12月20日(日)第3回 日本語多読支援研究会 報告

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クリスマス目前の12月20日、日本語多読支援研究会が開催されました。もともと12月に海外の支援者が帰国する支援者が多かったことから相談会の形で始まった集まりですが、今回第3回目を迎え、年末恒例となりつつあります。今年は、オンラインということもあって、米国・ニュージーランド・フランス・韓国などを含む国内外から42名が参加しました。所属は、大学や高校、日本語学校、地域のボランティアの方など多岐にわたりました。

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今年はだれもがコロナに翻弄された1年だったと思います。本研究会のテーマも「2020年、コロナ禍の多読を振り返って」。司会のNPO理事長の粟野の挨拶のあと、3人の発表者からの話題提供がありました。

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1人目は、米国スミス大学の高橋温子さん。「日本語超初級クラス(全遠隔)多読とTADOKUタイム:報告と考察」のタイトルで報告してくださいました。ゆるく長くのアプローチで多読を超初級から取り入れ、通常クラス 内でグループで本を読む時間を設けたそうです。アンケートをもとに、読んだ本の冊数や人気本の紹介もしてくださいました。グループではなく一人で読みたいという意見もあったので、個人による読みのスピードの差を考慮しながら、来学期も継続するそうです。

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2人目は日本の北京語言大学東京校の徳永由佳さんから、オンライン多読授業実践報告がありました。前期は少人数クラスで、みんなスマホでレベル別読みものや記事を読んだり、動画サイトを見たりしていました。後期は26人という大人数クラスで、多読記録の未記入、多読ルールを考慮しない、読み物がうまく選べないなどのケースがあったそうです。多読の目的やルールを繰り返し伝え、紹介する読みものは小出しにする、分かち合いの時間を設ける、そういった点に気をつけながら続けていきたいとおっしゃっていました。「読む人をひとりぼっちにさせない工夫が必要」という言葉が印象的でした。

 

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最後は、米国ワシントン大学の松田いずみさんが、オンラインで行った多読授業と多読クラブについて話してくださいました。授業では、Document cameraを購入し、手持ちの絵本を使って毎回読み聞かせをしたのがとても好評だったとか。現在はクラスではなく、中級以上対象のオンライン多読クラブを毎週やっています。対面とオンライン両方の経験者に尋ねたところ、対面の方がいいという意見で、理由は「e-bookより紙の本が好き」「図書館の雰囲気がいい」「他の人が周りで読んでいるのがいい」「普通の絵本が読める」などでした。一方オンライン多読の良い点として「わざわざ図書館に行かなくていい」「オーディオファイルにすぐアクセスできる」などが挙げられました。松田さん自身は、対面でしか味わえない読書の楽しさ、学生同士のつながりを感じ、早く対面に戻りたいと思っているそうです。

この研究会では、参加者みんなが話す時間を長く取っているのが特徴です。3つの報告のあと、報告者への質疑応答がありました。読書記録の活用や、breakout roomへの対応、一人で読めるのになぜクラブに来るのか、などの話題があがりました。それから、事前に寄せられた質問や悩みをいくつか取り上げました。コミュニティ形成を作りにくいオンライン多読の欠点をどう補うか、レベルが分かれていない多聴多観素材の取り入れ方、初級用素材不足による苦労などについて話し合いました。

すでに開始から2時間以上経過していたので、ここで10分ほど休憩。後半は、4-5人グループで30 分ほど自由に話しました。みなさん日々の多読支援の中で感じることや悩みを支援仲間に聞いてもらいながら、1年を振り返ることができたのではないでしょうか。

以下、参加者からの感想を抜粋します。

[よかったこと]

・体験者との実践のシェアは貴重だと、あらためて実感した。
・3名の実践報告や質問に答えてくださる方が経験豊富で、レベルが高い質疑応答でたくさんヒントをいただき、勉強させていただけた。
・体験談を聞けたところ(特に失敗談は参考になります)
・オンラインでの多読の試みを、成功、失敗両方の視点から聞くことができて大変参考になった。
・参加者の方々の色々な悩みについて、みなさんで一緒に考えたことで、学びも広がった。また、多観についての意見交換、おすすめ動画なども参考になった。
・質疑応答の時間がたっぷり取ってあったのがよかった。チャットを使ってあとからまとめて質問をするというやり方もスムーズでよかった。
・いろいろな実践報告を聞くことができ、自分と同じような考え方・やり方の部分を確認したり、新しい試みを聞いて自分の支援にも取り入れようと思ったり、得るものが大きかった。

[もっと聞きたかったこと、改善点、今後への要望]

・コロナ禍の中で、本を使って多読をされている先生のお話も聞きたかった。
・オンライン授業でのカメラのオン・オフについて考える機会になった。
・breakout roomの話し合いが1回だけだったが、2回あって別の人とも話せたらもっとよかった。
・グループでの話し合いは、未知の人同士の場合、対面でないと進行が難しいと思った。
・大学の学生だけではなく、日本語学校の学習者や、国での読書習慣のないような学生に対しての効果的な多読の授業についてもっと知りたい。
・多聴多観についての意見交換がもっとしたい。
・日本語教師のための外国語多読体験会があればいい。
みなさんのアンケートにも会運営へのアドバイスや今後の勉強会のテーマへのヒントがありました。
ありがとうございました。
また、来年も集まって多読を語りましょう!

みなさま、どうぞおだやかな年末年始をお過ごしください。

(日本語多読支援研究会・正会員 纐纈)

 

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