に、多読は多聴や多観にも広がっているとの話がありました。

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次は、同じく正会員の片山からの多読実践の報告です。
普通の日本語授業に慣れている学生が戸惑わないように、学期の初めの導入で、多読のやりかたに馴染めるような工夫をしています。例えば、絵本を使って、「読む」とは単に言葉の意味や文を理解するだけではないこと、推測したり情報をつなげたりしながらストーリーを自分の中に作っていくことなのだと体験してもらいます。本に興味を持ってもらうようにテーマ別に分けて並べたり、読み聞かせをしたりします。

そして、「教えない・押し付けない・テストや評価をしない」という多読支援3原則に触れ、教師の役目は、支援者として学生をよく観察し、一人一人に寄り添って対応することだとお話ししました。最後に、2020年から増えてきているオンライン多読の実践方法についても紹介しました。

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後半は、3つのグループに分かれて、NPO多言語多読の理事長の粟野と二人の講師、作田と片山が、参加者の質問に答えるセッションを2回行いました。出された質問をいくつか紹介します。

Q:「どのぐらいの時間を多読に使うべきか」「授業内の一部に取り入れてもいいか」
A: 授業全部を使えない場合、部分的に15分ぐらいを多読に充てているケースもある。特に、レベルの低い読みものは、すぐ読めるので短い時間でも問題はない。 最初のうちは同じ場でいっしょに読むことが大切だが、読むことに慣れてきたようなら、各自が家で読んできたものについてクラスで話すというやり方もできるかもしれない。

Q:「読みものの準備が難しい」「オンラインなので読ませられるものが限られる」
A:オンライン授業なら、NPOが提供しているリソースやNPOサイトで紹介しているサイトが使える。教室でオンラインのサイトの読みものを読んでもいいし、それを印刷して製本もできる。学習者が読みたいマンガなどを持参する場合もある。図書館と連携できたらいい。

Q:「日本語が全く分からないままいきなり学校に入ってきた子供を、多読で支援することができるか」「小学生にはどのように導入するといいか」
A:物語の力を借りて日本語を身につける多読は、役に立つはず。最初は、読み聞かせから入るといい。

その他、学校で評価をしなくてはいけない場合どうするか、オンライン授業で学生を観察できない難しさについてなど、終了時間を過ぎてもいろいろな質問が出され、皆さんの熱心な気持ちが伝わる講座となりました。

<事後アンケートより抜粋>

・実践されている方のお話を伺い、イメージを深めることができました。講座に参加することで、「よし、やってみよう」という気持ちになります。
・小学校JSL教室で手探り状態で行っている多読活動の方向性を裏打ちしていただけたような気持ちになり、安心しました。
・ 文脈から語彙を切り離さないということの大切さを知りました。「知らないうちに日本語がたまっている」という状態になるのはとても幸せなことだと思いました。
・実践されている方々のお話を直に聞けて、多読の効果を知ることができました。ルールの必要性も確認できました。文字を読むことだけが読むこと(読解)ではなく、文字のない絵本を使ってできる学びの可能性が見えました。

次回の日本語多読授業入門講座は、10月3日です。ご参加、お待ちしています!

(報告 片山智子)