第3回 シンポジウム「図書館多読への招待」 in 多治見 【シンポジウム報告】

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図書館多読への招待 (JLA図書館実践シリーズ 25)の出版を機に「図書館シンポジウム」が始まりました。今回で第3回を迎え、図書館を利用する実践者の報告、ポスター発表などを通して、普及活動への手応えとともに、よりいっそうの普及活動への刺激をもらったシンポジウムになりました。

図書館多読への招待 (JLA図書館実践シリーズ 25)この報告は、基調講演後のいわば図書館シンポジウム本体の報告です。駆け足の報告ですが、今後も図書館へ多読が普及する原動力になればと思います。(シンポジウム当日の全体の報告はこちらをご覧ください

第3回 シンポジウム「図書館多読への招待」 in 多治見

参加者(発表者を含む) 125名+スタッフ16名=141名
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!

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昼食休憩の後、プログラムの順番が変更になり、まず「豊田多読クラブ」について豊田高専の西澤さんからの報告で午後の部は始まった。

豊田多読クラブ

豊田多読クラブ「豊田多読クラブ」は、はもうすぐ10年になるという歴史があり、豊田高専と豊田市図書館が取り組んでいる学生・市民向け多読クラブである。また豊田高専図書館の貸出数が、それを目指したわけではないが多読を始めてから結果的に4倍になったそうで、地域に開かれた図書館でもあり、年間9千冊の多読図書が学外の一般利用者に貸し出されている。

つづいて豊田多読クラブメンバーから体験談があり、英語のまま理解できるようになった、読む本の幅がひろがった、定年後に社会とのつながりが持て、これからも続けていきたいといった話があり、生涯学習としての意義を感じるとの参加者の生の声を聞く事かできた。その後、西澤さんから多読支援の3要素についての話があり、また問題点が提示され、やさしさへの誤解を解くこと、一人では続かないことなどを今後も支援していきたいという話があった。

英文多読交流会

05次に各務原国際協会の川上さんから『英文多読交流会』についての経緯報告と、参加者やファシリテーターとして関わる立場の方から、それぞれ報告があった。参加者の方の話では、ペーパーバックを読んでいていきづまっていたが、交流会に参加するようになり、新しい本やコンテンツと出会えること、英語の世界で経験をしたことを共有できることや違う視点を紹介してもらえるなど、仲間の大切さを受け取れるとの話しがあった。

また、国際協会と図書館、市が連携していることと、今後の課題と展望についてでは、大量の本と仲間の必要性、4年以上が経過し人数の減少、メンバーの固定化、新規参加者やリピーターが増えないなどの問題があり、今後は、メリハリをつける、新しい企画をたて、交流会内容の広報活動をしていきたいとの話があり、これからの活動に向けて意欲的な話がとても印象的であった。

たじみ多読を楽しむ会

事例報告の3番目は、会場にもなっている多治見市の「たじみ多読を楽しむ会」について、多治見市図書館の飯沼さんから報告があった。たじみ多読を楽しむ会「T.T.T.」の名前の由来からはじまり、2年間の歩みなどについてこれから多読をはじめる参考になればということであったが、T.T.T.で工夫している点は、参加者はニックネームで呼び合う。リラックスできるように飲み物の提供をし、1人3分の時間制限を設け全員の話が聴けるようにしているなどの話があった。

その後、T.T.T.のメンバーから多読クラブの魅力についていつも通り3分での発表があった。

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  • (伝兵衛さん)多読を始めたきっかけは西澤先生の講演をきいたことで、多読クラブは、メンバーから自分では読まないような本を紹介してもらえることに魅力を感じ、多読はどこでもつながるツールだ。
  • (Tadojieさん)多治見市図書館に来ることが楽しみの一つだったが、西澤先生の話をきいて多読クラブに参加するようになった。10月末に100万語を越え、冊数は360冊を数えた。他の人の読後感を聞いていつか読みたいと思いながら、多読クラブがなければ達成できなかった。若い方にすすめたい。
  • (Khopkunさん)(こっぷくんとはタイ語でありがとう)リタイア後に多読と出会った。この2年間で600万語、880冊を越えた。CDで聞き読みをおこなっている。楽しい日課になった。月2回の集まりは、仲間や皆さんとあえること、きいたりすることがとても楽しい。
  • (じゃぱこさん)昨年は高校生だった。多読クラブのメリットは、多読から離れたいと思うことがあってもクラブに来てみんなの話を聞くと楽しめる。世代を超えて自由に話せアットホームな感じ。受験で相談にのってもらったり大学の単位で今は心配されている。もっとたくさんの人に知ってもらいたい。
  • (Oujiさん)クラブのロゴデザインも作った。三日坊主の自分が2年つづいた。クラブのメンバーのような仲間がいれば、辞める理由がなくなる。
  • (Ariさん)続けられてきた理由は、図書館が提供してくれるリストを埋めていくことですすんだ。リストはシリーズごとになっていることがよかった。偶然集まったメンバーがいい意味で変わっていて個性的でおもしろい。そこにサポートしてくれる図書館の存在が大きい。
  • (Mikiさん)1,000万語を超えている。多読クラブのダイバーシティについて。本の多様性。レベルの多様性。人の多様性。多読の大切なことは自分が楽しめているかどうかで、他のメンバーのレベルや肩書きは関係無い。多読クラブはメンバーの多様性を受け止めてくれるマザーシップです。
  • (Jugemuさん)多読クラブに参加するかとても迷ったが、思い切って参加したら続いている。やさしい本から読めばよい、自分一人で読んでいるとつい途切れがちになるが、聞ける雰囲気で参加できるのがうれしい。新しい人を自然に受け入れる。これからも続けていきたい。

