【新しい旅立ちへ・・・】 ゼロからスタートへの提案 メモ#7 (少々書き直し版)
2011年1月 1日
カテゴリ : 多読的シャドーイング, 多読のパラドックス
タグ: 劇薬シャドーイング
#6の予告では「なんで劇薬シャドーイングなんぞをやらなきゃいかんのか?」という
疑問にお答えするつもりでしたが、もたもたしているうちに少し答えの内容が
変わってしまいました。 「なぜ劇薬?」という話はあとに回すことにします。
今回の話題はこれまでの経過ですが、そのテーマである、
「わたしはいかにして心配することをやめ、
劇薬シャドーイングを言い出すに至ったか?」
も、実は「なぜ劇薬?」という疑問の答の一部だと考えております。
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*最初のきっかけは「多聴多読マガジン」の創刊号に登場したKくんです。
Kくんは2005年度に、自分がシャドーイングしている英文をまったく理解せずに
30時間くらい続けて、英語音声の特徴を獲得したのでした。
(詳細は上記創刊号をご覧ください。)
同時に「なかいかずあき」さんに劇薬を処方したこともおなじ雑誌に書きました。
これは劇薬処方のごく最初の例でした。
*2007年度にHくんが現れました。(TOEICダブルスコアのHくんとは別人です。)
Hくんもまた意味をわかろうとはせずに20時間くらい聞き読みシャドー
イングしたところで、かなり明瞭に英語らしい音を出すようになりました。
上のKくんのシャドーイング30時間後とHくんの聞き読みシャドーイング20時間後はとてもよく似ています。二人ともシャドーイングしている英文の内容はほとんどわかっていなかった!
二人とも比較的やさしい英文(Oxford Bookworms Library Stage 2くらいまで)をシャドーイングしていますが、どういう語を繰り返しているのかわかっていなかったり、聞き読みシャドーイングながら内容はまったくわからなかったり、わたしの言う劇薬シャドーイングにあたると言えます。
(もう一つ驚いたことは、初見のOxford Bookworms Library Stage 2の
英文を音読してもらったところ、意味の区切りが明確にわかり、メロディーや
リズムが英語らしかったのです。
これはあとの「ako」さんの変化、「そふぃ」さんの意見とともに、劇薬シャドーイングに
踏み切る大きなきっかけになりました。)
*そして2008年に「pot」さんの例が出てきました。
http://tadoku.org/old-blog/archives/2008/08/20_2230.html
これはいわば劇薬シャドーイングがわたしたちの頭の中の「外国語フィルター」を
飛び越えたり、壊したり、無効にしたりする可能性を示唆するとわたしは考えました。
「外国語フィルター」についてはまたあとで書きますが、「カタカナ英語音」と言っても
いいかもしれません。
*akoさんの読み聞かせ
2009年にはあるところでakoさんの読み聞かせを聞いて非常にびっくりしたので
した。絵本をたくさんシャドーイングした結果のようです。
どこがすごかったかというと、読み聞かせのメロディーやリズムがなめらかで、
意味の切れ目が明瞭で、耳を傾けるわたしにまったく負担がなかった!
一言で言えば「たんぽぽのわたげ」さんが
http://tadoku.org/sakai-note/archives/2010/07/14_0020.html#more
の中で書いているような英語らしい(?)英語が出てきたのです。
たんぽぽのわたげさんがあるとき出た英会話セミナーでは・・・
参加者のみなさんは、6時間ものセミナーにやってくるくらい英語が好きで、
けっこう勉強していらっしゃるようだし、
英会話学校にも何年も通ってるという方もいらしたし、、、
この方達がペラペラしゃべり出して、私、取り残されたら6時間もどうしよ~ と思ってました。だけど。
その方たちの口から出てくる英語は、
「単語、単語、単語…」と、ブツブツに切れてて
まっ平ら (抑揚とか、表情とかなんもないかんじ) なんです。(中略)
(ちがうーー。ぜんぜん英語にきこえないー。
そんなとこで切ったら意味もなにもわかんないじゃん!)
と、口に出せないストレスが生まれたりして(^^;;
つまりakoさんの読み聞かせは「ブツブツに切れて」いなかったのです。
Hくんやakoさんにぼくが感じたのとほぼ同じことを、
たんぽぽのわたげさんは(裏から?)感じたと言えるでしょう。
おそらく、多読やシャドーイングをしてきた人の「感覚」は
単語を文法に従って積み重ねていく「英作文」とは
(「バンクーさんの問題提起に答える形で表現するなら)
どんなに瞬間的な英作文であろうとも、根本的にちがうものだと思われます。
*こうした印象的な事例がいくつも蓄積されたところで、
そふぃさんの意見がまるで、すべてを貫くように出てきたのでした。
そふぃさんは、「シャドーイングは受験に必須」とのたもうたのでした。
そしてその理由は、意味の切れ目が体でわかるので、[京都大学の英語のような]
長い文章でも、自然にどう理解すればいいかわかる、ということでした。
(ぼくのことばを足してそふぃさんの言を解釈しました。
もし主旨がちがっていたらメールをください! >そふぃさん)
念のため、そふぃさん自身のことばを引用すると・・・
聞こえてくる音を繰り返すだけで、本人の自覚なしに文章の切れ目を見極められるようになるのだ。
・・・そうです。
(「本人の自覚なしに」というところが重要だと考えます。
Hくんが自分の音読におどろいていたことを思い出します。)
何度か書きましたが、上の意見を読んで、わたしの中で音と文字が結びついたのでした。
この点はまだみなさんにうまく説明ができていません。
ちゃんと説明できる日を楽しみにお待ちください!
メモのつもりががんばりすぎました。この調子で整えながら書くと、
時間がかかりすぎてしまう。
少々急いで、付け加えてメモ#7を終わりにすると・・・
そふぃさんの報告の中に「劇薬」につながる部分がいくるかあります。
たとえば
英語を自分が全く知らない言語だと思ってシャドーイングするのがいい。ぼくの場合は
英語は日本語ではない
と常に意識していた。
また、
自分の発音を聞いて正しいかチェックしてはならない。一番重要なのはココ。聞こえた音声にできるだけ近くなるように発音することのみに意識を集中して、実際に出した自分の音が耳から入った音声とどれだけ差があるのかという分析はしてはならない。これを守るかどうかでシャドーイングの上達速度は格段に変わってくる。このことに気づくのにも時間がかかった。
うーん、いいことを言うなあ! って、もう一度感心するのもどうかと思いますが、
そうだと思うのです。
次回はあした、それではその劇薬シャドーイングを実際にみなさんに提案するのに
なんで半年以上もかかったのか? という話にしましょう。
ではね、おやすみなさ・・・い