第4回多読支援セミナー 分科会(日本語)報告

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日本語分科会 1時30分~5時

今回、初めて英語教育関係者より日本語教育関係者の数の方が上回りました。
参加者は38名。リピーターの方、リライト講座や講演会参加者が8割。全く初めてお会いする方が7名いらっしゃいました。

まず、教えている教育機関別に7つの島に分かれて座っていただきました。
こちらの不手際があり、島を作るのが遅れ、開始は10分後の1時40分。

まず、絵を読む体験から。

① 絵を読もう
ほとんど言葉がわからない学習者の立場に立って、何が起こっているのかを絵と音で受け取ってみよう、という試みです。

・日本の絵本の韓国語版 「がたんごとん」を参加者で韓国語の堪能な高橋亘さんと渡辺奈緒子さんが、韓国語で読み聞かせをしてくれました。
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・次にスタッフが、ORTの「New Trainers」を披露。まず絵だけを見てストーリーを追いました。その後で音と文字を出して確認。
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・続けて「よむよむ文庫」の良さんシリーズ「落とし物がいっぱい」(アスク出版)
こちらも、まず、絵だけでストーリーを想像してもらいました。その後、文字の入った物を見てもらいました。
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絵でまず物語の世界を知り、そこに音が入り、最後に文字。読むというのはこの全体を差す、というメッセージ、伝わったでしょうか。

②その後、 大学、日本語学校、専門学校、ボランティア教室の4人の先生方に短い多読実践報告をしていただきました。
この4月から多読授業を始めてみたという先生は、学生が読んでくれなかったらどうしようとおそるおそる始めたが、そんな心配は杞憂に終わり、成功だったととのこと。授業中寝る人が続出し、すぐ止めてしまったクラスもあったと話された先生もいました。アクティビティーを入れるなど試行錯誤しながら4年続けて来た先生からの報告もありました。さまざまな立場からの報告が興味深かったです。
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③引き続き、各島で情報交換、意見交換をしました。
日本語学校A B、国内大学A B、海外大学、ボランティア教室、年少教育・インターナショナルスクールの7グループに分かれての話し合いとなりました。
今年は時間も長くとれたので、活発な意見交換ができたのではないかと思います。
実際に多読授業を始めている先生からは、
「一般の本への橋わたしになる本は何か」
「辞書は本当に使ってはいけないのか」
「マンガ、ライトノベルを多読に使ってよいのだろうか」
「中上級の学生にやさしいものから読ませるにはどうしたらいいか」
などの具体的な質問が出て、それぞれにアドバイスが寄せられました。
多読授業初心者の先生からは、
「アクティビティーは必要なのか」
「上司や同僚、生徒たちに多読の効果をどうやって示し、納得させたらいいのか」
「大量の本をどうやって用意すればよいのか」
などの質問が出ていました。

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④最後に各班で出た問題点を全体でシェアする時間を設けました。

漫画を使うことの是非・多読を始めるとき、上司や学習者を説得するための多読学習の効果のエビデンスのようなものがあるのか、などの質問がでました。
それに対し、多読実践者の先生方が競って答えて下さったのが印象的でした。

NPOからは、多読に適した本の情報交換をするメーリングリストを提案しました。
この1回のセミナーだけで終わってしまわず、ここでの出会いがつながって、また来年、違う方からの実践報告が聞けたらうれしいです。

(松田 記)