最後に飯沼さんより、誰よりも自分が楽しんでいる。自分が100万語を達成したとき、メンバーが拍手をして喜んでくれたことが忘れられない。図書館の利用者支援としては、職員も利用者も一緒に楽しみ、生の声や姿を見ることで、多読から生まれるつながりを実感できる。これからも多読クラブを仲間と共につづけていきたい。

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その後の質問では、読んだ本の語数を記録することについて、していることとしないことの違いはあるのかと言う事に対して、多読クラブ参加者から、つけていない・・・英語の力がつけばこだわらない、つけている・・・レベルが上がったかわからない、最初の内はつけた方がよい、記録するのが好き、英語のツイートであげている。 その他、どちらでも良い・・・しばられない、語数は減らない貯金と考えるといった意見が出されていた。

また時間がとれない人へのアドバイスがあればとのことで、子育て中なら読み聞かせが良いと思う、一石二鳥です。すきまの時間を活用して、英語のYou tubeを聞くなどは、といった意見が出されていた。

tadoku navi(日本最大の図書館検索・株式会社カーリル)

次に多読ナビについて、まず豊田高専の吉岡さんから説明があり、その後カ―リルの吉本さんから報告があった。図書館の英語多読サポートアプリとして、たのしく多読を続けるサポートと、図書館をもっと楽しくということで開発し、何をするのか、何をしないのかという点では、厳密な読書履歴の保管はしないこと、また、読みたい本>検索 を重視していて、Discovery みつける Mission目標設定 Diary日記 の機能があり、ゲーム感覚で、いろんなものに挑戦できるシステムをめざしている。新しいリリースは年内?!とのことであった。

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多治見市図書館多読コーナー見学

その後、多治見市図書館の3階にある多読コーナーを2グループにわかれて見学をおこなった。レベル毎に分け探しやすく配慮された書架には、シリーズごとのリストが用意されていて、季節の展示もとても工夫されている素敵な多読コーナーだった。

kengaku

ポスターセッション

休憩をはさみ、ポスターセッションの時間となった。ポスターセッションはシンポジウム参加館の担当者の情報交換を目的としていて、発表者が自分のポスターのわきに立つので、参加者はそれぞれ興味ある図書館から直接説明を聞くことができる。前半はポスター番号の奇数組、後半は偶数組で担当者が説明をおこない、どのポスターの前でも熱心な話がくりひろげられていて、熱気あふれる会場となっていた。参加館は23館。

09

来年、第4回シンポジウムは都立多摩図書館にて開催!(2017年11月12日)

最後に酒井理事長よりあいさつの後、来年の第4回シンポジウムについて場所は東京で、会場は移転し新館がオープンされる都立多摩図書館、日程は11月12日というアナウンスがあり、閉会となった。

今回のシンポジウムのテーマは、図書館の利用者支援についてであったが、多読交流会の参加者の方が発言されていた「多様性」を、いかに支援できるかということだと感じた。また多読で生涯学習を支援するという意義がより色濃く出てきたのではないかと思う。

多読クラブなどの参加者の生の声が聞け、今回の主役はまさしく多読クラブや交流会参加者メンバーであり、多読をしていて良かったという気持ちや仲間とのつながり、支援をしてくれる人たちへの思いがひしひしと伝わってくるシンポジウムだったと思う。前半の講演に関連していえば、楽しく仲間とのつながりが、キーワードになり、継続は力わざではなく、続けたいと思う仲間がいるから育っていくのではないかと感じた。

また、自治体と図書館が手を取り合っていることが感じられ、今後のさらなる発展が期待できる第3回のシンポジウムだったと思う。

(理事/米澤久美子)

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